株価が急落し長期金利が低下してリスクオンが後退したことで、ドル円は106円58銭まで下落。ただ、株価の大幅安の割にはドルの下値は限定的。ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.1289まで下落。ユーロ円のロング解消がユーロの上値を抑える。

 好調だった株価が急落。景気の先行きとコロナ第2波への懸念が拡大。ダウは1860ドル下げ、3月16日以来となる大幅な下げに。S&P500も下げが拡大し、サーキットブレイカーが発動。債券相場は続伸。長期金利は一時0.65%台まで低下し、0.66%台で取り引きを終える。金は反発。原油は3ドルを超える大幅安に。

新規失業保険申請件数 → 154.2万件
5月生産者物価指数  → 0.4%

ドル/円   106.58 ~ 107.09
ユーロ/ドル 1.1289 ~ 1.1404
ユーロ/円  120.62 ~ 121.63
NYダウ   -1861.04 → 25,128.17ドル
GOLD   +19.10   → 1,739.80ドル
WTI    -3.26    → 36.34ドル
米10年国債 -0.057   → 0.669%

本日の注目イベント

日  4月鉱工業生産
欧  ユーロ圏4月鉱工業生産
英  4月貿易収支
米  5月輸入物価指数
米  6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

 ついに来たというか、やっぱり、というか、米国株が大幅な下げに見舞われ、ダウは1860ドル下落し全面安です。本欄でもこれまで何度も述べたように、景気の実態を伴わない上に、周りを見渡せばリスクにつながる材料も多くあり、昨日はちょっとしたきっかけが、売りが売りを呼ぶ展開に火をつけたという状況です。米国での感染の中心地であったNY州では、本日12日から経済活動再開の第3段階に入ることになってはいるものの、対照的にフロリダ州では感染が拡大し、昨日は感染者数が前日から2.5%増加し、増加率はこの1週間の平均である2%を上回ったと報じられています。またテキサス州でも同じような傾向が見られ、コロナの感染拡大は米国南部に移ったようです。

 ダウの下げ幅は3月16日の2997ドルに次ぐ大きさで、S&P500も7%下げたところで、サーキットブレイカーが発動されています。最近の急ピッチな上昇に対する警戒感が出ていたところに、新型コロナウイルス感染第2波への懸念が加わり、大幅な下げにつながったと見られます。前日初めて1万ポイントの大台を達成したナスダックも大きく下げ、恐怖指数と言われる「VIX指数」は「40.79」と再び急上昇しています。ただその割にはドル円の下落は限定的でした。昨日も述べたように、106円台半ばが雲の下限で、この辺りが定石通りサポートになったようです。それでも、今後再び株価の調整が「長いトンネル」に入るようだと、ジリジリと円が買われる展開も考えておく必要があるかもしれません。

 米国アレルギー感染症研究所のファウチ所長が9日の講演で述べた「終わりにはほど遠い」という言葉が
思い起こされます。(参照:6月11日付け今日のアナリストレポート)今後はコロナ感染の状況を引き続き注視するしかありませんが、米国では、それでも経済を止めるわけにはいかないという考えがトランプ政権にはあります。ムニューシン財務長官はCNBCとのインタビュで、経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」と述べ、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」と語り、新型コロナウイルス感染の第2波が起きたとしても、米経済を再び閉鎖すべきではないとの認識を示しました。

 本日の日本株も厳しい下げに見舞われそうです。この状況下ではドルの上値は当然重くなりますが、仮に106円台半ばを明確に割り込んだとしたら、次のサポートは106円前後です。この水準は5月6日にタッチして以来一度も試していません。もっとも、日米の株価がどこまで調整を続けるのかが焦点になりますが、前日のFOMCでは2022年まで現在のゼロ金利政策が継続されると見込まれており、運用利回りという観点からも株式市場への資金流入は続くと予想しています。

 少なくとも、日米の株価は3月で大底を打ったと考えています。105-110円の大枠が維持されているとすれば、やはりドルの買い場を探る展開かと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)