前日105円台後半まで反発したドル円は、日本株の下げやNYダウが再び大きく下落したことで104円台前半まで売られる。ユーロドルは小幅に下落し、1.1258まで売られる。BOEが緊急利下げに踏み切り、ポンドドルは1.28台前半まで下落。ポンドは対円でも132円台まで売られ、昨年10月以来の安値に。株式市場は大幅に反落。トランプ大統領の経済対策が不透明なことに加え、WHOが「パンデミック」宣言を行ったことで、ダウは1464ドル下落し、2万4000ドルを大きく割り込む。債券相場は小幅に反落。長期金利は0.87%台に。金は下落し、原油も在庫が予想を上回っていたことで反落。

2月消費者物価指数  →  0.0%
2月財政収支     →  -2363憶ドル

ドル/円 104.23 ~ 105.12
ユーロ/ドル 1.1258 ~ 1.1352
ユーロ/円  117.50 ~ 118.94
NYダウ  -1464.94 → 23,553.22ドル
GOLD   -18.00 → 1,642.30ドル
WTI   -1.38 → 32.98ドル
米10年国債 +0.067 → 0.870%


【本日の注目イベント】

欧   ユーロ圏1月鉱工業生産
欧   ECB政策金利発表
欧   ラガルド・ECB総裁記者会見
米   2月生産者物価指数
米   新規失業保険申請件数

 WHOはついに「パンデミック」宣言を行いました。すでに感染が欧米で急拡大しており、実態が、「世界的な大流行」に陥っているため特段驚きはありません。むしろ、遅きに失した感があります。現時点での世界の新型コロナウイルス感染者は、12万3000人を超え、死者は4578人となっています。イタリアでは感染による死者が31%増加し、827人に達しています。

 WHOの「パンデミック」宣言に加え、トランプ大統領が「給与税ゼロ」に言及したものの、その政策実現への不透明感もあり、ドル円は前日の105円台後半から104円台前半まで下落しています。株式市場ではさらに荒っぽい動きが続き、前日1167ドル反発したダウは、一転して1464ドル売られ、前日の上昇分を全て吐き出し、2万3500ドル台で取引を終えました。数年に一度あるかないかといった「1000ドルを超える値幅」が、毎日のように起こっており、投資家の不安心理を如実に表しています。

 トランプ大統領は国民向けに、本日日本時間午前10時からホワイトハウスで演説を行うことを発表しています。ブルームバーグによると、トランプ大統領は米国での感染が拡大していることで、全米に災害宣言を出すのではとの観測があり、欧州諸国から米国への不要不急の渡航制限を検討している模様です。また、「給与税ゼロ」か、減税を含む経済対策については野党民主党の反対もあり、実現可能かどうかは不透明のようです。新型コロナウイルスの感染拡大による実態経済への悪影響から、景気が急速に悪化することを避ける意味で、各国中銀が緊急利下げに踏み切る動きが見られます。FRBの50ベーシスの緊急利下げのほか、カナダやオーストラリアでも利下げがあり、昨日はイギリスでもBOEが50ベーシスの緊急利下げを断行しました。米国についても、来週のFOMCでの追加利下げはほぼ「規定路線」と見られ、個人的には再び50ベーシスの利下げを行うと予想していますが、バークレーズなど、1%の利下げを予想する向きも増えてきました。

 こうなると、注目されるのがECBと日銀です。ECBは今夜の理事会で政策金利の深堀りを含めた緩和策に踏み切ると予想していますが、感染が急拡大しているイタリアのコンテ首相は、ECBに対して、可能なあらゆる政策の動員を要求しています。こうなると、わが日銀も「ゼロ回答」というわけにはいきません。すでに今週に入ってからはETFの購入額を増やしているようですが、金融市場では資金の根詰まりが起きているわけでなく、実効性という意味では微妙です。すでに金融政策では対応できず、財政政策を含めたこれまでにない総合的な対策を、直ちに行う必要があります。

 昨日のこの欄でも「消費税を5%に戻すか、ゼロに」という内容のコメントを残しましたが、自民党内でもこのような動きがあるようです。自民党の安藤裕衆議院議員らは昨日、西村経済再生担当大臣に、当分の間、消費税率を0%にすることなどを求める提言書を手渡しました。提言では、消費税は当分の間、軽減税率を0%にした上で、全食品に適用するよう求めています。実施時期についても6月ごろと提言しており、減税分も含めて総額30兆円規模の補正予算を編成することも盛り込んでいます。財源には国債を充て、政府が掲げるプライマリー・バランス(PB)の黒字化目標は、「当面の間延期」することとし、この提言には有志41人が賛同している(ブルームバーグ)そうです。今朝の経済紙では、今年1-3月のGDPがマイナス3.0%にまで落ち込むと、14人のエコノミストの予想を報じています。また、新型コロナウイルスの混乱が長引けば、2020年通期のGDPもマイナス成長になる可能性があるとしています。一方で、中国では新型コロナウイルスの発生元である湖北省政府が、省内の企業の操業再開を認めると発表しました。これで中国全土での操業が可能となり、中国での感染拡大が終息に向っていることが確認された格好になっています。

 本日も荒っぽい動きを続ける株価の動き次第で、ドル円の水準も決まりそうです。予想レンジは103円80銭~105円30銭程度といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)