ドル円はアジア市場のドル高を受けて108円60銭前後で取引が始まったが、低調な経済指標と、米国でのコロナウイルスによる死者の数が中国を上回ったことを手掛かりにドルが売られる。107円台半ばまで円高が進み、この日のドル最安値近辺で引ける。ユーロドルは1.09台から反発。1.1038までユーロの買い戻しが進行。

 株式市場は弱い経済データを背景に反落。ダウは410ドル下落し、連日上げ下げを繰り返す。債券相場は続伸。長期金利は0.67%近辺まで低下。金は大幅に下げ3日続落。原油は小幅に反発。


1月ケース・シラ-住宅価格指数 → 0.30%
3月消費者信頼感指数      → 120.0

ドル/円   107.47 ~ 108.61
ユーロ/ドル 1.0943 ~ 1.1038
ユーロ/円  118.20 ~ 119.01
NYダウ   -410.32 → 22,917.16ドル
GOLD   -46.60  → 1,596.60ドル
WTI    +0.39   → 20.48ドル
米10年国債 -0.057  → 0.669%

【本日の注目イベント】

豪  豪2月住宅建設許可件数
豪  RBA議事録
日  1-3月期月日銀短観
中  3月財新製造業PMI
独  独3月製造業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏2月失業率
米  3月自動車販売台数
米  3月ADP雇用者数
米  3月ISM製造業景況指数


 NYダウは前日比410ドル下げました。不思議なもので、「410ドル安」と聞いても驚きはなく、むしろ「安心感」さえ覚える状況です。2月後半よりほぼ連日1000ドルを超える乱高下が続いたことから、投資家の目も「4桁」の数字に慣らされ、「3桁」であれば小幅な動きだったといった印象を受けるようになった気がします。ドル円についても、昨日も1円以上の値動きがあり、こちらも1円~1円50銭程度の値動きが常態化してきました。月曜日から見れば、ドル円は結局「往って来い」の展開になっています。為替や株を動かすドライバーは「発表される経済データの下振れ度」、「コロナウイルスに対する感染度」が軸になっているものと思われます。

 米国では感染者数が16万人を超え、イタリアを抜いて世界最多になっています。NY州では18歳以下で初の死亡が報告され、フランスでは高校生がコロナウイルスに感染して亡くなっています。比較的安全と言われていた若年層ももはや安全とは言えず、専門家は、「日本国内で感染拡大が続けば、若い世代で重症や死亡する例が出て来るだろう」と述べています。国内でも昨日は東京都で感染者が78名と、これまでの1日での最多を記録しました。ここでも専門家からは、「米国の感染拡大ペースに似てきた」と声もあがり、ひょっとしたら政府による「非常事態宣言」も近いのではないかといった懸念もあります。一方でイタリアでは依然として感染拡大が続いているものの、2週間ぶりの低水準で横ばいになったことから、「感染段階は停滞期に入った」と、同国国立衛生研究所の所長が述べています。

 既に2兆ドル(約216兆円)を超える景気対策を決めた米国では、31日にトランプ大統領がさらなる景気対策が必要とツイートしました。トランプ氏は、「米国の金利はゼロであり、今こそ何十年もの長きにわたり待ち望まれているインフラ法案に取り掛かる時だ」と述べ、「2兆ドルと非常に大規模かつ大胆なものとし、中身は雇用、そしてわが国の素晴らしいインフラを復活させることに絞るべきだ」と訴えています。同法案は道路や橋、鉄道の建設・補修など、公共プロジェクトに資金を提供する内容ですが、財源をどうするかについては決定していません。(ブルームバーグ)

 またFRBはドル資金の供給に関して、各国中銀が保有する米国債を担保に資金を提供する意向を示しました。先週まで見られたように、新興国や企業がドル資金の調達に走ると、ドル高に振れることになり、さらに保有する米国債を売却してドルを調達すれば、長期金利に上昇圧力がかかることになります。金利上昇は景気を冷やす要因と見られ、FRBは金利上昇を抑える意味からも、国債担保の貸し出しを意図したものと思われます。

 クリーブランド連銀のメスター総裁は31日CNBCとのインタビューで、新型コロナウイルスのパンデミックで米経済が減速し、失業率は10%を超える水準でピークを迎えると予想する一方、30%を超えるとする他の連銀総裁の予想には異議を唱えました。メスター総裁は、「クリーブランド連銀で予想する数字は30%ではない。だが、10%を超えることは確かで、米経済の多くの部分が休業していることを踏まえれば、合理的だ」と指摘しました。その上で、「1-3月期と4-6月期の米経済は極めて悪い数字になると予想する。どのような数字になるかはウイルス感染状況に左右されよう」と述べています。(ブルームバーグ)

 上でも述べたように、ないことを望みますが、万が一「非常事態宣言」が発動されたら、ドル円はどう動くのかを想定しておいたほうがいいでしょう。個人的には、日本の景気回復がさらに遅れるという想定のもと、円売りで反応する可能性が高いと思われます。株価にとってはマイナス要因となり、株式市場の下落は間違いないところでしょうが、円と株が同時に売られる、「日本売り」に近い状況が想定されます。

 首都東京が1カ月ロックダウンされた場合、英バークレーズは試算で、4-6月のGDPを「2.7%」押し下げる要因になるとしています。繰り返しになりますが、ここ1週間が「分水嶺」にあると考えます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)