ドル円は朝方106円台後半まで売られたが、大きく売られた株価が午後に切り返すと、107円37銭まで反発。株価の動きに連動する展開に。ユーロドルは朝方買われたものの、ドル円と逆に午後には反落し、1.0775まで売られる。その後は再び1.08台を回復。

 株式市場は反発。ここ数日で1000ドルを超える下げを見せていたこともあり、ダウは自律反発との声も。ダウは377ドル上昇し、この日の値幅は800ドルを超える。債券相場は反発。長期金利は0.62%台へ低下。金は続伸し1740ドル台に。原油も買われ、1カ月ぶりに27ドル台を回復。

新規失業保険申請件数 → 298.1万件
4月輸入物価指数   → -2.6%

ドル/円   106.86 ~ 107.37
ユーロ/ドル 1.0775 ~ 1.0816
ユーロ/円  115.32 ~ 115.93
NYダウ   +377.37 → 23,625.34ドル
GOLD   +24.50  → 1,740.90ドル
WTI    +2.27   → 27.56ドル
米10年国債 -0.031  → 0.622%

【本日の注目イベント】

中  中国4月工業生産
中  中国4月小売売上高
独  独1-3月期GDP(速報値)
欧  ユーロ圏1-3月期GDP(速報値)
欧  ユーロ圏3月貿易収支
米  5月NY連銀製造業景況指数
米  4月小売売上高
米  4月鉱工業生産
米  4月設備稼働率
米  5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

 「今は話したくない」・・・トランプ大統領は習近平主席に関して、FOXビジネスとのインタビューでこのような言葉を使いました。この欄でも何度か触れたように、「今回の新型コロナウイルスの感染拡大により米国では甚大な被害が生じており、発生源を中国と認識しているトランプ政権はいずれ、中国に対して経済制裁などの強硬姿勢を強めることになる」と予想していましたが、新たな米中戦争の幕は切って降ろされたようです。

 トランプ大統領はさらに、中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」と述べ、「5000億ドル(約53兆5000億円)を節約できるだろう」と語りました。これはこの日、米連邦職員向け年金基金を運営する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)が、中国への株式投資を停止すると発表したことを指したものと思われます。大統領は、NY証券取引所およびナスダックに上場しながら米国の会計規則に従っていない中国企業を「注視している」とも述べ、「非常に厳しく注視している」と主張しています。FRTIBは「海外株ファンド」を通じて約5000億ドルを運用しており、その約10%が中国株に投資されているようです。また大統領はインタビューの中で、新型コロナウイルスのパンデミックを巡って中国に「大きく失望した」とも述べており、中国が新型コロナの感染拡大について情報を隠ぺいしているとの認識を示しています。その上で、「安価な労働力が非常に高くついた」と語り、米中が通商合意に署名した時点では新型コロナは「話題にも上がっていなかった」と続けています。(ブルームバーグ)

 米中貿易協議の第1段階の合意に署名したのは今年の1月15日でした。この合意により中国側は米国から大量の農産物を輸入し、米国も中国を為替操作国から除外した経緯がありますが、今後は貿易協議が開催されず、再び米中関係の悪化が避けられそうもない状況になってきました。米国が新たな経済制裁を発表するようだと、中国側も人民元の切り下げや、大量に保有する米国債売却をちらつかせるなどの「報復措置」に出て来る可能性もあり、将来的に「円高要因」と見ることも出来そうです。米国内では、今回の新型コロナによる感染者数は139万人にも上り、死者の数も8万4000人を超えています。国内世論も中国に対する強硬姿勢を支持してくる可能性が高いと思われます。

 先週の新規失業保険申請件数が発表されました。申請件数は298.1万件と、先週から減少していましたが、8週連続で7桁台と、依然として高水準です。この数字から、2カ月弱で3600万人が離職したと推計され、これは5人に1人が離職したことを示します。前日講演を行ったパウエル議長も、「5月の失業率は20%台まで上昇する」といった市場の予想があることに関連して、「5月ごろがピークでその後は持ち直す」としながらも「生産や所得の完全復元には時間がかかる」と述べていました。そのため、「こうした経済の長期停滞を回避するためには、追加の政策手段が求められるだろう」と語っています。ただ、市場の一部で予想されているマイナス金利政策については「現時点で魅力的な政策手段とは考えていない」と述べ、マイナス金利導入には否定的な考えを示しました。

 ドル円は引き続き株価の動きに連動する傾向が続いています。明確な方向性はないものの、NY市場では値幅もそこそこあり、こまめに利益を確定していくことが求められます。引き続きドルの上値の方が重いと予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)