京写 <6837> (JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。独自の印刷技術を活用し、電子部品業界の微細化ニーズに対応した新製品による差別化・シェア拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けるが、後半の需要回復を期待したい。またベトナム新工場の稼働・収益化も期待したい。株価はモミ合いから上放れの動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお10月30日に第2四半期決算発表を予定している。
 
■プリント配線板の大手メーカー
 
 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。
 
 プリント配線板はスクリーン印刷技術をベースとして、防塵対策基板、熱伝導放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持っている。そして電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板や、伸縮性のある材料にスクリーン印刷で直接回路を形成するストレッチャブル基板(プリンタブル基板)などの受注拡大が期待されている。
 
 20年3月期の売上高は日本98億34百万円、中国78億91百万円、インドネシア12億96百万円、営業利益は日本▲2億13百万円、中国3億12百万円、インドネシア▲43百万円だった。
 
 用途別売上構成比は、自動車関連(ライト、電装品など)が32.9%、家電製品(LED照明、エアコンなど)が22.6%、事務機(複写機、プリンターなど)が11.0%、電子部品・電子機器(電源、モーター、制御装置など)が9.1%、映像関連(薄型テレビなど)が6.7%、アミューズメント(家庭用ゲーム機など)が1.3%、その他(音響機器、通信機器など)が16.4%だった。収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。
 
 生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。18年5月には中国で両面配線板および多層配線板の生産を委託しているサンティス香港、およびその子会社のサンティス南沙と資本・業務提携した。19年6月にはメキシコ子会社で実装搬送治具の製造を開始した。
 
 20年3月には京写ベトナムが、自動車関連の電子部品実装のエヌビーシー(岐阜県大垣市)と資本業務提携(20年7月エヌビーシーが京写ベトナムに出資)した。エヌビーシーとは05年から資本業務提携して協力関係を築いている。両面配線板の新たな生産拠点となる京写ベトナムは20年3月工場が完成し、稼働準備中である。
 
■独自の印刷技術を活用した新製品
 
 中期経営計画(20年3月期~24年3月期)では、目標数値に24年3月期の売上高320億円、営業利益15億円、営業利益率4.7%、ROE10%、配当性向25%以上を掲げている。製品別売上高は片面配線板145億円(独自技術を活用した金属基盤46億円含む)、両面配線板125億円、新製品15億円、実装関連10億円、拠点別売上高(連結調整前)は日本140億円、中国145億円、インドネシア25億円、ベトナム(20年4月稼働予定)50億円としている。
 
 6つの重点戦略として、グローバル供給体制、戦略的ネットワークによる競争優位獲得、IT化・自動化によるコスト競争力強化、独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大、成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営、人財戦略を推進する。
 
 グローバル供給体制は、優位性のある片面配線板や印刷技術の提案、ベトナムにおける両面配線板生産体制の確立、営業拠点の再編・最適化、メキシコEMSやアセアンEMSへの治具販売強化などを推進する。戦略的ネットワークによる競争優位獲得は、主要材料メーカー・EMS・商社・OEM協力先・同業との戦略的業務提携・パートナーシップ構築による製品開発や販路拡大、産学官連携による共同研究などを推進する。
 
 IT化・自動化によるコスト競争力強化は、生産地・生産方式の最適化、新潟工場の能力アップと京都工場の少量多品種化、AIスマート工場化など省人化・自動化投資を継続的に推進する。独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大は、両面から片面への基板低層化提案、0603実装部品対応基板など電子部品業界における微細化ニーズへの対応、金属基盤やストレッチャブル基板の量産などを推進する。
 
 成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営は、成長事業への優先投資と早期収益化による投資回収、自己資本の充実、有利子負債の適正化、積極的な株主還元などを推進する。人財戦略は、グローバルマネジメント人材の育成、グループCSR体制の構築、BCP・BCMのグローバル展開、職場環境の向上、ITやIoT活用による業務効率化などを推進する。
 
 20年1月にはスクリーン印刷法による治具製造技術をベースとして、世界初のノンシリコーンでも高温工程で繰り返し使用可能な部品搬送用キャリアの開発を発表した。国内工場で試作品の受注を開始している。
 
■21年3月期予想は新型コロナ影響で未定、後半の需要回復期待
 
 21年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比14.7%減の40億06百万円、営業利益が1億08百万円の赤字(前年同期は2百万円の黒字)、経常利益が1億48百万円の赤字(同1百万円の赤字)、純利益が1億28百万円の赤字(同6百万円の赤字)だった。
 
 実装関連の搬送用治具が堅調に推移し、プリント配線板もスマートグリッド関連など一部好調な分野があったが、新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で自動車生産台数が減少し、国内とインドネシアで自動車関連の売上が大幅に減少した。中国では事務機や家電製品分野が減少した。経費削減などの施策を進めたが、急激な売上減少をカバーできず営業赤字だった。
 
 通期予想は未定としている。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で厳しい状況だが、後半の需要回復を期待したい。
 
 ベトナム新工場(京写ベトナム)については20年3月に完成し、設備搬入も完了している。ベトナムへの移動制限の緩和で設備調整・立ち上げ準備を進められる状況となったため、年内稼働を目指している。すでに複数の新規案件の受注を獲得しているもようであり、早期の稼働・収益化を期待したい。
 
■株価はモミ合い上放れの動き
 
 株価は上値の重い展開だが、徐々に下値を切り上げてモミ合いから上放れの動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。10月15日の終値は272円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS454円87銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約40億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)