ドル円は新型コロナウイルスの感染が止まらないことからリスク回避の流れが一段と加速し、一時107円51銭までドル安が進む。パウエル議長が緊急声明を出したことで108円台まで値を戻して引ける。ユーロドルでもさらにドル安が進み、1.1046までユーロ高が進行。

 株式市場は下げ止まらず、ダウは一時1000ドルを超える下げとなった。パウエル議長の緊急声明により下げ幅を縮小し357ドル安で引ける。S&P500も下げ止まらず、ナスダックは横ばい。債券相場は続伸し、長期金利は1.14%台に。金は大幅に売られ、原油も5日続落し、44ドル台に。

1月個人所得              → 0.6%
1月個人支出              → 0.2%
1月PCEコアデフレータ        → 1.6%
2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)→ 101.00

ドル/円   107.51 ~ 108.73
ユーロ/ドル 1.0951 ~ 1.1046
ユーロ/円  118.38 ~ 119.48
NYダウ   -357.28 → 25,409.36ドル
GOLD   -75.80  → 1,566.70ドル
WTI    -2.33   → 44.76ドル
米10年国債 -0.120  → 1.149%

本日の注目イベント

中  2月財新製造業PMI
独  2月製造業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
米  2月ISM製造業景況指数
米  2月マークイット製造業PMI


 新型コロナウイルスの感染が中国以外の国々で広がってきたことで、世界の金融市場で動揺が続いています。先週末のNY市場ではダウが前日に続き一時1000ドルを超える下落を見せたことで、米長期金利は一段と低下し、1.14%台を記録しました。ドル円もさらに円高が進み、107円台半ばまでドル安が進み、FRBのパウエル議長が午後に入って「適切に対応する」との緊急声明を出したことで、108円台まで戻してNYでの取引を終えています。パウエル議長は、新型コロナウイルスのリスクが変質しながら米経済成長を脅かすとして、成長を支えるため必要に応じて政策金利を引き下げることを示唆しました。

 金利先物市場では今月18日のFOMCでの利下げ確率を100%織り込んでおり、先週末の緊急声明後には、25ベーシスではなく、50ベーシスの利下げもあり得るといった見方も浮上しています。また、今週の展開次第では18日のFOMCを前倒しし、早期の利下げに踏み切るとの見方もあるようです。いずれにしても、今回の「コロナ・ショック」で先週1週間のダウの下げは3583ドルに達しており、リーマン・ショックを上回り、過去最大の下げになっていることから、FRBの早期の対応が見込まれています。ただ今回の混乱は、リーマン・ショックのように、経済・金融面での混乱が源泉ではないことから、「利下げで感染が止まるのか」といった冷ややかな見方もあるようです。NYダウは1000ドルを超える下げから、緊急声明文発表後には300ドル台に下げ幅を縮小しています。

 ただ、さらに中国の経済指標が混乱に拍車をかけています。事前の予想でも「相当悪化している」と見られていましたが、先週土曜日に発表された中国の製造業PMIと非製造業PMIには驚きました。中国国家統計局が発表した2月の製造業PMIは「35.7」と、1月の「50.0」から大きく下げ、市場予想の「45.1」を10ポイント程下回って、過去最低を記録しました。新型コロナウイルスの感染が急拡大したことから、中国経済に壊滅的な影響を及ぼしていることが明らかになった格好です。中国政府が講じた移動制限などの新型コロナウイルス対策によって、春節の連休後に職場に戻れない人が出たり、原材料不足が発生して工場が再開できなかったことが要因と見られています。(ブルームバーグ)また非製造業PMIも「29.1」と1月の「54.1」から大きく下げ、市場予想の「50.5」をはるかに下回る結果になっています。同指数が「50.0」を下回ったことは、個人的には記憶にはないほどです。

 新型コロナウイルスの感染はイタリア、韓国で急拡大しています。イタリアでは感染者数が1694人と、前日から5割増え、韓国では大邱を中心に感染拡大が止まりません。米国は韓国の大邱市と、イタリアのロンバルディア州とベネト州への渡航中止勧告を発表しています。日本でも外務省は韓国・大邱市への渡航中止と、イタリア3州の危険度を引き上げました。

 NY市場での株価の大幅続落に加え、中国のPMIの急低下を受け、週明けの東京市場でも為替と株価の混乱は続くと予想されます。106円台に入るようだと、日経平均株価は再び500円を大きく超える下げに見舞われる可能性もありそうです。政府日銀も緊急対策などを発表する可能性がありますが、果たして市場の混乱を鎮めることが出来るような対策を講じることができるのか、予想は出来ません。いずれ混乱は収まるとは思いますが、それがいつになるのか、見通しがたたないことが、不安心理を増幅させています。ここは冷静に対処しなければなりません。

 本日のドル円は106円80銭~108円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)