ドル円は依然として107円台半ばから後半で推移。失業保険申請件数が減少傾向を示していることからドルが買われたものの、107円82銭で頭打ち。ユーロドルは続伸。欧州委員会が示した景気対策を好感し、約2カ月ぶりとなる、1.1094前後までユーロが買われる。ユーロは対円でも119円39銭近辺まで上昇。

 株式市場は反落。午後まで上昇を維持していたものの、トランプ大統領が29日に中国に関する会見を行うと発表したことで下落に転じる。債券相場は小動き。長期金利は0.69%台で推移。金は小幅に続伸し、原油は反発。

1-3月GDP(改定値) → -5.0%
4月耐久財受注      → -17.2%
新規失業保険申請件数   → 212.3万件
4月中古住宅販売成約件数 → -21.8%

ドル/円   107.58 ~ 107.82
ユーロ/ドル 1.1006 ~ 1.1094
ユーロ/円  118.58 ~ 119.39
NYダウ   -147.63 → 25,400.64ドル
GOLD   +1.50   → 1,728.30ドル
WTI    +0.90   → 33.71ドル
米10年国債 +0.008  → 0.690%

【本日の注目イベント】

日  5月東京都区部消費者物価指数
日  4月失業率
日  4月鉱工業生産
欧  ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
米  4月個人所得
米  4月個人支出
米  4月PCEコアデフレータ
米  5月シカゴ購買部協会景気指数
米  5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
加  カナダ1-3月期GDP

 中国の全人代が閉幕し、制定の行方が注目されていた「香港国家安全法」が採択されました。これで香港の「一国二制度」が事実上骨抜きになり、中国は香港の自治に強く関与することになります。採択された制定方針には「外国勢力が香港に干渉することに断固反対し、必要な措置をとって反撃する」と明記されており、今後数カ月かけて、政府転覆や分離、テロ、外国の介入などを禁じる法の詳細を策定すると見られます。

 クドロー米国家経済会議(NEC)委員長はCNBCとのインタビューで、「要するに、中国は香港から自由を奪った」と発言し、「米国として見過ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来る可能性がある」と述べています。米国は香港に対して中国とは異なり、関税やビザの発給などで優遇しており、クドロー委員長はこの点に触れたようです。同委員長はさらに、「中国との第一段階の貿易合意については当面継続し、前進があるかもしれない。しかし、中国の香港に対する行動は極めて、極めて大きな過ちだと思う」と語っています。(ブルームバーグ)

 トランプ大統領は、中国に関して29日に記者会見を開くと述べ、中国共産党幹部の米国内の資産凍結などを含む経済制裁を行うとの見方が強まっています。また香港は金融ハブとして、アジアの国際金融の中心地の一つで、多くの外資系金融機関が香港をアジア・パシフィックの拠点と位置付けており、他のアジアの拠点より人や資金を格段に多くつぎ込んでいます。筆者の在籍したフランスの銀行でも、アジア・パシフィックを統括する責任者は香港に駐在していました。米シティーバンクなどは香港での歴史が長く、香港ではHSBCやスタンダード・チャータード銀行などと並んで存在感があります。米国が香港を特別扱いしなくなるようだと、「国際金融都市香港」の将来にも大きく関わってきそうです。本日のトランプ大統領の会見を注視したいと思います。

 米国が中国に強い警戒感を抱くのは香港問題だけではありません。この欄で何度も触れているように、今回の新型コロナウイルス問題でも中国には大きな責任があるとしています。昨日発表された数字では、コロナ感染による米国内での死者はついに10万人を超えました。感染者数も170万人に迫り、世界でも突出した被害が出ています。(ジョーンズホプキンス大学まとめ)失業保険申請件数も減少傾向が続いているものの、直近2カ月半の合計は4000万件を超えています。さらに台湾を巡る問題もあり、そもそも貿易交渉も第一段階では合意に達したものの、それ以降の交渉のメドも立っていません。

 これらの諸問題に関してトランプ大統領が強気に出なければならない事情も、米中関係の悪化に拍車をかけている面もあります。それが11月の大統領です。バイデン候補に打ち勝ち再選を果たすには、中国に対して強硬姿勢を維持せざるを得ません。米中の「新冷戦」はまだ始まったばかりです。

 ユーロドルが2カ月ぶりに1.12に迫る水準まで上昇してきました。EUの欧州委員会が新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済の復興計画案で、新たに補助金と融資からなる7500億ユーロ(約89兆円)の基金創設を発表したことが好感され、さらにドイツでも景気の底入れを示唆するような経済データが出始めたことがその背景かと思われます。チャートでは日足で雲抜けを完成させたこともあり、米中関係がさらに悪化しドルが売られる展開になるようだと、一段の上昇余地が出て来る可能性もあります。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)