米国株が大幅に反発した割にはドル円の上値は重い展開。発表された経済指標も良好で、長期金利も上昇したが、ドル円は107円59銭まで買われたものの、反発力は弱い。ユーロドルは9日ぶりに反落。1.1096までユーロ売りが進み、ユーロ円も119円前後まで売られる。株式市場は再び大きく切り返し、ダウは1173ドルの上昇。新型コロナウイルス対策の予算措置がまとまり、民主党予備選でバイデン氏がリードしたことが材料に。ナスダックも大幅に上昇し、9000ポイントを回復。前日1.0%割り込んだ10年債は株高から反落。利回りは1.054%台で取引を終える。金は小幅に反落。原油は3日続伸。

2月ADP雇用者数            →  18.3万人

2月ISM非製造業景況指数        →  57.3

2月マークイットサービス業PMI     →  49.4

2月マークイットコンポジットPMI    →  49.6

ドル/円 107.15 ~ 107.59

ユーロ/ドル 1.1096 ~ 1.1145

ユーロ/円  119.04 ~ 119.76

NYダウ  +1173.45 → 27,090.86ドル

GOLD   -1.40 → 1,643.00ドル

WTI   +0.40 → 46.78ドル

米10年国債 +0.055 → 1.054%


本日の注目イベント

豪   豪1月貿易収支
欧   OECD経済見通し
英   カーニー・BOE総裁講演
米   新規失業保険申請件数
米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

 連日値幅が大きく動き、「1日の値幅1000ドル」が常態化しつつあるNYダウは、昨日も大きな値動きを見せました。先月27日には過去最大の下落を見せたダウは、今週月曜日には1300ドルに迫る、今度は過去最大の上昇幅を見せ、FRBが緊急利下げを決めると一転して300ドル高から800ドル下げ、この日の値幅も1300ドル程でした。そして昨日は何と1173ドルの上昇でした。システム売買やAI主導とは言え、まるでエルベーターのように、大きな値幅を伴って上下しています。市場参加者の誰もが、「落ち着き場所がわからない」と考えている証左でしょう。

 背景は、米議会で約80憶ドル(約8600憶円)規模のコロナウイルス対策緊急予算措置がまとまったことで、楽観ム―ドが高まったことが挙げられます。また注目された「スーパー・チューズデー」では、大統領選に向けた民主党候補の指名争いで苦戦が伝えられていたバイデン氏が盛り返したこともムードを良くしたようです。バイデン氏は14州・1地区のうち9州で勝利し、サンダース氏は4州に留まっています。またブルームバーグ氏も米領サモアで勝利したのみで、最新の報道では撤退を決め、バイデン氏を支持することを表明したようです。今朝は多くのメディアが「バイデン氏復活」との文言を掲げていました。サンダース氏は「急進左派」と位置付けられ、単一支払方者方式の国民皆保険、完全再生エネルギー経済への移行、さらには大規模な企業統治改革などを提唱しており、エリザベス・ウォーレン氏ほどではないものの、「反ウォール街」と見られています。そのため、「サンダース氏苦戦=株価の上昇」という図式で株価が上昇したようです。

 それでもドル円の上昇には限界がありました。そもそもFRBが緊急の利下げを行い、利下げ幅も50ベーシスであったことから、日米金利差は縮小します。さらに市場では、今月17-18日に開催されるFOMCでも追加利下げがあると予想しています。この件に関して、セントルイス連銀のブラード総裁は4日、「政策金利は当面、適切な状態になったと考えている」とブルーバーグとのインタビューで述べています。「金融当局者が次回会合までに、新型コロナウイルスが経済に与える影響について、今以上に理解を深めるとは思えないため、市場の想定は間違っている」との見解を示しました。ただこの発言は一種の「けん制」だと、個人的には考えています。前日50ベーシスの利下げを行ったにも拘わらず、NYダウはその日の高値から1300ドル程下げ、その結果に「一番驚いたのはパウエル議長自身だったのでは」といった指摘もありましたが、政策金利を1.0%まで引き下げたことで、マイナス金利を採用しない限り、今後の下げ幅は限定的です。この辺りを市場がみすかせて株価の大幅下落につながったと思われます。
2007年の「パリバ・ショック」の時には政策金利が4.5%もあり、翌年の「リーマンショック」の時でさえ2%もありました。FRBの金融政策の余地は当時の危機の時とは明らかに異なっています。

 ベージュブック(地区連銀経済報告)が公表され、米景気は今年に入ってからの数週間、緩慢ないし緩やかなペースで拡大したものの、新型コロナウイルスの感染拡大が「旅行や観光に悪影響を与えている兆候がある」と指摘されていました。昨日はIMFのゲオルギエワ専務理事も会見で、「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」と述べています。日本でも感染拡大は止まっておらず、政府は「非常事態宣言」の発令を検討しており、法整備にむけて野党との協調に踏み出しています。

 懸念されるのは、日本での感染拡大がこのまま続けば、インドやサウジ、中国などと同様に、米国でも日本からの入国を拒否される可能性があります。人と物の移動が極端に制限されれば、島国ニッポンにとってはこれまで以上に景気が縮小するのは目に見えています。山本太郎議員が提唱するように「消費税ゼロ」といった極端な政策ではないにしろ、強力な「カンフル剤」が必要なのは明らかだと思います。昨年10月の消費税率引き上げの際には、安倍政権ではこぞって、「リーマン・ショック級の危機がない限り消費税は予定通り引き上げる」と繰り返し述べていました。足元の経済指標や現象を見ると、すでに「リーマン・ショック」を超える悪化を示しているものもあります。

 本日はさすがの日本株も上昇でしょう。ドル円は107円~108円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)