米株価の上昇と長期金利の上昇にもドル円は反応せず、107円台での膠着が続く。ユーロドルでユーロ高が若干進んだこともあり、円が強含む場面もあり、107円41銭まで下落。ユーロドルは買い戻しが入り、1.0996まで上昇。ドイツの経済指標に底入れ感が出るなど、景気回復への期待感がユーロショートの買い戻しにつながる。株式市場は大幅に続伸。ワクチン開発への期待もあり、ダウは一時2万5000ドルの大台を回復し、S&P500も3000の大台に乗せる場面も。リスクオンがやや強まり、債券相場は下落。長期金利は0.69%台へ上昇。金は大きく売られ、原油価格は上昇。

◆3月ケース・シラ-住宅価格指数    →  0.47%
◆3月FHFA住宅価格指数       →  0.1%
◆4月新築住宅販売件数         →  62.3万件
◆5月消費者信頼感指数         →  86.6


ドル/円 107.41 ~ 107.69
ユーロ/ドル 1.0963 ~ 1.0996
ユーロ/円  117.84 ~ 118.33
NYダウ  +529.95  → 24,995.11ドル
GOLD   -29.90 → 1,705.60ドル
WTI   +1.10 → 34.35ドル
米10年国債  +0.037 → 0.697%


【本日の注目イベント】

中   中国4月工業生産
米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
米   5月リッチモンド連銀製造景況業指数
米   ブラード・セントルイス連銀総裁、バーチャル会議に参加

 出遅れ感が強かった日経平均株価もようやく力強い上昇を見せました。前日、「非常事態宣言」が全面的に解除されたことを好感し、昨日の日経平均株価は前日比529円上昇し、前日分と合わせ2日で850円程上昇し、引け値では2万1200円台を回復しました。さらに上昇しているのが米株式市場です。ダウは昨日のザラ場では一時「2万5000ドル」の大台を回復し、S&P500も「3000」ポイントに乗せる場面がありました。いずれも、新型コロナウイルスに打ち勝って経済活動が再開することへの期待感が相場を押し上げた結果です。

 一方ドル円は完全に「蚊帳の外」といった具合です。5月は初旬に106円台を若干割り込む場面もありましたが、ほぼ106円~108円のレンジ内で推移し、ここ10日間ほどは107円台でのもみ合いが続いており、値幅は1円もありません。香港を巡る米中関係も依然予断を許さない状況にあり、値動きも煮詰まってきていると考えれば、動き出すのも近いのではないかと思いますが、これは希望的観測も含めてのことです。米長期金利の動きが鈍いことが最も大きな要因になっていると思われます。

 北京で開催中の「全人代」では、香港での反政府活動を禁止し、民主化運動を厳しく監視するための「香港国家安全法」の制定方針が明日にも採択される見込みとなっています。同法案は、国家の分裂や政権転覆、組織的なテロ活動、外部勢力による内政干渉を禁止することを含んでおり、トランプ大統領は中国の当局者・企業・金融機関への様々な制裁措置を検討しているようです。マクナニー大統領報道官は26日、「トランプ大統領は不快感を示しており、中国が取って代われば、香港が金融ハブの地位を維持するのは困難に見える」と語っています。トランプ大統領が具体的にどのような制裁措置を考えているのかは明らかになっていませんが、FOXニュースは、「トランプ氏は、中国の学生と研究者の米国留学を制限することをポンペオ国務長官と議論した」と伝えています。(ブルームバーグ)

 ハーバードなど、米有名大学ではMBAを取るため多くの中国人学生が学んでいます。昨年耳にした中国人の知人の話では、西海岸のカリフォルニア大学バークレー校の卒業式に出席した際、米国人以外の卒業生はほぼ中国人が独占し、日本の学生は一人もいなかったそうです。彼の息子はコンピューター・サイエンスを専攻し、就職先もグーグルなど引く手あまたでしたが、結局ベンチャー企業に就職したと話していました。いずれにしても法案が制定されれば米国としても中国に対して何らかの制裁を加えることは確かで、中国側も対抗措置を講じる可能性があります。ただ香港は中国本土の企業にとっても非常に重要な「資本市場」であって、ここで多くの中国企業が資金調達や運用を通じて米国との接点を持っています。常識的に考えれば、中国が香港での関与をさらに強め、米国との断交を行うことは考えにくいことです。

 新型コロナウイルスの感染拡大が和らいできたことで、市場ではややリスクオンの流れが勢いを増して来ました。感染拡大による影響は確かに峠を越えたものと思われますが、今後二次、三次の感染拡大も懸念され、世界の主要国で経済・社会活動が正常に戻るのは、早くても来年春ごろではないかと思っています。その頃にはコロナに対するワクチンも開発され、人々が安心して経済活動に専念できるようになっているのではないでしょうか。まだまだ安心しきるわけにはいきません。

 株価が大幅に上昇し、リスクオンが進んでもドル円の上値は重い印象です。多くの投資家が米中関係の悪化を懸念していることが背景かと思われます。明確な方向性が出るまではまだ辛抱が必要ですが、市場のエネルギーもかなり溜まってきていると思います。油断をしないよう、市場と向き合っていきましょう。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)