ドル円は軟調な米経済指標に押されて109円近辺から下落。長期金利の低下もあり、108円22銭までドル安に。ユーロドルは1.08台から反発して1.0951までユーロの買い戻しが進む。

 株式市場は上昇して始まったが、原油価格の急落に上げ幅を縮め、ダウは285ドル高と続伸。債券相場は反発。長期金利は0.71%台へと低下。金は大幅に続伸し、1750ドル台に。FRBの資金供給を手掛かりに前日比68ドル高。原油価格は「OPECプラス」で減産に合意したことで28ドル台まで上昇したが、コロナウイルスの影響から需要そのものが大きく減少とするとの見方から急落。

米  新規失業保険申請件数           → 660.6万件
米  3月生産者物価指数            → -0.2%
米  4月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 71.0

ドル/円   108.22 ~ 108、91
ユーロ/ドル 1.0858 ~ 1.0951
ユーロ/円  118.21 ~ 119.00
NYダウ   +285.80 → 23,719.37ドル
GOLD   +68.50  → 1,752.80ドル
WTI    -2.33   → 22.76ドル
米10年国債 -0.053  → 0.719%

本日の注目イベント

中  中国3月消費者物価指数
中  中国3月生産者物価指数
欧  グッドフライデーのため欧州市場休場
米  3月消費者物価指数
米  3月財政収支

 ドル円は東京時間では109円台を回復する場面もありましたが上値は伸びず、NYでは週間失業保険申請件数などの経済データが予想より悪化していたことや、FRBが新たに最大2兆3000億ドル(約250兆円)の資金供給を行うことを発表したことがドル売りにつながり108円22銭まで売られました。依然として方向感のないドル円ですが、新型コロナの影響を受け、日米ともに景気後退が急速に進み、どちらがよりダメージを受けるのか、綱引きをおこなっているような状況です。

 米国ではNY州で新型コロナによる新たな死者が過去最多になったものの、新規の入院者はこれまでで最も少なく、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、米国の死者数が従来予想の10-20万人を下回り、6万人に留まる公算が大きいとの見方を示しました。トランプ大統領もホワイトハウスで「予想されたよりもはるかに少ない」と述べています。それでも米国での感染者数は43万人に迫り、1日で1万5000人ほどの新たな感染者が確認されています。昨日会見したクオモNY州知事は、ヒスパニックや黒人など、「マイノリティー」の感染や死亡が際立っていると指摘しています。また、米国では空母での感染拡大が急速に進んでいるようです。空母セオドア・ルーズベルトやロナルド・レーガンなど4隻で1500人ほどの感染者が確認されており、この混乱を理由に米海軍長官代行が辞任するという事態も起きています。

 そんな中、昨日は再び新規失業保険申請件数に注目していましたが、結果は660万件と、先週よりは減ったものの、依然としてかなりの高水準であることは変わりません。ここ3週間の累計では1650万件を超えています。サービス業を中心に人員削減が急速に進んでいることが示唆されており、3月の雇用統計では4.4%だった失業率が、10%まで悪化するのにそう時間はかからないと見られています。製造業でも自動車業界を中心に操業停止が相次ぎ、トヨタや日産でも米国内の主要工場で生産を休止し、従業員の一時解雇(レイオフ)に踏み切っています。レイオフされた労働者は直ちに失業保険の申請を行い、そこで受けとる金額の方が、工場の生産調整により減らされる賃金よりも多いと言った事情もあるようです。

 11月に予定されている大統領選では、民主党の大統領候補のサンダース氏が撤退を決めたことで、「トランプ対バイデン」の一騎打ちになることが決まりました。正式には8月の党大会で決まりますが、トランプ氏は早くも、バイデン氏が自分と闘う相手になることを意識してか、同氏が副大統領を務めた時の上司であるオバマ前大統領の支持を得られていないことを揶揄する発言を行っています。「なぜ、ジョー(バイデン)は、バラク(オバマ)の支持を得られないのか。なぜ?」と。コロナウイルスの影響により支持者向けの集会を開催できないバイデン氏に対して、連日コロナ対策でマスコミに登場するトランプ氏が、状況としては有利ではないかと見られていますが、世論調査ではバイデン氏への支持率の方がトランプ氏を上回っています。バイデン氏は中道派ということで、トランプ氏とは政策の差がそれほどなく、今後は撤退したサンダース氏の支持層をどれだけ集めることが出来るのかがポイントの一つのようです。バイデン氏は御年77歳。高齢なのが気になりますが、オバマ政権時代の経験という意味では評価できるようです。

 ドル円は107台-109円台で「往ったり来たり」という状況ですが、NY株式市場では、3月下旬に記録したダウ1万8500ドル台が「底値だった」とする見方が徐々に増えているようです。この時「84」まで急騰した「VIX指数」は、足元では「41台」にまで低下しており、半分以下に下がっています。株価急落の恐怖感は徐々に落ち着いてきたものと見られます。

 上述のように、コロナの感染は依然として拡大してはいますが、早ければあと1週間ほどでピークアウト出来るとの観測が安心感を与えていると見られます。逆に言えば、その見通しが崩れた場合には、株価も再び2万ドル割れを目指す可能性も出てきます。「VIX指数」が再び急騰し、ドル円が105円割れを試すこともないとは言えません。目に見えない敵との闘いはまだ続きます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)