過去1年間を振り返ると、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」や「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G)」などが1000億円以上の流入超過となり、為替ヘッジなしの大型テクノロジー関連ファンドへの注目度が高い。ただ、個別ファンドでみると、8月末基準の3カ月トータルリターンでは「世界小型株厳選ファンド」が16.36%と、「netWIN」の20.84%には及ばないものの、「THE 5G」の15.11%を上回っている。規模が小さいながら卓越したパフォーマンスを残している「世界小型株厳選ファンド」の特徴や運用実態について、設定・運用する三井住友DSアセットマネジメントの武田敦氏と、ファンドの実質的な運用を行っているスタンダード・ライフ・インベストメンツのグループ会社であるアバディーン・スタンダード・インベストメンツの宮崎浩司氏に聞いた。

 ――「世界小型株厳選ファンド」は、2019年2月設定で、ファンドの規模は小さいものの今年8月末時点で過去1年間のトータルリターンが23.80%と国際株式を投資対象としたファンドの中で上位の成績を残しています。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表される大型ハイテク株に人気が集中していますが、それらに投資しない小型株ファンドに注目する理由は?

武田 当ファンドは世界の小型株式の中から成長力の高い銘柄を厳選して投資するファンドです。コロナショックを前後してGAFAに代表される大型ハイテク企業の株高がけん引して米国株式が史上最高値を更新しました。コロナショックで下落した後の回復局面においても、依然としてGAFAなどが市場の主役といえる存在です。

 しかし、過去を振り返ると大型株式と小型株式は、好不調の波を交互に繰り返してきました。当ファンドの運用戦略は2012年1月から実績がありますが、大型株の影響が強いNASDAQ総合指数のパフォーマンスを比較すると、2014年までは当ファンドの主要投資対象である小型株優位の状態が続きましたが、2014年から2016年はNASDAQ総合が優位、2016年から2018年は小型株優位となり、2018年以降はNASDAQ総合が小型株をアウトパフォームしています。2-3年ごとに主役が交代してきました。

 この結果、2017年初頭には世界大型株指数(MACI ACWI Index)と世界小型株指数(MSCI ACWI Small Cap Index)の相対PERは1.0程度でしたが、大型株式の株価が値上がりする中で相対PERがどんどん低下し、今年になって0.7に近づいています。それだけ小型株の割安感が強まってきているのが現在です。大型ハイテク株の人気は、簡単には衰えないかもしれませんが、いわゆる「高値波乱」で短期間に大きく値動きするリスクも高まっています。これからの投資には、小型株への投資もご検討いただきたいと考えます。
 

 ――当ファンドの特徴は?

宮崎 世界に、中小型株式のユニバースは約6000銘柄ありますが、その中でボトムアップによって成長企業を厳選し、50銘柄程度でポートフォリオを作ります。銘柄選定の着眼点を一言でいえば、特定の分野で高い競争力を維持する「グローバル・ニッチ・トップを選ぶ」ということです。銘柄選定の条件は経営の高いクオリティ、成長の継続性の高さなどですが、様々な分野の実力者を選ぶことで、大手企業には参入し難い強みがあり、成長の継続性につながると考えています。

 ここ数年は、大型株優位の展開が続いていたにもかかわらず、当戦略が優れたパフォーマンスを残せたのは、企業の実力を見極めた投資に徹してきたからだと思います。これらの企業の株価は、今年上半期のコロナショックで市場が大きく下落する中でも踏みとどまった企業が多かったように、ビジネスのモデルがしっかりしているため、不況でも業績が安定しているという特徴があります。

 ――運用の特徴は?

宮崎 運用の拠点は、スコットランドのエジンバラにあります。世界各国に運用拠点を擁しており、米国にもフィラデルフィアとボストンに拠点があり、米国小型株式のリサーチなどではこうした現地の運用拠点と連携しています。小型株チームの年間調査件数は400件以上で、こまめに訪問し、足で稼ぐ現地調査を重視しています。本社が拠点としているエジンバラは、企業のロードショーも多く、こちらから訪問するだけでなく、企業側から説明に来てくれることも少なくありません。

 運用プロセスは、まず定量的なスクリーニングをかけて、投資ユニバースとなる世界の中小型株6000銘柄から、「モメンタム」「グロース」「バリュエーション」「クオリティ」の様々な指標を使って4ファクターを点数化し、銘柄ごとにスコアをつけてランキングされた上位20%に特に注目します。さらに流動性を考慮して800銘柄程度に絞り込んだ上で、個別調査を実施します。

 しっかり調査をした上で、投資した企業は比較的じっくり保有します。平均の売買回転率はおおむね20~30%で、3~4年で1回転するようなイメージです。当ファンドでは比較的長期に投資をしていますので、その後の成長によって中型株になっても成長余力があると判断する場合は、保有を続けるという特徴があります。

 また、将来的な成長を見ていますので、EPS成長率が高く、PERも高めに出る傾向があります。現在のポートフォリオでは当社の予想EPS成長率が2年間で200%になっています。NASDAQ総合が60%、世界小型株が105%程度です。成長力の高い企業をピックアップしていることが分かっていただけると思います。

 ――具体的な注目銘柄は?

宮崎 たとえば、チエグは、米国のオンライン教育プラットフォームを提供する会社で、Webで授業を行なっていますが、大学なども教科書のオンライン化を進める中で市場の注目度が高まってきました。

 プールは、社名の通り、プールを設置している米国の会社ですが、メンテナンスなどの業務で継続的な収益を得ています。巣篭もり消費で、自宅にプールを設置しようという動きが強くなり、業績が伸びています。このように、大手が参入しにくい分野で活躍する企業に注目しています。

 このような成長余力の大きな小型株式は、短期間に大きく値上がりすることがあります。たとえば、類似戦略において、日本株ではZOZOTOWNを運営する旧スタートトゥデイ(現ZOZO)にかつて投資していましたが、2013年から2018年に株価は300%上昇しました。

 米国のAlign Technologyは、歯列矯正で使われる3Dデジタルスキャナーとクリアアライナー(透明なマウスピース)のメーカーですが2015年から3年間で600%上昇するなど、2012年から運用を開始した以降でも、短期間で大きく値上がりした銘柄があります。

 今後も当戦略で投資している銘柄の中から、現在のGAFAのような銘柄が生まれてくると思います。

 大型のテクノロジー株式は、コロナ後の相場で大きく値上がりした銘柄も多く、割高感が指摘される銘柄もあります。その中で、小型株には市場の人気が回ってこず、質の高い経営を行なっている企業は、不透明な中で、安心して持っていられると思います。

 当戦略の過去のパフォーマンスは、類似戦略で見ると、上昇局面では市場が100値上がりすることに対し市場を上回る121の上昇となる一方、下落局面では100の下落に対して、85の下落に留まるなど上昇・下落、いずれの局面においても強いという結果を出しています。この特性を受けて現在の基準価額は、コロナショック前の水準を上回って堅調に推移しています。

 ――当ファンドの活用の仕方は?

武田 過去22年間を振り返ると、世界株指数に対して小型株指数はパフォーマンスで優位な成績になっています。この戦略と類似運用戦略のパフォーマンスは、小型株指数より高い運用成績を残しています。たとえば、2012年1月末を100とすると、2020年7月末に世界小型株式は198ですが、当ファンドと類似運用戦略の運用実績は298です。直近でも2019年12月末を100とすると、2020年8月末で世界小型株式は93ですが、当ファンドは113です。

 世界の中小型株式に投資する国内公募ファンド44本の中で、当ファンドは、今年1-6月、4‐6月でトップのトータルリターンを残しています。過去の運用成績を振り返ると、大型株優位の相場でもその相場についていき、その後の中小型株優位の相場でも圧倒的なパフォーマンスを出してきました。皆さまの運用資産の一部でも、当ファンドのような優れた運用実績のある小型株ファンドに投資することをご検討ください。(グラフは、「世界小型株厳選ファンド」の2020年のパフォーマンス)(情報提供:モーニングスター社)