新型コロナウィルスによる感染拡大の第3波が猛威をふるっている。世界中で6000万人の感染者が記録され、日本でも連日各地で過去最高の感染者数を更新し続けている。そんな状況の中で、実体経済は再び落ち込む可能性が出ているものの、米国や日本の株式市場は連日最高値を更新。コロナバブルとも言われるような状況に陥っている。そんな状況の中で、為替市場はどんな動きを示すのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に12月の為替相場の行方をうかがった。

 ――米大統領選挙が終了し株価が上昇しました。今後の展開は?

 トランプ大統領自身は認めていないものの、アメリカ大統領選挙が一応決着し、バイデン政権が誕生するプロセスに入りつつあります。ここにきてトランプ大統領も、政権交代が実現すればホワイトハウスを出ると発言するなど事態は徐々にバイデン政権誕生に向けて向かっているように思えます。

 こうした中で、ニューヨークダウ平均株価が史上初の3万ドルを突破するなど、連日株高が続いています。日本の日経平均も90年代のバブル崩壊以後の最高値を更新するなど、世界的な株高現象がみられます。こうした株高に連動するようにドル安も進み、「株高ドル安」と言う図式がセットになりつつあります。

 ドル安の背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)がバイデン政権に変わっても、当面は低金利や量的金融緩和を続けるとみられており、株が買われ、ドルが売られると言う図式になっているようです。12月14日には大統領選で選ばれた選挙人による正式な投票が行われることになっており、選挙結果はひっくり返らないだろうと予想されており、安心感が市場に広がっているせいだと思われます。

 ――新大統領就任まで不安定な状態が続くのでしょうか?

 やはり、トランプ大統領がいまだに法廷闘争の姿勢を見せている段階では、選挙人決定の前後や全米各地で行われている訴訟の行方を見守る必要があるかもしれません。さらに、トランプ大統領の任期が1月20日まであるために、その間に想定を上回るような政策を発表してくる可能性もあります。

 そういう意味では、株式市場や為替市場ではやはり神経質な動きがあるかもしれません。とりあえず、12月1日には米上院銀行委員会でムニューシン財務大臣とパウエルFRB議長の議会証言が予定されており、翌日には下院での議会証言もあります。大きな動きはないと思いますが、その内容には注目しておいた方がいいかもしれません。

 また米国の景気を占う意味で重要な雇用統計が12月4日に発表されます。11月の失業率は6.8%(前月6.9%)、非農業部門の雇用者数もプラス50万人(同63万8000人)と予想されています。予想に反してサプライズがあると、為替市場はやや動くかもしれません。

 ――年末までに注意すべきポイントやイベントは?

 12月相場は、例年では月の後半は欧米の投資家がクリスマス休暇に入るために取引量が少なくなり、年末年始にかけては変動幅の大きな相場になるのが普通です。米国では、大統領決定のプロセスも気になるところですが、12月15日-16日にかけてFOMC(連邦公開市場委員会)が行われます。新型コロナによる感染拡大の影響を受けて、今後の金融政策の方向性を示す「フォワード・ガイダンス」の内容がやや変わるかもしれません。さらなる金融緩和が想定されるところです。

 あと注目したいのは、ECB(欧州中央銀行)の理事会が12月10日にあり、今回は量的緩和の延長と拡大が予想されており、ユーロ円やユーロドルに影響があるかもしれません。2020年末までとなっている資産購入プログラム(PEPP)の期間延長と貸出を下支えするための流動性供給オペが予想されています。

 また日本銀行の金融政策決定会合が12月17日-18日にかけて行われ、大きな動きはないと思いますが何らかの動きがある可能性もあります。

 ――12月の各通貨の予想レンジは?

 前述のように、月後半は投資家の多くがクリスマス休暇に入るため、やや流動性が低くなり変動幅の大きなマーケットになるかもしれません。とりわけ年末年始は注意が必要です。通貨別ではオーストラリアドルが買われる傾向があります。南半球が夏に入ったことで、コロナウィルスの感染拡大が落ち着いており、景気の持ち直しも予想されます。12月の予想レンジは次の通りです 

●ドル円・・1ドル=102円-106円
●ユーロ円・・1ユーロ=120円-126円
●ユーロドル・・1ユーロ=1.17ドル-1.22ドル
●英国ポンド円・・1ポンド=135円-141円
●豪ドル円・・1豪ドル=74円-78円

 ――12月相場で注意する点を教えてください。
 
 為替相場のトレンドとしては、しばらくは株高ドル安と考えて良いでしょう。株式市場はコロナバブルとも言われていますが、これがいつまで続くかは不透明なところです。このまま株高が進めばドル安=円高が進み、今年の年始に付けた1ドル=101円台と言う瞬間的な円高も見えてくるかもしれません。月後半の不安定な価格変動の時期にドル安・円高が一気に進んだからといって、一か八かの勝負に出るような投資は避けたほうがいいかもしれません。

 米国の大統領選の結果が正式に決まっていないことも気になるところです。ポジションを抑えながら、株式市場の動きを連動させてみる必要があります。このところ、金価格が下落し、暗号通貨のビットコインが最大で17%暴落するなど、市場全体にトレンド変化の兆しも見られます。慎重な投資行動が必要かもしれません。(文責:モーニングスター編集部)