昨年はTOPIX(東証株価指数)の年間値上がり率が15.2%だったことに対し、東証REIT指数は20.9%の上昇率となり株価を上回った。12月末時点の配当利回りは、東証REIT指数が3.5%でTOPIXは2.4%。利回りが高い上に、値上がり益も大きいとあって投資資産としてのJ-REITの人気に火が付いた。そのJ-REITを主たる投資対象とするファンドの中で、中長期で最もリスク(価格変動率)が低く、パフォーマンスでも見劣りしないファンドとして注目が高まっているのが、明治安田アセットマネジメントが設定・運用する「明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)(愛称:リート王)」だ。
 
 「リート王」は、J-REITを主要投資対象としているが、REIT価格が値上がりして割高な水準になった場合は、J-REITの組み入れ比率を落とし、日本国債を組み入れることでJ-REITの価格下落リスクを抑制するという運用方針で安定的なパフォーマンスを目指している。J-REITの組み入れ比率については、10年国債とJ-REIT分配金の利回りの差(イールドスプレッド)の変動に応じて調整している。J-REITが割高と判断されれば組入比率を引き下げその分日本国債が組み入れる仕組みだ。

 実際に、2013年5月から2016年1月までは、日本国債が16.6%~25.9%の範囲内で組み入れられていたが、その間J-REIT相場が下落するタイミングでは、値動きの変動が抑えられ下落幅が小さくなっている。

 2019年12月末までの過去5年間のリスクは7.94%と、モーニングスターカテゴリー平均を1.72%下回り、相対的に低リスクの運用がなされている。カテゴリー内の順位は、2019年12月末までの22カ月連続で1位の低リスクを維持している。また、設定来でカテゴリー平均を一貫して下回っており、長期的に見ればJ-REITの中で最も安定的な値動きであるファンドの1つといえるだろう。J-REITを組み入れたいが保有資産の大きな変動を避けたい投資家には有望な選択肢である。

 一方、2019年12月末基準における3年トータルリターンは9.46%と、カテゴリー内で上位14%の好成績になっている。3年トータルリターンの推移(ローリングリターン)は、2019年12月までの37カ月のうち、25カ月でカテゴリー平均を上回っており、全期間でプラスのトータルリターンを維持している。

 中でも、3年トータルリターンは2018年7月までの9カ月では、カテゴリー平均を1%以上も上回り続けており、同平均のリターンがマイナスへ転ずる期間でもプラスのリターンを獲得していることは評価できる。また、カテゴリー内の順位は、2018年1月以降24カ月連続で%ランクが上位25%以内と、上位のトータルリターンを獲得し続けている。J-REIT市場の好調が続いている中でも相対的に優れている運用成績を残しており、上昇局面でのパフォーマンスは優れていることが分かる。

 19年12月末現在では、国債の組み入れ比率はゼロで、J-REITだけを組み入れているが、12月末時点の組み入れ銘柄数は27銘柄。東証REIT指数(配当込み)の63銘柄に比べると約半分に絞り込まれている。通常、銘柄数を少なくすると値動きが大きくなるが、カテゴリー平均よりも低いリスク水準を維持しているのは、リスクが大きな銘柄を回避する銘柄選定の能力の高さがうかがえる。

 J-REITの運用環境は、好調な国内不動産市況を背景に依然として良好といわれているが、19年は東証REIT指数がTOPIXを大きく上回った1年だっただけに、今後はJ-REITのリスクも意識されるところだ。REIT価格の上昇に行き過ぎの懸念がある場合には、国債への投資でリスクを抑制する「リート王」の魅力が際立ってくるかもしれない。(図版は、設定来の「リート王」とカテゴリー平均の推移)