マネックス・アセットマネジメントが6月25日に設定した「マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)」は、一般には機関投資家向けに設定されてきたアクティビスト・ファンドを、個人向けに公募投信のカタチで提供するという世界でも類のない取り組みとして注目される。マネックスグループ代表執行役社長CEOの松本大氏(写真)は、様々な機会を通じて設定の狙い等について語っている。このたび、個人投資家を集めて率直な意見交換会を開催し、個人投資家からのストレートな意見に真摯に回答した。

 松本氏は、「マネックス・アクティビスト・ファンド」の設定の狙いを「個人投資家が普通に考えて、良いと思う提案を企業に直接ぶつけて、個人投資家と企業との関係を近づける役割を担う」と語っている。

 「22年前にマネックス証券を作った時、個人投資家の方にもプロと同じサービスを提供しようと考えました。より速い注文執行、情報の提供、コスト削減などをやってきました。20年前と比べると、個人投資家はプロと同じようなレベルでサービスを受けられるようになってきたと思います。ところが、未だに、発行体に対して意見を言うことでは、機関投資家であるプロと個人投資家の間には雲泥の差があります。この発行企業と個人の距離を縮めたいと思っています」と、株式を保有して経営者に積極的な提言を行う「アクティビスト」こそ、これから求められる個人投資家向けのサービスだと説く。

 対談に参加した投資家からは、「アクティビストというと、一般的にはイメージが良くないこともある。いったい、このファンドで何をしようとしているのか?」という疑問も出た。これに対し、松本氏は、「たとえば、オリンパスは、バリューアクトというファンドが株主になって、その後1年半くらいの間に、株価は2倍に上がりました。世界の投資家として有名なウォーレン・バフェットさんよりも、カール・アイカーンさんらアクティビストの生涯成績の方がはるかに良い」と説明。アクティビストとして企業に意見をぶつけていくことによって、結果的に高いパフォーマンスを得られると回答している。

 また、そのパフォーマンスのイメージを聞かれると、「信託報酬等の運用コストを差し引いた後で、年15%程度を狙っていきたい」と具体的な水準を示した。「年率15%で3年間運用すると、ざっくり1.5倍になるというイメージ」として、個人投資家から出た、「年率2.2%(税込み)に成功報酬も必要だという運用コストに見合うのか?」という質問に答えた。

 一方、「将来的な資金はどれくらい集めていきたいのか?」という質問に対しては、松本氏は、「将来は、このファンドも1兆円くらいの大型ファンドに育てて、しっかりとした意見が言えるようになればいい」としながらも、「少額の投資家であっても、キチンと意見を聞いてもらえる」とした。「なぜなら、海外のアクティビストが株式を買い占めてその時だけ出張してきて意見を言うのではなく、常に日本にいて企業の活動を見守り、しかも、その企業の製品やサービスを普段利用している日本の個人の方々の意見を集めて、企業を良くするための意見を言うのだから、企業としては聞かざるを得ない」と語っている。

 そして、個人の資金を集めたアクティビスト・ファンドとして、個人から投資先企業に対する意見を幅広く募るプラットフォームを構築するとともに、投資先に提言した提案の内容や、それに対する企業側の応えや取り組みなどを報告する受益者向けのイベントなどを計画しているとした。「世界でもあまり例のない取り組みであるため、運営は手探りの状態だが、投資家の皆様にとっては、自分の投資した資金や意見が、企業の経営にどのように活かされているのかを知っていただくのは重要なことだ」と、受益者の声も聞きながら、より良い関係づくりをしていきたいと話した。

 最後に、松本氏は、「この仕事は、あらゆる人脈や経験、経営、投資の経験などを使う総力戦です。35年間にわたってマーケットと関わってきて、やっとこのステージで戦えるという感慨もあります。やりがいもあるし、今だからできることだと思っています。このファンドの構想は、ずっと投資していられるパーマネントマネー(永遠のお金)を使ってアクティビスト・ファンドを作るというところが出発点。投資チームは変わっていきますが、受益者である個人投資家はずっと存在します。本来、個人投資家が上場企業の最終的なオーナーなのです。その個人と企業をちゃんとつないでいきたい」と語り、多くの投資家に参加してほしいと呼びかけた。