野村アセットマネジメントが設定・運用する「野村未来トレンド発見ファンドBコース(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスが好調だ。9月末時点で過去1年間のトータルリターンは28.0%で、今年3月のコロナショックからの立ち直り局面ではMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(税引後配当込み、ドルベース)を大きく上回るパフォーマンスになった。同ファンドの運用について、野村アセットマネジメント運用部株式グループ グローバル株式チーム シニア・インベストメント・オフィサー(グローバル株式)中山貴裕氏(写真左:中央左は中山氏のイラスト)、同チームのポートフォリオ・マネージャー塩月広祐氏(写真:中央右)、運用部プロダクト・マネジメントチーム シニア・ポートフォリオ・マネージャーの長尾智史氏(写真:右)に聞いた。

 ――ファンドはコンセプトとして「旬のテーマの詰め合わせ」を掲げています。「テーマ型ファンド」は、長続きするテーマはないといわれ長期の資産形成にはふさわしくないとの考えもあります。あえて、「テーマ」を設定する狙いは?

中山 当ファンドのマザーは2013年11月に設定し、当社で資金を拠出するパイロット運用をスタートしました。2年間の運用実績を確認した後、2015年11月に当ファンドを設定しています。新興国を含む世界中の株式を投資対象としたグロース(成長)型のファンドで、当社が自己運用しています。

 国内の中小型株で運用する場合は、上場銘柄と新規上場銘柄を含めて、2年ほどをかけて調査訪問活動を続けると、400~500銘柄の投資対象の全てを把握することができます。これと同じように、全世界に散らばる8万~9万社を調査することは実質的に不可能です。そこで成長が期待される「テーマ」を設け、その関連銘柄を調査して銘柄を絞り込むという複数テーマ/マルチテーマのグロースファンドを発想しました。

 ――このファンドで考える「テーマ」とは?

中山 そのテーマだけで関連銘柄群が形成され、1つのファンドとしても十分に通用するほどの魅力あるテーマです。基本的には、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの成長率の2倍程度の高い成長性が見込まれることを条件にしています。

 新しいテーマは常に探していて、ポートフォリオを作るための10のテーマの他に、複数の候補テーマの関連銘柄の動きを常にウオッチしています。採用テーマから外す場合は、成長率が鈍化してきてテーマとして成熟した、すなわち、旬が終わったと判断された時。また、当初想定した成長率が達成できそうもないと判断される場合は外します。

 成長テーマには2つの波があります。最初は期待先行で株価が値上がりします。そして、実需が伴ってくると企業業績の伸びを評価して株価が再び上昇します。当ファンドでは期待先行の段階では投資をしません。成長テーマから、キャッシュフロー(現金収入)が得られているかを確認して投資します。テーマの成長段階にはいくつかのステージがありますが、当社では稼げる力が発揮されている期間を旬として組入れ対象にしています。

 ――ファンドの調査・運用チームは?

中山 当ファンドの専属チームは、東京にグロース株式の運用を行う9名のチームがあります。うち、7名が専属で、エマージング株式で担当兼務が2名です。また、ロンドンのバリュー運用を中心に調査運用をする約10名のチームと、シンガポール、香港、マレーシア、上海の調査チームと連携しています。グローバルトップクラスの運用チームでは、アジアも含めたグローバル・グロース株式の運用には50名~60名で臨んでいるところもあるため比較すると小さいですが、このファンドでは50銘柄程度でポートフォリオを組んでいますので、それら企業をカバーするには十分な運用体制です。

 投資先企業へのコンタクト件数は2019年には年間500件程度です。コロナ禍によって現地訪問の機会はなくなりましたが、代わりに、オンラインツールを使った1対1のミーティングが格段に増えています。

 「テーマ」ごとにポートフォリオ・マネージャーを置いて関連企業の調査分析を行っています。1つのテーマは、それだけで1本のファンドを立てられるくらいの大きなテーマですので、テーマを担当するマネージャーは、1本のファンドを担当する気持ちでテーマを深掘りし、関連銘柄の業績動向をしっかり把握しています。

塩月 私は2017年にチームに参加し、テクノロジー関連の担当ポートフォリオ・マネージャーを務めていますが、テーマ担当制のメリットを強く感じています。たとえば、ズーム(Zoom)に注目し、その技術や成長性が評価できたため、2019年9月に全体会議でこの銘柄を組み入れ候補として紹介しました。すると、教育・働き方改革を担当しているマネージャーから、在宅勤務など働き方改革が言われる中で、自宅で仕事をすることを考えるとズームの仕組みは非常に有望であるという指摘を受けました。それが、コロナショックで強烈に注目され株価も急騰しました。

 似たようなことで、チェグというオンライン教材の会社を紹介した時にも、教育・働き方改革のマネージャーから教育コストの削減という時代の要請に合ったビジネスモデルだという指摘がありました。コロナ禍で広がったオンライン教育の需要で、チェグの株価も今年大きく上昇しています。

 ズームやチェグは、他のマネージャーの後押しがなくても組み入れていたとは思うのですが、違った角度からの魅力を指摘してもらったことで、投資すべきだという確信度が高まりました。このような相互作用が、近年はますます活発に行われるようになっていると感じています。

中山 チームのメンバーは必ず一カ所に集まって運用業務を遂行すべきだと思っています。日常の何気ない会話の中で、お互いに様々な刺激を与えあうことが、運用にはプラスに働く部分があります。

 また、個別の組入れ候補などはテーマ担当のマネージャーが見つけ、銘柄会議でその銘柄の評価を議論しますが、最終的に買う買わないは、リーダーである私が決めています。このことによる決断の速さもパフォーマンスに寄与していると思います。たとえば、前回(2016年)の米国大統領選挙で、トランプ氏が当選する確率はほとんどないといわれる中、リスクシナリオとして、トランプ大統領が勝利したらどうなるかというシミュレーションはしていました。選挙前日までは妄想的なディスカッションだったのですが、トランプ勝利が伝わった当日にポートフォリオの25%程度を一気に入れ替えました。このように機動的に対応できることも当ファンドの強みだと考えています。

 ――直近のパフォーマンスが素晴らしい理由は?

中山 1つの理由は、現在のマーケットがグロース株投資に有利だということです。参考指数に20%も勝っている背景の1つにマーケットのフォローがあると考えられます。もう一つは、2018年頃から起きていたデジタル改革が、コロナ禍によって一気に推し進められた効果が大きいと思います。コロナによって、通常よりも数年速いスピードで普及が進み、それを評価して関連銘柄の株価も短期に大きな値上がりになりました。

 今年7月からは、ポートフォリオのリスク量を、これ以上は上げないように調整しています。7月以降も株価は上昇しましたので、そのままの状態では株価上昇に伴ってリスクが高まるところだったのですが、株価の上昇に伴ってリスクを徐々に落としています。このファンドの特徴として、短期的な市場外のイベントが起こる時には、リスク量をドラスチックに落とすことを行っています。

 ――投資家にメッセージをお願いします。

中山 日本の投資家は、大半の資産を日本円で保有していると思いますが、これからの人口減少、高齢化を考えると日本は成長する経済とは一概には言えません。これに対し、アメリカは人口が増える経済圏ですし、世界には人口が増加し、経済成長率も日本よりも高い国々があります。日本では取ることができない成長株式投資の果実を、グローバル市場に求められる時に、当ファンドは良い投資機会になると思います。グローバル株式のアクティブファンドでも運用コストは年1.705%(税込み)に抑えています。中長期投資の手段の一つとして是非ご検討ください。

長尾 当ファンドは中長期で保有していただくことが重要です。これまで、成長を追求するファンドとして、「DX」「5G」「ゲノム」など、その時々で魅力的なテーマ型ファンドが出てきたと思いますが、その成長テーマがいつまで続くのかという判断は、投資家にゆだねられていました。テーマの成長性が持続しているにもかかわらず、他のファンドに乗り換えてしまったり、そのテーマが旬を過ぎているのに持ち続けて効率の悪い投資になったりしていたと思います。当ファンドは、そのテーマの入れ替えもファンド自体が行います。中長期投資の代表的なグロースファンドとして育てていきたいと考えています。

塩月 このファンドで私たちは「身近に感じる未来」に取り組んでいます。その「未来」をとらえる中にいくつもの魅力的なテーマがあり、それぞれに成長ストーリーがあります。投資家の方々には運用報告の機会で共有していますので具体的にイメージしていただきやすく、多くの方々に当ファンドに賛同いただけると思います。
(同社では同ファンドを「顔の見えるファンド」として、より身近に感じてもらい、中長期で保有してほしいとの思いの元、中山氏をモチーフにしたイラスト展開も企画中)(情報提供:モーニングスター社)