8月の雇用統計が良好だったことや、長期金利の上昇にドル円は106円50銭まで買われた。ただその後は株式市場が続落したことからやや軟調な展開となり越週。ユーロドルは1.1781まで売られた後、1.18台半ばまで反発。

 株式市場は続落。ダウは大きく値を下げたが引け値では159ドル安。アマゾンやアップルなどが売られたことでナスダックも続落。債券は大幅に反落。長期金利は0.71%台を回復。金と原油はともに3日続落。

8月失業率        → 8.4%
8月非農業部門雇用者数  → 137.1万人
8月平均時給 (前月比) → 0.4%
8月平均時給 (前年比) → 4.7%
8月労働参加率      → 61.7%

ドル/円   106.18 ~ 106.50
ユーロ/ドル 1.1781 ~ 1.1855
ユーロ/円  125.30 ~ 125.96
NYダウ   -159.42 → 28,133.31ドル
GOLD   -3.50   → 1,934.30ドル
WTI    -1.60   → 39.77ドル
米10年国債 +0.083  → 0.718%

本日の注目イベント

日  7月景気先行指数(CI)(速報値)
中  中国8月外貨準備高
中  中国 8月貿易統計
独  独7月鉱工業生産
米  NY休場(レーバーデー)

 8月の雇用統計では失業率が大幅に改善して。8.4%まで低下しましたが、非農業部門雇用者数は137.1万人と、市場予想を下回っています。雇用者数の増加は続いているものの、増加の勢いは鈍化しているようです。ドル円は雇用統計を受けてドル買いで反応し、106円50銭まで買われましたが、そこを天井にやや軟調に推移しています。前日も同じようにドルが買われた際に、同水準をトップに反落しており、106円台ミドルがやや「壁」になりつつあります。低金利が当分継続されるとの見方が基本となり、依然としてドルの先安感が優勢な状況の中、機関投資家や輸出業者はドルの戻りを売る姿勢を維持していることが背景だと思われ、「最早このレベルでドルを売る必要はない」といった共通の認識が出来るには、まだまだ時間がかかり、状況の急劇な変化を必要とします。

 米株式市場が先週木曜日から突然変調をきたし、金曜日も続落しています。これまでの上昇基調にやや変化が出てきたことから、「大幅な調整局面の始まりの第一歩」と見る株式専門家も出てきたようです。金融政策や外部環境に特段目立った変化があったわけではありませんが、過去の大幅な調整局面でも、このように「はっきりとした下落要因がない中」なんとなく下げ、気が付けば、大きな下落幅になっていたことは何度かあります。一方で強気の専門家は今回の下落を「健全な調整」(Health y Correction)と呼び、一時的なものであるとの見方を示しています。個人的には、これほど上昇していたことから、後者の見方に組みしたいと思いますが、注意は必要です。アマゾンやアップルなどIT株が連日上場来高値を記録しましたが、その背景には「ソフトバンクグループ」のデリバティブ取引があったと英FT紙が報じています。将来決まった値段で株を買う権利である「コール・オプション」40億ドル(約4250億円)を数カ月かけて積み上げ、株価大幅上昇の一因になっていたと報じています。

 パウエルFRB議長は4日、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とのインタビューで、8月の雇用統計が良好な内容だったものの、米経済の新型コロナウイルスからの回復は今後長い道のりとなり、金利が長期間低水準にとどまるだろうと述べています。議長は、「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」と述べ、金融政策については「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」と指摘しました。また、米国株の水準にはコメントしたくないと答えましたが、FRBの緩和政策が株価のバブルにつながっているとの見方には否定的な見解を示しています。(ブルームバーグ)

 ドル円は上値が重いながらも底堅い動きが続いています。引き続きユーロドルの動きがカギの一つではありますが、上で述べたように、米株式市場の動きにも注意が必要です。上値は上記106円50銭前後を明確に超えていけるかどうかです。日本の次期首相も菅氏で決まりでしょうから、政策に大きな変化はなく、アベノミクスならぬ、「スガノミクス」をぶち上げる可能性もないとは言えません。このため、日本の政局不安による為替への影響はないと思われます。

 本日のドル円は105円90銭~106円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)