ドル円は株価の急反発と金利高を材料に108円台まで上昇し、108円50銭を示現。トランプ大統領が非常事態宣言を出し、政策期待が膨らむ。ユーロドルは前日と同水準の1.10台半ばまで売られたが、下値は限定的となり、対円では120円台までユーロ高に。

 株式市場は急反発。トランプ大統領の経済対策期待が高まり、買い戻しが加速。ダウは1985ドル高と、過去最大の上昇幅を記録。債券相場は大きく売られ、長期金利は一時1.0%台を回復。金は大幅に続落し、1516ドル台に。原油は小幅に反発。

2月輸入物価指数             → -0.5%
3月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 95.9

ドル/円   106.80 ~ 108.50
ユーロ/ドル 1.1055 ~ 1.185
ユーロ/円  118.45 ~ 120.31
NYダウ   +1985.00 → 23,185.62ドル
GOLD   -73.60   → 1,516.70ドル
WTI    +0.23    → 31.73ドル
米10年国債 +0.156   → 0.960%

【本日の注目イベント】

中  中国2月小売売上高
中  中国2月鉱工業生産
米  3月NY連銀製造業景況指数

 素早い行動を見せる米金融当局は15日、政策金利を一気に1%下げ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.00~0.25%に決めました。新型コロナウイルスの感染拡大が米国で続いており、その影響を軽減するというものです。また、米株式市場では大幅な下落が続いており、これ以上の株価の下落は個人消費の減速を通じて、実体経済にも悪影響を出ることを防ぐ意味合いもあるようです。それにしても、今週17日からは定例のFOMCが開催されることになっており、市場はこのタイミングで0.5~1.00%の追加利下げに踏み切ると予想していましたが、臨時会合を開き、前倒しでの利下げです。この辺りがFRBのすごさであり、前例にとらわれない行動力は称賛されます。

 連日大幅な下げに見舞われていた米株式市場では、先週木曜日にはダウが2352ドル下げ、過去最大の下げ幅を記録しましたが、先週末には1985ドル上昇し、今度は一転して過去最大の上げ幅を記録しました。午後にはトランプ大統領が会見を開き、「非常事態宣言」を行ったことで、新型コロナウイルスへの本格的な対策が始動するとの期待から、ダウは引け際30分で1000ドルを超える急騰を見せました。米長期金利も一時は1.00%台を回復し、ドル円はこのタイミングで108円50銭と、この日の高値をつけています。

 株価だけではなく、ドル円の動きも荒っぽく、前日のNY市場では103円台半ばまで売られる場面もあったドル円は、1日でそこから5円も上昇したことになります。先週1週間の値幅も7円以上となっており、投資家にとっては「動き過ぎる相場」に一喜一憂させられる、上手く乗り切ることが非常に難しい相場展開になっています。今朝もFRBの緊急利下げを受けて、一時は105円73銭前後までドル売りが強まるなど、値が一気に飛び、荒っぽい動きです。流れについて行く必要はありますが、深追いすると大きな痛手を負うことにもつながります。慎重に行動し、過度なリスクを避けることが重要です。

 米国は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響に対処するため緊急の財政出動を決め、金融政策でも歩調を合わせるべく、リーマンショック以来となる「ゼロ金利政策」の導入に踏み切りました。こうなると次は日本政府の行動が非常に注目されます。前回FRBが緊急利下げを決め、今回のコロナウイルスの混乱に対する強い意志を見せた際、日銀も次回会合では「ゼロ回答」では済まされないと述べましたが、今朝未明のFRBの追加利下げでその思いをさらに強めています。これまで通りの口先だけの回答では、今朝の動きに見られたように、急激な円高が進む可能性が高いと予想されます。

 先週土曜日に記者会見を行い、今後の対応について国民に理解を求めた安倍首相は、経済対策では、これまでにない、必要十分な対策を取ると明言していましたが、もう少し突っ込んだ、市場にインパクトを与える言葉が欲しかったと思います。市場は待ったなしです。対応が後手に回り、仮にドル円が100円を割り込むようだと、コロナショックに加え、円高による景気悪化に見舞われることにもなります。

 株価が大きく戻れば107円台半ば程度までのドル高はあるかもしれません。ドルの戻り局面を売るスタンスでいいと思いますが、上述のように、レベルを探すのが簡単ではありません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)