ドル円は前日の106円前後から反発。株価の上昇などから朝方には106円65銭までドルが買われたが、その後米景気に対する悲観的な見方から106円22銭近辺まで反落。ユーロドルは小幅に下落。1.0767まで売られ、前日の水準をやや切り下げる。

 株式市場は反発。ナスダックは4日続伸し、年初来でプラスに転じる。ダウは211ドル高で取引を終える。債券相場は上昇。長期金利は0.64%台へと低下。金は大幅に買われ1700ドル台を回復。原油価格は買いが先行したが、前日比マイナスで引ける。


新規失業保険申請件数 → 316.9万件
3月消費者信用残高  → -12.04b

ドル/円   106.22 ~ 106.65
ユーロ/ドル 1.0767 ~ 1.0835
ユーロ/円  114.77 ~ 115.15
NYダウ   +211.25 → 23,875.89ドル
GOLD   +37.30  → 1,725.80ドル
WTI    -0.44   → 23.55ドル
米10年国債 -0.062  → 0.641%

本日の注目イベント

豪  RBA四半期金融政策報告
独  3月貿易収支
独  3経常収支
米  4月雇用統計
加  4月住宅着工件数
加  3月建設許可件数
加  4月就業者数
加  4月失業率


 ドル円は106円割れからやや値を戻し、106円台半ばまで反発しましたが、依然として上値の方がやや重い展開が予想されます。目先の下値のメドは、やはり105円という「節目」ということになることは先週のコメントでも触れましたが、逆に105円を割り込むようだと市場のセンチメントも徐々に変わりそうです。新型コロナウイルスに関する話題も僅かですが変わってきました。米ジョンズ・ホプキンス大学の最新の集計では、世界の新型コロナウイルス感染者は380万人を突破し、死者は26万7000人を上回っています。それでも、日本も含め、欧米では「出口戦略」という言葉が表に出てき始め、コロナに対するワクチンも米ギリアド・サイエンシズ社の「レムデシビル」が日本でも承認され、それに続く候補薬もいくつかあるようです。今後は「出口戦略」への巧拙が為替に影響を与える事態も考えられます。

 昨日発表された週間失業保険申請件数は317万件でした。申請件数そのものは減少傾向にありますが、依然として高水準であることに変わりはなく、これで、7週連続で300万件を超えたことになります。ブルームバーグは「申請件数の5週連続減少は、当初の経済的ショックが収まり始めていることを示唆している。ただ、期待されたよりもペースは遅い。継続受給者が減少に転じれば、景気の底入れをより明確に示し、一時的に失業した労働者再雇用を示唆するだろう」と論評しています。今夜発表の4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が2130万人の減少。失業率はデータが残る1940年代以降で最悪の16%と、予想されています。この件に関してミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、NBCの番組で、「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23-24%程度と考える。悲惨な水準だ」と語っています。

 また、アトランタ連銀のポスティック総裁は電話会議で、「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」と述べるなど、今夜の雇用統計ではこれまでに見たこともない衝撃的な数字が発表される可能性が高いと思われます。もっとも、市場は既にこの内容を織り込んでいるようで、余程予想される数字よりも大きく下振れしない限り、相場への影響は限定的と見ています。

 4月中は107-108円台で推移していたドル円は、予想通り緩やかに下落し、昨日は106円を若干割り込む水準までドル安が進んできました。

 それほど急激なドル安ではないため、むしろロスカットをするチャンスを逃したとか、ショートのタイミングを逃してしまいそうな状況です。足元の相場は、経済指標への反応は限定的で、あまり考慮されていません。失業率が16%であっても、17%であっても影響がないということです。これが4.5%か、5.5%というレベルでの違いであれば、相場へ大きく影響すると思われますが、「16%も17%も50歩百歩」といった具合です。今後の相場を読む上では「ポストコロナ」の視点が必要かと思います。日米欧で、どこが最初に景気回復への軌道に戻せるのかという点です。

 また、今後は新型コロナウイルス感染拡大の責任所在や賠償問題に発展してくることも予想されます。トランプ大統領は中国に対して「責任を取らせる」と発言しています。中国側もそう簡単に「はい、そうですか」とういうことはなく、徹底抗戦の構えです。こうなると、行く着くところは経済制裁であり、再び「貿易戦争」に発展する可能性もないとは言えません。昨年1年間、いやというほど味わったトランプ大統領の「口撃」に、市場が振り回される展開も予想されます。米大統領選と共に、注視しなければならない点です。なかなかドルを買う材料が乏しい中、依然として戻り売りのスタンスが有効かと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)