106円台で推移していたドル円は、米国株の大幅な続落を受け、リスク回避の円買いが優勢となり、105円87銭まで下落。ユ―ロドルはドル安の流れから買われたものの、上値は重く、1.18台に乗せるのが精一杯。明日のECB理事会を控え、ユーロ高をけん制する発言への警戒感が重石に。

 株式市場は大幅に売られ、3営業日続落。ナスダックはハイテク株が軒並み売られ465ポイント下落。これで直近高値から10%以上下げ、調整局面入りしたとの声も。株価の大幅下落に債券価格は上昇。長期金利は0.67%台へと低下。金は4営業日ぶりに反発。原油は景気低迷が長引くとの見方から3ドル超える大幅安に。

7月消費者信用残高 → 122.5億ドル

ドル/円   105.87 ~ 106.28
ユーロ/ドル 1.1766 ~ 1.1806
ユーロ/円  124.69 ~ 125.35
NYダウ   -632.42 → 27,500.89ドル
GOLD   +8.90   → 1,943.20ドル
WTI    -3.01   → 36.76ドル
米10年国債 -0.039  → 0.679%

本日の注目イベント

豪  9月NAB企業景況感指数
中  8月消費者物価指数
中  8月生産者物価指数
加  8月住宅着工件数
加  中銀政策金利発表

 昨日この欄でも指摘したように、3連休明けのNY市場で連休前から「調整色」の強まっている株式市場が切り返して上昇基調に戻れるのか、あるいはさらに下落して本格的な「調整局面入り」への歩みを進めるのかが焦点でしたが、結果は後者でした。

 NY株式市場では前日トランプ大統領が「中国とのデカップリングも辞さない」と発言したことが蒸し返されたことや、さらに米議会では追加の景気対策を巡る攻防が激しさを増していること。またトランプ政権が、中国当局がイスラム教徒のウイグル族を抑圧しているとして、中国・新疆ウイグル自治区の企業3社から製品輸入禁止を発表したことなどが材料視され、大幅続落につながったようです。昨日は特に電気自動車メーカーの「テスラ」が大きく売られ、上場以来最大の値下がりとなる21%安で引けています。

 ハイテク株の割合が多いナスダック指数は、先週2日には最高値「12,056ポイント」で引けていましたが、昨日の下げで高値からの下げ幅は10%を超えています。一般的には高値から10%を超えて下げると「調整局面入り」と考えられ、これまで順調に上昇を続けてきたアマゾンやアップルなどのハイテク株が、ある程度の期間調整を続ける可能性があります。この欄でも何度か述べてきましたが、業績からは説明がつかない程上昇してきたハイテク株にも、ようやく「試練」が訪れた格好です。株価の大幅安を受け、ドル円は106円台を割り込み、105円87銭まで売られ、ユーロ円などクロス円でも円高が進んでいます。

 昨日は原油価格も大幅に売られています。WTI原油価格は3ドルを超える下落です。アジアで消費の回復が失速していることや、OPECプラスによる供給増から、相場に短期的な暗い見通しが示唆された(ブルームバーグ)ことが背景です。WTI原油価格は36ドル台後半まで下げ、約3カ月ぶりの水準を付けました。円が買われ、米国債も買われ、リスク資産の株価が調整色を強めるなど、「リスク回避モード」が色濃くなってきました。ただ、恐怖指数と言われる「VIX指数」は上昇しました。それでも足元では「31.46」と、危険水域と言われる「20」を超えていますが、それほど目立った上昇は見せていません。今年3月の「コロナショック」時には、「82.67」まで上昇した経緯があります。警戒感は必要ですが、ドル円やゴールド、あるいは上記「VIX指数」の水準を考えると、まだ一気にリスク回避モードに突入するとは思えず、いましばらく各市場の動きを注視したいところです。

 ドル円は過去3カ月の間、「日足」ではローソク足が雲を明確に上抜けしたことはありません。従って、まだドルの上値が抑えられる展開が続いていると見られます。一方で目先の下値のメドと見られる105円50銭を、8月末以来割り込んでいないのも事実です。本日は日本株も相当下げがきついと思われ、105円50銭が抜けるかどうかが一つの焦点です。今週全体を通して、NY株がどこで下げ止まるのか、あるいは一段の下げを見せるのかと共に、本格的なリスク回避の動きにつながるのかを意識して見極めたいと思います。また米議会で紛糾している追加の景気刺激策の行方には注意が必要です。追加の景気対策案がまとまれば、株価反発のきっかけになる可能性があるからです。マコネル共和党上院院内総務は従来の規模を縮小した法案を提出し、「週内にも本会議での採決を実施するため今日中にすぐ動く」と語り、議会での採決に意欲的な姿勢を示しています。

 本日のドル円は105円50銭~106円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)