ドル円は106円台半ばから急反発。一時は107円50銭まで買われ、ユーロ高の影響で円を売る動きが加速。ユーロドルは1.0973まで反発。ECBの緩和策が思ったほど進まなかったことが背景。ユーロ円も117円台後半まで買い戻しが進む。

 株式市場は反落。朝方は発表された経済指標が総じて予想を下回ったことが理由。ダウは288ドル下げ、他の主要指数も反落。債券相場は下落。長期金利は0.64%近辺まで上昇。金は5日続落。一方原油は7日続伸。


新規失業保険申請件数     → 383.9万件
3月個人所得         → -2.0%
3月個人支出         → -7.5%
3月PCEコアデフレータ   → 1.7%
4月シカゴ購買部協会景気指数 → 35.4
1-3月雇用コスト指数    → 0.8%

ドル/円   106.45 ~ 107.50
ユーロ/ドル 1.0834 ~ 1.0973
ユーロ/円  115.58 ~ 117.78
NYダウ   -288.14 → 24,345.72ドル
GOLD   -19.20  → 1,694.20ドル
WTI    +3.78   → 18.84ドル
米10年国債 +0.012  → 0.639%

【本日の注目イベント】

豪  豪第1四半期生産者物価指数
日  4月東京都区部消費者物価指数
米  4月ISM製造業景況指数
米  4月自動車販売台数
米  3月建設支出
米  企業決算 → エクソンモービル、


 30日ECBは定例の理事会を開き、銀行に長期資金を貸し付ける際の金利をマイナス1%に引き下げることを決めました。これまでのマイナス0.75%をさらに引き下げ、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい経営を余儀なくされている企業へ、資金が十分行き渡るようにするとともに、銀行の資金負担を軽減するという目的と思えます。市中銀行がマイナス1%で中央銀行から資金を調達できるということは、お金を借りてさらに金利をもらえるという意味になります。まさに異常事態だということです。ラガルドECB総裁は、「共同かつ協調した政策行動を通じた断続的で大胆な取り組みが必要だ」と呼びかけ、「急激な経済縮小を考慮し、大胆で協調した財政の姿勢が不可欠だ」と語っています。

 一方で、銀行が中銀に預ける中銀預金金利と主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利はそれぞれマイナス0.5%と、ゼロ%で据え置き、債券購入プログラムの規模は7500億ユーロ(約87兆円)を維持しました。(ブルームバーグ)市場では今回の緩和が思ったほど積極的ではなかったことで、ユーロの買い戻しが進み、ユーロドルは2週間ぶりに1.09台後半まで上昇し、ユーロ円も2円ほど上昇するなど、ユーロ高に振れています。

 これで日米欧3中銀の政策会合を終えました。政策金利はすでに「ゼロかマイナス」であるため、変更する余地は乏しく、共通して言えることは「中央銀行として、出来ることは何でもする」という姿勢を市場にアピールしたことです。政府も大規模な財政支出を決めており、金利が上昇しやすい環境の中、国債購入を通じて金利の上昇を防ぐといった姿勢を全面的に出しています。金利上昇を抑制することは、国債の増発による政府の発行コストを抑えるという意味合いもあり、あとは、新型コロナウイルスが1日も早く収束することを願うのみです。その新型コロナウイルスの感染者数は今朝の時点で322万人となり、死者は22万8000人と、ジョンズ・ホプキンス大学は発表しています。欧米での感染はピークを過ぎた模様で、ロックダウンの段階的な解除が行われていますが、その他の国・地域では依然として感染拡大が続いています。ロシアではミシュスチン首相が新型コロナの検査で陽性反応が出たため一時公務から退くことを発表しています。

 ドル円は今週106円台まで売られ、106円35-40銭の水準を2回試して107円台に反発しています。依然としてドルの上値の方が重いと見ていますが、下値の重要なレベルは、やはり105円という節目だろうと思います。105円を割り込むようだと、市場のセンチメントががらりと変わる可能性があると見ていますが、足元の動きはそれほど明確なドル安を示しているわけではなさそうです。ただ、日米金利差の縮小、爆発的に拡大する米財政赤字、発表される経済データの下振れ、さらには今後議論されると思われる、新型コロナウイルスの発生源と補償問題に伴う米中関係の悪化など、ドル売り材料を探すのにそれほど苦労は要りません。

 一方で、日本では「非常事態宣言」の期限が来週6日に来ますが、どうやら1カ月ほど延期されそうです。もしドル円が再び112円の方行に向かうとすれば、日本の感染拡大が止まらず、米国をしのぐほどの悪い経済データが連続的に発表される事態になっていることが考えられます。上述のようにドルの上値は重いとは思いますが、全ての対応が遅いと批判されている日本です。そのような事態がないとは言えません。目線を下方に置きながらも、注意は怠らないようにしたいものです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)