ドル円は107円台半ばから前半に小幅に下落。株安と長期金利の低下が重石となり、107円12銭まで売られ、この日の安値圏で引ける。ドルが売られたことでユーロドルは小幅に反発。1.0886まで上昇し、高値圏で取り引きを終える。株式市場は大幅に反落。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が経済活動再開に警鐘を鳴らしたことでダウは457ドル安。債券相場は上昇。長期金利は0.66%台へ低下。金は反発し、原油は続伸。

4月消費者物価指数    →  -0.8%
4月財政収支             →  -737.9b

ドル/円 107.12 ~ 107.45
ユーロ/ドル 1.0841 ~ 1.0886
ユーロ/円  116.20 ~ 116.84
NYダウ  -457.21  → 23,764.78ドル
GOLD   +8.80 → 1,706.80ドル
WTI   +1.64 → 25.78ドル
米10年国債  -0.045 → 0.665%


【本日の注目イベント】

豪   豪5月ウエストパック消費者信頼感指数
日   3月貿易収支
日   3月国際収支
日   4月景気ウオッチャー調査
欧   ユーロ圏3月鉱工業生産
欧   OPEC月報
英   英3月鉱工業生産
英   英3月貿易収支
英   英1-3月期GDP(速報値)
米   4月生産者物価指数
米   パウエル議長、オンラインセミナーに参加

 ドル円は107円台後半まで反発した後やや値を下げています。市場参加者の多くが、足元のトレンドレスの相場展開を前に、「目先のレンジは106-108円程度」と考えているようで、108円台回復とは行きませんでした。ここ最近の動きを見ると、ドル円は米株式市場の動きに連動する傾向があり、株価がドル円のドライバーになっている状況です。ただ、依然としてドルの上値は重く、107円台後半には日足の雲があり、その上には120日移動平均線と200日移動平均線があり、ここを抜けるには108円台半ばをしっかりと上回る必要があります。それでも「MACD」では、マックDとシグナルが交差して上向き加減を示しており、この点には注意が必要です。下値の方は、やはり105円という重要な節目が維持できるかどうかが焦点と見ています。

 米FOXテレビはトランプ大統領が、連邦退職金が中国株式に投じる約45憶ドル(約4830億円)の資金引き上げを指示し、投資先として中国株との関係を絶つ方向で動いていると伝えました。中国側がどのような反応を示すかは不明ですが、新型コロナウイルスの感染が米国を襲い、被害も甚大です。コロナ問題が落ち着けば賠償問題などに発展する可能性がありますが、トランプ政権は早くもコロナ問題に対する「制裁」に動いたと見られます。11月の大統領選に向けて、コロナによる影響をもろに受けている米経済ですが、中でも雇用へのインパクトが大きく、自身の大統領選へのマイナス影響も予想されます。中国に対する厳しい姿勢をいち早く見せることで、支持率の上乗せを狙っていると見ることもできそうです。

 トランプ大統領はまた米金利にも言及しており、「他国がマイナス金利というベネフィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」とツイッターに投稿しています。ただ、これに関しては多くの地区連銀総裁が反対の意見を述べています。シカゴ連銀のエバンス総裁は、「米国で使用する政策手段になるとは見込んでいない」と述べ、セントルイス連銀のブラード総裁は懐疑的な見方を示し、ダラス連銀のカプラン総裁もマイナス金利の導入には反対だと発言しています。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「まだ使える手段が他にある」と語っています。(ブルームバーグ)このように、先週あたりから米国でのマイナス金利導入是非の議論が高まってきましたが、債券市場では10年債利回りが、どちらかと言えば上昇傾向にある中、政策金利の影響を受けやすいとされる2年債の利回りが緩やかに低下しています。「マイナス金利導入」を織り込んでいると見ることもできなくはありません。そのため、昨年8月下旬に発生した2年債と10年債利回りが逆転する「逆イールド」は大きく解消され、イールドカーブのスティープ化が顕著になっています。

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日米上院保健委員会で証言を行い、経済活動の時期尚早な再開は新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を再び起こしかねないと警告しています。ファウチ所長は、政府は経済活動再開が安全かを判断するため「チェックポイント」をガイドラインに設定していると指摘し、これを達成しないまま州や市が経済活動を再開させることに懸念を表明しました。その上で、「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」と発言し、「実際、逆説的ではあるが事態は後退する。避けられたはずの苦痛や死につながるだけではなく、経済回復に向けた道筋を逆行することにさえなりかねない。そうなれば、時計の針を前に進めるのではなく、過去に戻すことになる」と警告しています。(ブルームバーグ)

 コロナウイルスの感染拡大が徐々に収まってきたことに伴って、日米とも株価が出直ってきました。NYダウの2万4000ドル台と、日経平均株価の2万円台がそれぞれ維持できるかが焦点になっています。3月下旬に記録したダウの1万8500ドル台と日経平均の1万6800円台は、大底を打ったと考えていますが、今後景気が巡航速度を回復するのは「早くても来年春」といった見方がコンセンサスになっているようです。そうだとすると、日米ともに株価の戻りに多くは期待できません。日本の場合、今後ドル円が100円を割るような円高が進めばなおさらです。コロナを克服した後には、世の中が大きく変わる可能性があります。小池東京都知事も述べていたように、「パラダイム・シフト」が起こる可能性が高く、これまで普通に行ってきたことが、普通ではなくなり、変わることになります。テレワークが浸透すれば、あの「通勤地獄」が無くなり、大阪、福岡への「日帰り出張」も不要になります。学校の「9月入学」もその一つで、これまで普通に行ってきた枠組みが大きく変わることになります。「ピンチはチャンス」と、よく言われてきたことですが、今回は現実になろうとしています。未曾有のコロナ騒動から学ぶことも多いのではないでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)