三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「Jリート・アジアミックス・オープン(資産成長型)」がファンド オブ ザ イヤー2019で最優秀ファンド賞を受賞した。2019年のトータルリターンは24.33%と、類似ファンド分類内で上位25%、運用の効率性を測るシャープレシオは3.32と類似ファンド分類平均を1.27上回り、分類内で上位5%だった。13年10月の設定来、5年間のトータルリターンの推移(ローリングリターン)は19年12月までの過去15カ月の全てで8%以上のプラスになり、類似ファンド分類内で上位10%以内の成績になった。同ファンドの運用について三井住友DSアセットマネジメント株式運用第一部グローバル株式チーム(REIT担当)チーフファンドマネージャーの秋山悦朗氏(写真:左から3人目)に聞いた。
 
 ――ファンドの特徴は?

 原則として、日本とアジア・オセアニアのリートに半分ずつ投資します。海外の主な投資先はオーストラリア、シンガポール、香港です。2019年はJリートが大きく値上がりし、「Jリートのみに投資すれば良いのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、Jリートには弱点もあります。投資家層が比較的偏っているため、投資家の需給による影響を受けやすく、価格が一方的に動きやすいという性質です。

 事実、2017年には世界のリートの多くが前年比10%以上値上がりする中で、Jリートのみがマイナスとなりました。この下落の主な要因は投資信託による売り越しです。当時は投資の投資信託市場で「毎月分配型投信」に見直し議論が強まり、毎月分配型投信の解約が増大しました。その中心的な資産であった内外のリートに投資する投資信託の解約も進みました。この間、不動産市場そのものの環境は、ほとんど変わりませんでしたが、リート価格は投資信託の解約の影響などを受けて下落してしまいました。

 アジアは、今後も経済成長が見込まれる地域であり、不動産市場の拡大が期待できます。たとえば、世界のGDPに占めるアジア(除く日本)の比率は、2010年は17.9%でしたが、20年には27.6%に高まってきました。この間、日本は8.6%から6%へと低下しています。アジアリートに投資することで、Jリートの弱点を補い、価格変動を安定させる効果も期待できます。

 銘柄選びのコンセプトは、魅力的な銘柄を厳選することと、アジアリートにおいてはJリートにない魅力を備えたリートを選ぶことです。アジア・オセアニアには大幅な増配を行う銘柄や、農業やデータセンターといった日本にはない業種のリートもあります。

 2019年には1年間で40%ほど値上がりしたオーストラリアの銘柄に大きく投資していたり、逆に、パフォーマンスがすぐれない銘柄には投資を控えたりと、適切な銘柄選択が好結果につながったと考えています。

 ――具体的な運用方法は?

 当ファンドは7人体制で運用しています。東京にファンドマネージャーとアナリストが計4人、シンガポールに2人と香港に1人のアナリストが常駐しています。この7人が「ONE TEAM」となって、全員で運用に取り組み耐性が、私たちの最大の強みだと考えています。

 私たちの運用チームの特徴は、担当地域を分けないことです。通常、日本の担当者はJリートだけ、アジアならアジアのリートだけを見ることが多いのですが、当ファンドは全員が全地域のリートを調査・分析し、銘柄選択を行います。

 シンガポールのアナリストは、最初は日本でJリートを担当して経験を積み、そのスキルを今はアジア・オセアニアのリートで活かしています。ただ、香港だけは他地域と異なり、リートの調査・分析に際して中国語でのコミュニケーションを必要とする場面があるので、中国語を話すアナリストが香港、および、中国の不動産を担当しています。

 毎月2回、2~3時間のテレビ会議で意思疎通を図りながら、運用方針を決めていきます。全てのメンバーが全ての市場を把握しているので、多様な投資アイデアが生まれ、それが当ファンドの運用力と実際のパフォーマンスにつながっていると自負しています。

 また、ESG(環境・社会・ガバナンス)をはじめとする定性評価も重視しています。リートとのミーティングで、投資家の1人としてESGに関する改善点を提案することがあります。リートの経営が改善されればファンドのパフォーマンスの向上につながりますし、対話を通じて各銘柄の潜在的な価値を発見することもあります。

 ――ファンドの活用方法は?

 今までJリートのみの投資していた方には、より分散が効き、成長力も期待できる当ファンドへの投資も検討していただきたいと考えています。

 世界のリート市場をみると、成熟経済圏にある米国リートや成長余力のある欧州先進国リートなどもありますが、アジア・オセアニアリートには抜群の成長性があります。この中で、Jリートとアジア・オセアニアリートを持つことは、「成長性」「安定性」「利回り」の3つのメリットを得られると考えます。

 たとえば、Jリートについては、日本の不動産ファンダメンタルズは堅調な状況が続き、分配金の成長が見込まれる好循環サイクルが継続すると期待されます。新型コロナウイルスの問題が深刻になれば世界全体の景気が後退するリスクが高まりJリートといえども影響を受けるでしょうが、株式市場が不透明になれば、Jリートの魅力が目立って選好されることもあるのではと思います。

 シンガポール市場ではリートの合併が進んでいます。リートの2極化が鮮明になっており、勝ち残るリートを見極めることが重要です。ただ、合併によってリートの流動性が増加するというメリットがあり、合併の進展はポジティブに評価できます。オーストラリアは大規模な森林火災の影響もあって経済にダメージがうかがえます。利下げの局面はリートにはポジティブだと考えます。香港はデモの影響に新型肺炎が重なって、上値は追いづらい展開になっています。

 今後も東京・シンガポール・香港の拠点が情報を共有しひとつになって魅力的な投資先を探し、Jリートの魅力とアジアの成長を合わせた運用成果をお届けしていきたいと思っています。中長期の資産形成に、ぜひ、当ファンドをご検討ください。(写真は、三井住友DSアセットマネジメントの東京のリート運用チーム。左から、李文哲氏、大場純一氏、秋山悦朗氏、佐野莉子氏)(情報提供:モーニングスター社)