モーニングスター <4765> は4月24日、20年3月期の通期決算を発表した。売上高は68.14億円(前期比13.5%増)と8期連続で増収。経常利益は18.58億円(同4.6%増)、当期利益は12.30億円(同0.8%増)とそれぞれ11期連続増益を達成。経常利益は9期連続、当期利益は7期連続で過去最高益を更新した。決算内容についてビデオを使った説明を行った同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「セミナーが3月は新型コロナウイルスの影響でほぼ開催できないなど、収益環境は大変厳しいものであったが、かろうじて最終利益の増益を維持できた。成長が継続する金融機関向けタブレットアプリ事業や、安定した需要のある私募投信などのアセットマネジメント事業をテコに引き続き事業成長を図りたい」と語った。
 
 同社が主要な事業領域とする投資信託市場は、20年3月期の国内公募投信の純資金流入額が19年3月期と比較して72.3%減額するほど厳しい1年間だった。しかし、その中にあっても、主力のファンドデータサービスの売上が12.29億円と前期比22.7%増収。タブレットアプリの提供社数は19年3月末の257社から20年3月末には431社に67.7%増。アプリ提供台数は同期間に7.32万台から9.16万台に25.2%伸びた。同社が提供する「Wealth Advisors(旧:投資信託INDEX)」は金融機関向けの投信販売支援ツールとして市場シェア67%(前年比7%ポイント向上)を占める業界のデファクトスタンダードとなっている。このシェア拡大が、ファンドデータの拡大を支えている。

 また、タブレットアプリの普及は、ゴメス・コンサルティング事業のWebコンサルティングの需要拡大につながり、Webコンサルの売上は3.41億円と前期比29.7%増収だった。ただ、ウェブ広告&セミナー部門の売上は6.73億円で前期比12.7%減、株式新聞購読料はWeb版の増収はあったものの2.19億円で前期比8.8%減と振るわなかった。

 一方、アセットマネジメント事業は、子会社SBIアセットマネジメントが売上24.95億円で前期比22.6%の減収だった。当期から連結決算にフル寄与することになったCarret Asset、新たに連結したSBIボンド・インベストメント・マネジメントとSBI地方創生アセットマネジメントの売上が加わったことで、アセットマネジメント事業の売上高は前年同期を上回った。

 朝倉氏は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛ムードが続いていることを受け、「タブレットアプリを採用していただいている金融機関への投信販売員への研修は、対面からオンラインに移行。また、20年3月期に1万1700人以上を動員し、協賛企業208社に拡大した資産運用セミナーについてもウェブセミナーを開催したい」とする。同社ではホームページの月間PV3697万、Twitterフォロワー数41720、Facebookフォロワー数15001など、オンラインサービスで積み上げてきた顧客基盤がある。これらをベースに、ウェブセミナー部門でも新たな市場を開きたいとしている。

 アセットメネジメント部門では今年度新たに加わった3社の運用会社を合計すると20年3月末の運用資産残高は1兆7301億円になる。しかも、SBIボンド・インベストメントとSBI地方創生アセットの運用資産残高は右肩上がりになっている。特に、コロナショックで投信マーケットが委縮した20年3月の月間純資金流入額が私募投信市場において合計2079億円を獲得。受託残高で業界トップになった。私募投信を受託する全90社の合算では5272億円の資金流出となっている中で異彩を放っている。SBIボンド・インベストメントとSBI地方創生アセットは金融機関の余資運用を対象とした私募投信に強みがあり、金融機関から引き続き強い需要があるという。

 朝倉氏は、今後の注力分野として、タブレットアプリ「Wealth Advisors」の高度化(顧客向けアドバイス機能から、顧客情報連携、売買システム連携へ)、企業向け確定拠出年金の投資助言サービス、そして、私募投信の提供の他に人材育成なども含む地域金融機関の有価証券運用の高度化支援を挙げた。依然として厳しい経営環境は続くが、「今年6月23日に上場20周年を迎える。20年3月期は各社2桁減益が予想される中で、0.8%でも最終利益が増益を確保できた。株主への利益還元の原資となる最終利益の増益を重視し、11期連続で実施してきた増益の記録をさらに伸ばし、株主の期待に応えていきたい」と語っていた。(写真は、ビデオを通じて20年3月期の決算内容について説明するモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)