米長期金利の一段の低下にドル円は106円94銭まで下落。約5カ月ぶりの円高水準を付ける。日米金利差の縮小と金融政策余地の差にも注目が集まり、円を買う動きが加速。ユーロドルも続伸。1月2日以来となる1.1213まで上昇。

 FRBが緊急の会合を開き、政策金利の0.5%引き下げを決めたことで株価は上昇したものの、その後急落。ダウは一時1000ドルに迫る下げを見せ、785ドル安で引ける。債券相場は大きく続伸。10年債利回りは初の1.0%割れを示現。政策金利を引き下げたことで金は大幅高。原油は続伸。OPECとロシアが減産で合意するとの観測が材料に。


2月自動車販売台数 → 1683万台

ドル/円   106.94 ~ 107.95
ユーロ/ドル 1.1095 ~ 1.1213
ユーロ/円  119.53 ~ 120.49
NYダウ   -785.91 → 25,917.41ドル
GOLD   +49.60  → 1,644.40ドル
WTI    +0.43   → 47.18ドル
米10年国債 -0.164  → 0.999%

本日の注目イベント

豪  10-12月期GDP
中  2月財新サービス業PMI
中  2月財新コンポジットPMI
欧  ユーロ圏2月総合PMI(改定値)
欧  ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏1月小売売上高
米  2月ADP雇用者数
米  2月ISM非製造業景況指数
米  2月マークイットサービス業PMI
米  2月マークイットコンポジットPMI
米  ベージュブック(地区連銀経済報告)
米  ブラード・セントルイス連銀総裁発言
加  カナダ中銀政策金利発表


 新型コロナウイルスへの対策に金融当局やG7各国が協調した行動を見せたものの、市場の混乱は収まらず、昨日の動きを見る限り動揺がさらに広がり、安全資産の債券への資金流入が加速したように思えます。米10年債利回りは1.0%を割り込んでいます。過去最低の1.4%台を割り込んだのが先週のことで、その後の金利低下のスピードはやや行き過ぎではないかと思われますが、「今、安心して買えるのは債券くらいしかない」という声も聞こえてきます。

 FRBは3日に臨時の会合を開き、50ベーシスの緊急利下げを全会一致で決めました。今月17-18日に予定されている会合を前に利下げを決め、しかも、一部で予想されていたように25ベーシスではなく50ベーシスの利下げを決定しました。この発表を受けNY株式市場では株価が上昇しましたが、その後のパウエル議長の会見とともにじりじりと下げに転じ、ダウは一時1000ドに迫る下げ幅を記録。結局785ドル安と、前日記録した過去最大の上げ幅の6割程度を吐き出す結果になっています。パウエル議長は会見で、「経済見通しに対する新たなリスクを前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた。」と述べ、「新型コロナウイルスの感染拡大が新たな課題とリスクをもたらした」と説明しています。議長は18日のFOMCでの追加措置の可能性は残したものの、「米金融当局に全ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門家、中銀など多方面からの対応が必要となる」と指摘しました。(ブルームバーグ)

 この会見後に株価はじりじりと下げており、トランプ大統領は「さらに利下げすべきだ」とツイートしています。あるエコノミストは、「米金融当局には弾薬がほとんどなく、手持ちの弾薬は供給への潜在的に大きな悪影響に対処する課題に全く適していない」と指摘しています。これに先立って行われたG7緊急電話会議でも同じように、「強固で持続可能な成長を実現するため、また下方リスクから守るため、全ての適切な政策手段を用いる」との共同声明を発表していますが、市場は実際の効果には懐疑的です。

 また、政策余地の乏しい日本の場合にはさらに懐疑的な見方が広がっています。昨日の日経平均株価の動きがそれを如実に物語っていたと言えます。前日のNYダウは1300ドルに迫る過去最大の上げ幅を記録しましたが、それを受けた東京株式市場は朝方こそ上昇は見せたものの上値は限られ、午後にはマイナスに転じ、最後は261円安の、この日の最安値で引けました。マイナス金利を採用している日銀にさらに政策金利を深堀する余地は乏しく、仮に「金融市場の安定確保に努める」としても、その効果は限られるといった見方が背景にあったようです。昨日も日銀は国債の特別オペを行い、市場に潤沢な資金供給を試みましたが、結局「札割れ」でした。市中金融機関からの資金ニーズそのものがなかったようです。金融政策だけではこの困難をすぐに打開するのは難しいことのようです。

 FRBの利下げに先立って、昨日はオーストラリア準備銀行(RBA)も利下げを決めました。利下げはほぼ確実と見られており、下げ幅も50ベーシスを予想する向きが多かったため、利下げ後は豪ドルが上昇しています。オーストラリアについても、さらに25ベーシスの利下げが見込まれており、過去最低の政策金利はまだ下がる余地を残しています。

 新型コロナウイルスの感染拡大は中国以外で広がっており、昨日はNYで初めての死者が出ました。感染拡大は今がピークかもしれませんが、日本では「ここ2週間がヤマ場」とのコメントが出てから、そろそろ2週間が経過します。まだ終息する気配がないことから、予断を許しません。

 為替も株も極めて荒っぽい動きが続いています。アルゴやAIが相場を動かしている状況です。落ち着くまでは無理な「参戦」を控えることも必要です。本日のドル円は106円50銭~107円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)