ドル円は反発し106円台半ばまで上昇。米長期金利が上昇したことを手掛かりにドルが買われ、106円68銭までドル高が進む。ユーロドルも反発。独ZEW景気期待指数が予想を上回ったことを好感し、1.1807まで上昇。株式市場は下落。朝方ダウは続伸して始まり、2万8000ドル台を回復する場面もあったが、景気対策の不透明感から引けにかけて急速に値を下げる。ダウは104ドル下げ、ナスダックも続落。債券相場は続落。長期金利は0.66%台まで上昇し、0.64%台で引ける。金利の上昇を受けて金は大幅に下落。前日比93ドル下げ、2000ドルを大きく割り込む。原油価格も小幅安。

7月生産者物価指数   → 0.6%


ドル/円  105.94 ~ 106.68

ユーロ/ドル 1.1729 ~ 1.1807

ユーロ/円  124.85 ~ 125.50

NYダウ  -104.53 → 27,686.91ドル

GOLD   -93.40 →  1,946.30ドル

WTI  -0.33   → 41.61ドル

米10年国債 +0.066 → 0.642%


本日の注目イベント

豪 8月ウエストパック消費者信頼感指数
欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
英 6月鉱工業生産
英 4-6月期GDP(速報値)
英 6月貿易収支
米 7月消費者物価指数
米 7月財政収支
米 カプラン・ダラス連銀総裁、質疑応答に参加
米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンライン討論に参加

 本来、リスクが高まると買われる米国債や金、それに円やスイスなどの安全通貨が、昨日は揃って大きく売られる展開でした。では昨日は「リスクオフ」が強まったかと言えば、そうでもないようです。「リスクオンの後退」といったところでしょうか、あるいはこれまで積み上げたポジションの巻き戻し、言ってみれば「利益確定の動き」といった方が適切なようです。

 ドル円は予想した以上に反発し、106円68銭まで上昇。上値が重い中、7月24日以来のとなる高水準を付けています。一時は0.5%前後まで低下した米10年利回りが昨日は0.66%台まで上昇(価格は下落)したことから、「日米金利差の拡大に着目したドル買い」との説明でしたが、金利差の広がりはせいぜい0.1%程度。やや説得力に欠けるようです。やはりこれまでのポジションの巻き戻しが、より「しっくり」きそうです。昨日は特に連日上昇を続けていた金が大きく売られました。先週木曜日には2081ドル台まで買われた金は、昨日は1946ドル台で終わっています。前日比93ドルの下落は、実に7年ぶりの下げ幅ということです。上げ続ける相場はないということが改めて確認された格好です。

 もっとも、その伏線になったのが、合意が近いと見られていた景気対策を巡る協議の混乱です。マコネル共和党上院院内総務が「景気対策協議が行き詰っている」と発言したことが響いているようです。与党共和党と民主党は引き続き協議を続ける模様です。 そんな中、民主党大統領候補のバイデン氏は11月の大統領選を共に闘う副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選びました。ハリス氏は民主党の大統領候補指名争いではバイデン氏と闘ってきた人物ですが、当選すれば初の女性副大統領となるばかりか、人種的マイノリティとしても初の副大統領になります。バイデン氏はハリス氏を選んだ理由として「賢く、意志が強い。それがカマラだ」と述べていましたが、白人主義や人種差別に抗議する嵐が吹き荒れている中、逆風に苦しんでいるトランプ大統領を目の当たりにしていることで敢えてハリス氏を選び、リベラルな姿勢を見せたとも考えられます。来週17日から始まる「民主党全国大会」で、正式に民主党としての正副大統領候補が決まることになります。

 ロシアが世界初となる新型コロナウイルスのワクチンを開発したと報じられています。ただ大規模な治験を完全に終えておらず、プーチン大統領は要請があれば世界に供給すると述べていますが、安全性に懸念が残るとも報じられています。 一方で世界のコロナ感染者はついに2000万人を超えました。米国がその4分の1を占めていますが、続くブラジル、インドの上位3カ国で世界の感染者数の半分を占めています。感染の拡大は続いており、1日で20万人を超える新たな感染者が出ている状況です。

 台湾に厚生長官を送るなど、トランプ政権は対中強硬策を矢継ぎ早に実行していますが、今後さらに考えられる制裁を講じると見られています。トランプ氏は昨日もメディアとのインタビューで、中国との貿易交渉について、「中国ウイルスで彼らがわれわれにしたことの結果、現時点で私が最も考えそうにないのは、中国との第2段階合意だ」と述べ、中国の習近平主席とは、「長い間話していない。あの疫病が中国からやってきた時点で、関係が変わった」と語っています。香港では中国に批判的なメディアのトップが逮捕されたのに続き、民主化運動の先頭に立って闘ってきた周庭さんも逮捕され、世界から批判を浴びています。この様な状況の中、今後さらに中国に対する制裁を強めるとすれば、「伝家の宝刀」である関税引き上げを再びちらつかせる可能性もありそうです。

 本日のドル円は底堅い動きになりそうです。上値は日足の「120日線」のある106円90銭~107円のゾーンが抜けるかどうかですが、まだ上値の重さは不変と見ています。予想レンジは106円~106円90銭程度でしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)