アントグループ(06688)は11月3日、11月5日に予定していた香港メンボードへのH株の上場計画を停止した。「当社が上場資格または開示要件を満たさない可能性があるため、上海証取のSTARMarketへのA株式上場が停止されることを本日中国の関連規制当局から通知された」ため、香港での上場計画も停止すると発表した。上場が実現していれば、約3.6兆円の資金調達を実施し、2019年12月にサウジアラムコが調達した約2.5兆円を上回る史上最大のIPOといわれていた。

 中国での報道によると、中国人民銀行、中国銀行規制委員会、中国証券規制委員会、および、外国為替国家管理局が11月2日に、アントグループの会長と社長に監督インタビューを行ったという。規制当局は、アントグループを金融持ち株会社として扱い、同社は銀行と同様の資本規制とレバレッジ規制を遵守する必要があるとの見方を示したようだ。

 中国本土の規制当局は、金融サービス事業者に対して、資本とライセンスの要件、ローン金利の上限、消費者ローンの資金調達のための資産担保証券の使用の制限などで最近一連の新しい規制を導入し、これがアントグループの経営に影響を与える可能性がある。たとえば、中国銀行保険規制委員会と中国人民銀行が発表した「オンライン小口融資の管理のための暫定措置」(要請意見草案)は、オンライン小規模ローン会社の基準を大幅に引き上げ、オンライン小規模ローンに従事する企業は10億人民元(約156億円)以上の登録資本を持ち、オンライン小規模ローンの州を越えた運営は50億元(780億円)以上にする必要があると規定している。このため、小さなP2Pなどマイクロファイナンス事業者は営業の継続ができなくなってしまう。

 香港、および、中国本土の投資家は、アントグループの新規上場に大きな関心を持っていただけに、突然の上場計画の停止に混乱しているようだ。ただ、現地のメディアなどは、規制当局による投資家を保護する方針にアントグループが従っただけであるとして、冷静に対処するように呼び掛けている。

 あるメディアでは、今回の措置は、2019年7月に予定していた上場計画を一旦停止した百威亜太(バドワイザーAPAC、01876)と同様であると解説している。百威亜太は7月19日に予定した上場を一旦は取り下げたものの、9月30日に新規上場を果たしている。7月19日時点の募集レンジは40香港ドル以上47香港ドル未満だったが、9月に募集した際には公募株数を縮小した上で募集価格も27香港ドル以上30香港ドル未満に条件を引き下げた。(イメージ写真提供:123RF)