ドル円は上昇し、朝方には106円55銭まで買われたが、NY株の急落と長期金利の低下に106円近辺まで押し戻される。ユーロドルは続落し欧州時間には1.18台を割り込む。NYでは1.18台前半から半ばで推移。

 株式市場は大幅安。ダウは一時1000ドルを超える下げを見せ、引け値では807ドル安。このところの上昇をけん引してきたアマゾンなどGAFAも利益確定の売りに押され大きく下げる。債券相場は5日続伸。長期金利は0.63%台へと低下。金と原油は続落。

新規失業保険申請件数    → 88.1万件
7月貿易収支        → -636億ドル
8月ISM非製造業景況指数 → 56.9

ドル/円   106.00 ~ 106.55
ユーロ/ドル 1.1808 ~ 1.1865
ユーロ/円  125.30 ~ 126.02
NYダウ   -807.77 → 28,292.73ドル
GOLD   -6.90   → 1,937.80ドル
WTI    -0.14   → 41.37ドル 
米10年国債 -0.013  → 0.635%

【本日の注目イベント】

豪  豪7月小売売上高
独  独7月製造業新規受注
米  8月雇用統計
加  カナダ8月就業者数
加  カナダ8月失業率

 昨日のコメントの最後で、ドル円は106円台半ばを超える可能性があると指摘しましたが、NY市場では朝方に106円55銭までドル高が進んでいます。そこまでは良かったのですが、株式市場の急落により「リスク回避の円買い」が復活し、106円前後まで押し戻されました。ユーロドルも一時は1.18台を割り込み、欧州市場の朝方には1.1790までユーロが売られました。これまで一貫して買われて来たアマゾンやアップルなどIT株が大きく売られ、ユーロが売られ、円が売られ、ドルが買い戻されています。結局これまでの一連の動きの巻き戻しということになります。これを「利益確定の売り」と市場は呼んでいます。上がり続ける相場はありません。

 NY株式市場での株価の大幅下落も予想の範囲内です。ナスダック指数は、1日で1000ポイント下落してもおかしくはないと、考えていました。なぜなら来週月曜日、米国は「レーバーデー」のため祝日となり、3連休です。連休中に何があるかわからないため、投資家は一旦「利益の一部は確保しておきたい」と考えるのは極めて自然です。筆者は本日、週末のNYでは大幅な下げがあるかもしれないと読んでいましたが、昨日起きてしまいました。従って、今夜のNYではさらに下げるのか、あるいは昨日の動きで調整は終わったのか、これは判りません。今夜は雇用統計も発表されることもあり、予想ほど雇用の回復が進んでいないという状況が確認できるようだと、昨日の動きの「再現」もありそうです。事前予想では、雇用回復の足どりは重いと見られています。

 それでも、昨日発表された新規失業保険申請件数は88万1000件と、3月第3週以来の100万件割れで、ここを見る限り企業の再雇用はサービス業を中心に回復基調にあるように思えます。また米供給管理協会(ISM)が発表した8月の非製造業景況指数は予想を下回ったものの、内訳を見ると、雇用指数は前月の「42.1」から「47.9」と上昇しており、6カ月ぶりの高水準でした。ここでもサービス業では再雇用の動きが継続されていることが分かりますが、ISMの委員長は、「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していない業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」と説明していました。

 シカゴ連銀のエバンス総裁は3日バーチャル形式のイベントで、「党利党略の政治が、財政による追加の支援策を危機にさらしている」と、追加の景気対策を巡って対立している議会を批判し、「行動の欠如または不足は、現在の経済情勢に極めて大きな下振れリスクとなる」と述べています。総裁は、「ウイルスのコントロールが着実に進展し、財政による追加支援が行われたとしても、経済が打撃から回復するにはある程度の時間がかかるだろう」との認識を示し、失業率は2020年末になっても5-5.5%のレンジに留まるとの見方を示しました。(ブルームバーグ)エバンス総裁はもともとハト派の代表格の1人ですが、仮に同総裁の「見立て」が正しいとすれば、今後米国の「ゼロ金利政策」は長期にわたって継続されることになり、株価にとってはプラスに働きます。その結果、景気は元に戻らない中でも株価の上昇が続き、ドル安傾向が続くのではないかと、個人的には「見立てて」いる状況です。

 先週0.75%台まで上昇した米10年債利回りは、0.63%台まで低下してきました。言うまでもなく、FRBがインフレ目標を変更したことによる影響が大きいと思われます。一方で、米議会予算局は20年度の連邦政府債務は前年度の3倍となり、過去最悪の26兆ドル(約2756兆円)に膨らむとの予想を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大による景気への落ち込みを阻止するための財政出動が大きく、GDP比でも126%に達するようです。この比率は主要国では日本、イタリに次ぐ水準で、米国の「日本化」がジワジワと進行しています。単純には言えませんが、米金利が1%上昇したら、金利負担だけでも27兆円増えることになります。このことは日本についても言えますが、日米財政当局は金利上昇を嫌うことになるのでしょう。

 本日のドル円は105円50銭~106円50銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)