コロナ禍が続く中、市場をけん引している米国テクノロジー株だが、ここにきて上昇に待ったがかかっているように見える。AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーの進化・発展は間違いないと思われるが、テクノロジー株式の株価は上下に大きくブレている。中には、業績が期待ほど伸びずに株価が急落するテクノロジー銘柄も出てきた。引き続き好パフォーマンスを継続している三井住友DSアセットマネジメントが運用する「グローバルAIファンド」について、三井住友DSアセットマネジメントの田村一誠氏、そして、実質的な運用を担っているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの井村真也氏と滝沢圭氏に、同ファンドが好調な運用成績を維持する銘柄選択の具体的な手法に迫った。

 ――今の市場についての見方は?

井村 ヨーロッパでコロナ感染が再拡大し、米国大統領選挙の決着待ちの状況も加わって市場の不安定さは増している。ただ、コロナ禍については既に経験したことであり、感染抑制策についての知識も広まり、ワクチンや治療薬の開発も進展している。再び、3月のような大きな下落にはならないと考える。大統領選が決着するとともに、市場に落ち着きは戻るだろう。

 一方、テクノロジー関連株式は、デジタル・イノベーションの進展について疑いはなく、今後も引き続き市場のけん引役を担っていくものと考えられる。ただ、決算の数値が明らかになると、従前の予想を上回るところと、予想ほど業績が伸びていないところで明暗が分かれてきた。同じテクノロジーのカテゴリーの中でも株価の強弱もある。銘柄選別が重要になってきていると思う。

滝沢 テクノロジー株式は株価が買われ過ぎとの見方もあるが、それは一面的に過ぎると思う。「グローバルAIファンド」の運用チームは、目標株価に到達した銘柄には一旦利益を確定し、また、損切りラインにタッチした銘柄は、一旦はポジションを外して、改めて業績見通しなどを精査して再エントリーすべきかを検討するなど、非常にきめ細かな運用をしている。

 たとえば、一般的に1年先の予想業績に対してPER(株価収益率)が市場平均の何倍にもなって割高だといわれるが、当ファンドでは、3年、4年先の予想利益水準に対して妥当かという視点も持って判断している。また、創業間もなく売り上げが大きく伸びている企業では、売上高の成長率に加えて、EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、および、減価償却費を加算した値)の水準や成長率にも注目して評価するなどしている。経営陣の考え方や手法によって企業価値は異なる。その見極めが重要だ。

 当ファンドの運用チームは、業界で20年以上の経験を積んだメンバーが中心となっている。主要なテック企業の経営陣とは、定期的にミーティングを持てる関係を持ち、ライバル企業動向や業界全体の行方など、総合的な観点で個々の企業価値を判断している。そこが、運用の安定性や安心感につながっていると思う。

 ――具体的なテクノロジー株、銘柄選択(投資方法)のポイントは?

井村 クラウド・ストライクは、巧妙・複雑化するサイバー攻撃へのセキュリティ企業としてデジタル・トランスフォーメーション(DX)関連銘柄として大いに注目を集めた。ただ、2019年6月に新規上場した直後に株価が上昇したものの、バリュエーション面で割高と判断し、積極的な投資を控え、9月に調整した局面で投資を拡大した。その後、新型コロナを機に在宅勤務やクラウド・ベースのサービスが拡大する中、セキュリティ需要が高まり、株価が大きく上昇し、ファンドの基準価額の上昇に寄与した。

 一方、ニコラは、電気・水素燃料自動車メーカーで、2020年3月に新規上場し、新たな次世代自動車メーカーとして上場後株価は大きく上昇した。ただ、2022年にようやく生産開始されること等を勘案すると、相当将来の見通しが株価に反映されてしまっていると判断し、投資は見送った。その後、米調査会社が二コラの技術に疑義があると発表し、創業者の元会長の不祥事も重なり、株価は高値から70%超下落してしまった。

 同じ次世代自動車メーカーでもテスラは、2019年後半から20年の年初に株価が上昇し、目標株価に到達したためウエイトを一旦は引き下げたものの、コロナショックで株価が調整する局面で再びウエイトを引き上げた。結果、株価は底値から大きく上昇し、パフォーマンスに貢献した。直近の決算は、高い市場の期待値を上回る良好な内容であり、来年は50%超の大幅売上増が期待され、また、自動運転用ソフトウエアの販売増による利益率向上等を考慮し、強気の投資スタンスを維持している。

 あるいは、エッジ・コンピューティング・プラットフォームを提供するファストリーは、今年5月から投資を開始し、株価が10月までに大きく上昇する一方、10月に入ると段階的に利益確定をして投資比率を引き下げた。経営陣と対話を重ねる中で、エッジ・コンピューティングの高い将来性の一方、短期的なビジネスリスクを認識したが、投資家はこのリスクを無視し、過度にエッジ・コンピューティングへの期待が大きいと判断したためだ。その後、7-9月の暫定決算で、売上の見通しを下方修正したことで、失望売りが発生し、株価が大きく下落したものの、事前にウエイトを引き下げていたことで、大幅なマイナスのリターンを回避することができた。

 このように、銘柄選択に際しては、厳格なバリュエーション分析が不可欠になる。一律に特定のバリュエーション指標を適用するのではなく、各企業の成長ステージ等に応じて適切なバリュエーション指標で評価し、徹底した企業分析、バリュエーション評価により目標株価を算出、規律ある売買を実施することが重要だ。

 ――精度の高い目標株価が算定できる背景は?

滝沢 企業の本質的な分析には経営陣との直接の面談が重要だ。グローバルAI運用チーム(5名)は、年間500~600件、電話会議を含め経営陣と対話している。ファストリーや、クラウド・ストライク、スクエア、スナップ等ファンドの保有上位の企業の経営陣とは定期的に対話の機会を持っている。新型コロナ以降、DXが進んでおり、ビデオ会議もスムーズで、全体の面談件数はコロナ前よりも増えている。

 また、当社のリサーチの特徴として「グラスルーツ・リサーチ(草の根調査)」というエンド・ユーザー目線での調査も活用している。たとえば、最近話題のスナップというSNSツールについて、グラスルーツ・リサーチを実施し、多方面へのインタビュー取材の結果、10代から20代に広く流行していることが確認できた。また、同時に広告主に対しても調査を行い、広告主の評価が高いことも確認した。調査当時には広告収入は大きな収益源となっていなかったが、この調査の結果、広告媒体として有望なことが分かり、同社の収益性に対し確信を持って投資することができた。

 このように、業界を長年ウォッチしているベテランアナリストの視点に加え、一般ユーザーの視点も取り入れて運用に活かすところに、当ファンドの調査分析力の精度の高さがうかがえると思う。テクノロジーは進化・発展していくのは間違いないが、これからのテクノロジー株式への投資は銘柄の見極めが重要になる。今後もその利益を享受していくために、プロに任せていただく「グローバルAIファンド」を選択していただきたい。

 ――それでも解約したい方へのアドバイスは?

田村 まずは、当ファンドに投資を決断された時に感じられたAIの中長期にわたる成長期待を改めて思い起こしていただき、解約を思いとどまっていただきたい。3年ほど前に、当ファンドの基準価額が急上昇し1万7000円ほどに上がった時に、解約して他の銘柄にしたいというご相談をずいぶん受けたが、今年は2万7000円台に値上がりしている。他の銘柄に乗り換えて、基準価額が1万円も値上がりするファンドがどれほどあっただろう?

 今再び基準価額3万円を手前にして、値上がりし過ぎているとご懸念もあるかと思うが、3年後には、なぜあの時に解約してしまったのかと後悔されるのではないかと思う。このファンドは、将来の基準価額が5万円、10万円になっても何ら不思議はない。じっくりと、長期の資産形成をお考えいただきたい。

 もっとも、せっかく値上がりしたのだから、値上がり分は利益確定したいという考えもあると思う。「予想分配金提示型」は、投資資産の投資収益部分だけを一部分利益確定して手元に戻してくれる効果がある投資コースとして用意した。「将来楽しみな資産を保有しつつ、値上がりした分だけは、その都度利益確定して長期で投資を楽しむ」という使い方ができると思う。

 「グローバルAIファンド」は、2016年9月9日に設定した年1回決算型に加えて、2019年10月7日に「予想分配金提示型」を新設した。値動きが大きなファンドを安心して保有していただくには、積立投資で投資タイミングを分散する方法もあるが、「予想分配金提示型」を選ぶ方法もあると思う。「予想分配金提示型」は、収益を元本に上乗せして複利で資産を増やしていく年1回決算型よりも、資産の運用効率は劣る。長期で運用を継続するための1つの手段としてご検討いただきたい。(情報提供:モーニングスター社)(グラフは、「グローバルAIファンド」におけるテスラ株式の組入比率と株価の推移。2019年9月~2020年10月)