三菱UFJ国際投信が設定・運用する「三菱UFJ/AMP グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のいしずえ)」がファンド オブ ザ イヤー2019で最優秀ファンド賞を受賞した。2019年のトータルリターンは15.05%と類似ファンド分類平均を8.93%上回り、シャープレシオも3.68と類似ファンド分類平均を2.02上回った。また、設定来の5年トータルリターンの推移(ローリングリターン)は19年12月末まで過去31カ月中の全てがプラスになるなど安定的な運用を実現している。同ファンドの運用の特徴等について三菱UFJ国際投信の外部委託運用部債券グループ グループマネジャーの加納良樹氏(写真)に聞いた。

 ――ファンド設定の狙いと運用の特徴は?

 「ファンドに投資することで、世の中をより良くしたい」という強い想いが根底にあります。そこで、インフラ債券という魅力的な投資対象に着目しました。

 水道や電力などライフラインを支えるインフラへの投資は、社会や産業の発展に必要不可欠な投資といえます。19年に開催されたG20大阪サミットでも、経済成長戦略として質の高いインフラ投資を実施することで合意が得られ、世界のインフラ投資は一段と拡大する見通しです。

 そもそもインフラ需要は人口増加などを背景に拡大傾向が続いていますが、近年は経済対策としてのインフラ投資が加わって、莫大な資本需要が生まれ、長いスパンでの資金調達が必要となります。そのため、インフラ債券の満期も何十年単位と長い傾向にあり、「期間のリスク」の分、利回りの高さが魅力的な資産です。

 ただ、短期的に見ればインフラ債券は収益の振れ幅が目立つ投資対象と言えます。振れ幅が大きい分、高いリターンも期待できます。また、相対的に高い利子収入と安定的な事業という性格から、他の資産と比べて相場急変時に価格が下落しにくいという傾向があります。実際に、当ファンドが投資対象としている投資適格格付けの世界インフラ債券は、世界投資適格債券と比較してもデフォルト率が低くなっています。

 たとえば、2008年のリーマンショックや15年の原油価格の下落局面では、インフラ債券は、一旦は価格が落ち込みましたが、下値抵抗力が強く、世界投資適格社債よりも早く上昇に転じ、その後は堅調に推移しているという経緯があります。

 また、インフラ債券と一口に言っても、エネルギー関連の領域だけではなく、通信や公益なども含まれます。特に、当ファンドが注目するのが通信で、5G(第5世代移動通信システム)関連の事業は将来的な展望が見込めます。当ファンドは、AT&Tやコムキャストなど財務の健全化が進んでいる企業に投資をすることで、エネルギー関連領域とは異なる投資機会を獲得しています。

 そして、公益には電力などが含まれますが、これらはディフェンシブ性が高く、景気変動を受けにくいのが特徴です。足下ではグローバルで不確実性の高い投資環境であることを受け、ポートフォリオの中で公益債券の割合を上げるなどの対応を行いました。

 ――具体的な銘柄選定の進め方は?

 当ファンドは、オーストラリア最大規模の運用会社AMPキャピタル・インベスターズ・リミテッドと提携し、運用権限を一任しています。AMP社はインフラに関する株や債券、実物資産に精通している数少ない運用会社の一つです。AMP社では、インフラ株とインフラ債券の2つのチームが存在しており、両者の密なコミュニケーションは当ファンドにとっても貴重な情報源です。ファンドの運用責任者であるスティーブン・ハー氏は、AMP社のクレジット調査の責任者でもあります。

 AMP社独自の「FTBスコア」というレーティングも注目すべきポイントです。ファンダメンタルやテクニカル分析のほか、バリュエーションにも重点を置いて銘柄分析を行っています。体系的で効率のよい銘柄分析が確立しており、常に投資ユニバース全体で格付けがなされています。スコアで割高判定される銘柄については、必要とあれば即座に売ってポートフォリオの入れ替えも行っています。ユニバースとなる投資適格格付けのインフラ債券2000~3000銘柄から、300銘柄程度まで選別投資を行います。

 また、組み入れ銘柄にエネルギーセクターが含まれることを不安に思われる方が少なくないと思われます。エネルギーセクターは、原油価格の変動によって大きな値動きをすることがありますが、AMP社では、利回りが比較的高い銘柄も多く、ポートフォリオに必要なセクターだと考えています。また、AMP社では、「垂直統合型」のエネルギー関連企業に投資をすることでリスクを抑えています。例えば、原油の採掘から精製、運輸、販売までを一貫して行っている企業などは、原油価格の値動き次第で、生産調整や価格調整などが企業内でコントロールできるため、下振れリスクのヘッジが期待されます。

 ――このファンドは、どのような投資目的に適っているでしょうか?

 当ファンドは、世の中をより良くしようというコンセプトのもとで、長期で安定的なリターンをめざしています。値動きの大きな株式に投資するには、少し抵抗がある方でも、比較的高い利回りで利子収入が目に見えるインフラ債券への投資は興味を持っていただけるのではと思います。利子収入の積み上がりがあるため、投資期間が長くなるほどに価格のブレをカバーするクッションの厚みが増します。できるだけ長期での投資をご検討いただきたいと思います。

 また、インフラ投資には、ライフラインを担うという公益性を伴うためESGやSDGsに関連する性質を持っています。AMP社は2001年からESG調査チームを発足させるなど、銘柄選択にもその影響は表れています。ESGやSDGsに関心はある方にも、株式よりもリスクを抑えた運用ができるインフラ債券は魅力的な資産といえると思います。(情報提供:モーニングスター社)