ドル円は107円台でのもみ合いから一気に上昇し、4月9日以来となる108円77銭まで買われた。株価の上昇が続き、リスクオンの流れから安全通貨の円が売られ、円は主要通貨の中で最弱通貨の様相に。ユーロドルは続伸。1.1197までユーロ高が進み、ユーロ円も4カ月半ぶりに121円63銭近辺まで買われる。

 株式市場は続伸。新たな景気刺激策などへの期待からダウは267ドル高。全米各地で広がる抗議デモにも拘わらず株式が買われることへの警戒感もある中、楽観的すぎるとの声も。債券は続落。長期金利は0.68%台へと上昇。金は続落。主要産油国の減産継続報道に原油は続伸。

ドル/円   107.90 ~ 108.77
ユーロ/ドル 1.1157 ~ 1.1197
ユーロ/円  120.32 ~ 121.63
NYダウ   +267.63 → 25,742.65ドル
GOLD   -16.30  → 1,734.00ドル
WTI    +1.37   → 36.81ドル
米10年国債 +0.026  → 0.685%

【本日の注目イベント】

豪  豪1-3月期GDP
豪  豪4月住宅建設許可件数
中  中国5月財新サービス業PMI
中  中国5月財新コンポジットPMI
独  独5月失業率
欧  ユーロ圏4月生産者物価指数
欧  ユーロ圏4月失業率
米  5月ADP雇用者数
米  4月製造業受注
米  5月ISM非製造業景況指数
加  カナダ中銀政策金利発表

 ここ2週間余り107円台でもみ合っていたドル円は、昨日のNYで一気に108円台に乗せ、108円77銭まで急伸しました。個人的にはコロナによる影響や、全米に広がるデモの勢いなどから、円高方向を予想していましたが、それでも売られないドル円に、日米の株価が堅調なことを指摘しました。昨日のNYでのドル円はまさに株価の上昇がリスクオンにつながり、安全通貨の円がほぼ「全面安」の展開になったと考えられます。

 今朝の経済紙は、「米国の三重苦」と称して、コロナ、失業率、人種差別に対する抗議デモを挙げています。特にデモは全米に広がり、暴徒化しているようです。デモに対するトランプ大統領の対応については昨日のこの欄でも触れましたが、さらにトランプ氏は、事態が鎮静化しない場合には大統領権限での連邦軍投入を示唆し、NY州でも略奪行為を鎮圧するために州兵の動員を要請しなかったことについては、「昨日はクオモとその取り巻きにとって悪い日だった。NYは略奪者や暴徒、極左勢力などあらゆる低劣なごろつき連中に敗北した。私が強力な州兵の動員を申し出たのに、知事は拒否した。NY市内はずたずただ」とツィートしています。これに対してクオモ知事は、トランプ氏が軍の派遣を警告したことは「恥ずべきことだ」と述べ、コロナの感染が広がる懸念があることに言及しています。また国防総省も2日、トランプ氏の発言に距離を置く姿勢を示し、法執行が必要な地域には州兵を配備した方がよいとの考えを示しました。(ブルームバーグ)

 コロナに次ぎ、「予期せぬ敵」にもがいているように見えるトランプ氏ですが、11月の大統領選を前に支持率の低下が拍車をかけています。直近の調査では全米支持率ではバイデン氏が有利となっており、トランプ氏43%、バイデン氏53%(ワシントンポスト)との報道もあり、接戦州でもバイデン氏が有利のようです。今回の抗議デモに対し武力での鎮圧を示唆したトランプ氏に対してバイデン氏はフィラデルフィアの市議会議事堂で演説を行い、「トランプ大統領が憎悪の炎をあおっている」と糾弾し、逮捕時の身柄拘束で首を絞めるといった、行き過ぎた力の行使を禁じるなど、「警察を改革する法案を通過させなくてはならない」と述べ、「もう言い訳は許されない。先延ばししてはならない」と主張しています。このように、二人の大統領選候補の発言は極端でした。

 ユーロなど主要通貨では「ドル安」が進んでいますが、円に対しては「ドル高」が進んできました。ドルが主要通貨に対して売られる中でも、そのドル対しても売らており、結局足元では「円が最弱通貨」になっています。その背景は株高を理由に「リスクオン」が続いていることと考えられます。円と並んで安全通貨の代表であるスイスフランも、円程ではないもののドルに対してそれほど強くなってはいません。

 昨日は一気に1円ものドル高が進みましたが、これは108円を超えたあたりから、ドルショートを解消するストップが出、それが水準を押し上げたものと思われます。従って、107円台を上抜け1円程ドルが上昇しましたが、これでドル円の上昇傾向が鮮明になったかどうかはまだ判断できません。それは、足元の株価の上昇が楽観的すぎると思われ、ちょっとしたきっかけでダウが1日で1000ドル下げる可能性も否定できないからです。昨日の動きから、ドル円にもようやくボラティリティーが戻ってきた感があります。今週は重要な経済指標もあることから、引き続き慎重に対処したいところです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)