京写 <6837> (JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大戦略を推進している。21年3月期の連結業績・配当予想は未定とした。当面は新型コロナウイルス感染症による世界経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。
 
■プリント配線板の大手メーカー
 
 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。
 
 プリント配線板は防塵対策基板、高熱伝導・放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持ち、電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板の受注拡大が期待されている。
 
 20年3月期の売上高は日本98億34百万円、中国78億91百万円、インドネシア12億96百万円、営業利益は日本▲2億13百万円、中国3億12百万円、インドネシア▲43百万円だった。収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。
 
 生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。18年5月には中国で両面配線板および多層配線板の生産を委託しているサンティス香港、およびその子会社のサンティス南沙と資本・業務提携した。19年6月にはメキシコ子会社で実装搬送治具事業を開始した。20年3月には京写ベトナムが、自動車関連の電子部品実装のエヌビーシー(岐阜県大垣市)と資本業務提携(資本受け入れ)した。エヌビーシーとは05年から資本業務提携して協力関係を築いている。20年春には両面配線板の新たな生産拠点としてベトナムの製造子会社(京写ベトナム)が稼働予定である。
 
■独自の印刷技術を活用した新製品
 
 中期経営計画(20年3月期~24年3月期)では、目標数値に24年3月期の売上高320億円、営業利益15億円、営業利益率4.7%、ROE10%、配当性向25%以上を掲げている。製品別売上高は片面配線板145億円(独自技術を活用した金属基盤46億円含む)、両面配線板125億円、新製品15億円、実装関連10億円、拠点別売上高(連結調整前)は日本140億円、中国145億円、インドネシア25億円、ベトナム(20年4月稼働予定)50億円としている。
 
 6つの重点戦略として、グローバル供給体制、戦略的ネットワークによる競争優位獲得、IT化・自動化によるコスト競争力強化、独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大、成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営、人財戦略を推進する。
 
 グローバル供給体制は、優位性のある片面配線板や印刷技術の提案、ベトナムにおける両面配線板生産体制の確立、営業拠点の再編・最適化、メキシコEMSやアセアンEMSへの治具販売強化などを推進する。戦略的ネットワークによる競争優位獲得は、主要材料メーカー・EMS・商社・OEM協力先・同業との戦略的業務提携・パートナーシップ構築による製品開発や販路拡大、産学官連携による共同研究などを推進する。
 
 IT化・自動化によるコスト競争力強化は、生産地・生産方式の最適化、新潟工場の能力アップと京都工場の少量多品種化、AIスマート工場化など省人化・自動化投資を継続的に推進する。独自の印刷技術を活用した新製品による差別化・シェア拡大は、両面から片面への基板低層化提案、0603実装部品対応基板など電子部品業界における微細化ニーズへの対応、金属基盤やストレッチャブル基板の量産などを推進する。
 
 成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営は、成長事業への優先投資と早期収益化による投資回収、自己資本の充実、有利子負債の適正化、積極的な株主還元などを推進する。人財戦略は、グローバルマネジメント人材の育成、グループCSR体制の構築、BCP・BCMのグローバル展開、職場環境の向上、ITやIoT活用による業務効率化などを推進する。
 
 20年1月にはスクリーン印刷法による治具製造技術をベースとして、世界初のノンシリコーンでも高温工程で繰り返し使用可能な部品搬送用キャリアの開発を発表した。国内工場で試作品の受注を開始している。
 
■21年3月期予想は未定
 
 20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比9.6%減の190億22百万円、営業利益が84.0%減の79百万円、経常利益が79.1%減の98百万円、純利益が99.6%減の1百万円だった。なお配当は4円減配46円(期末一括)とした。
 
 LED照明など家電製品を中心とする需要低迷で減収減益だった。米中貿易摩擦の長期化に加えて、第4四半期には新型コロナウイルス感染症拡大の影響も受けた。利益面では、国内自動車関連分野向けの増産対応遅れによる外注費の増加、海外子会社立ち上げ準備費用も影響した。特別損失には中国での自動化ライン導入に伴う固定資産除却損を計上した。
 
 21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は新型コロナウイルス感染症による世界経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。
 
■株価は下値固め完了
 
 株価は下値固め完了感を強めている。決算発表に対するネガティブ反応も限定的だった。調整一巡して出直りを期待したい。5月8日の終値は238円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS454円87銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約35億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)