モーニングスター <4765> は1月28日、20年3月期第3四半期決算を発表した。売上高49.31億円で前年同期比6.8%増、経常利益13.98億円で同0.1%増、当期利益9.53億円で同1%減だった。売上高は8期連続の増収、経常利益は11期連続の増益だった。当期利益は、昨年2月に買収したCarretアセットマネジメントののれん代計上に伴う税金の負担増によって微減益になったという。同社代表取締役社長の朝倉智也氏は決算説明会で、「公募投信が1995年以来、24年ぶりの純資金流出となった厳しい環境下、子会社のSBIアセットマネジメントの収益が悪化して最終利益が微減となった。ただ、金融機関向けのタブレットアプリの提供など収益基盤の拡充は順調に進展した」と今後につながる事業基盤が拡大できた成果を強調した。
 
 セグメント別の業績は、モーニングスター単体のファイナンシャルサービス部門が前年同期比8.3%の増収、また、子会社で取り組むアセットマネジメント部門も、Carret社の売上高約8億円も加わって5.8%増収となった。ただ、営業利益は、ファイナンシャルサービス部門が2.1%増益だったが、アセットマネジメント部門が32.6%の減益となり、連結営業利益は10.3%の減益となった。その主な要因が、SBIアセットの平均運用残高が18年4月~12月の2905億円から、19年4月~12月は2494億円に約411億円減少したこと。これによって、SBIアセットの売上高は25.6%減収となり、営業利益が33.3%減益になった。
 
 ファイナンシャルサービス部門のコア事業になったタブレットアプリ「Wealth Advisors」事業は、19年12月末現在で提供社数が419社、提供台数は9万306台となった。18年12月末と比較して提供社数は2.24倍、提供台数は35.9%増だ。このアプリは、投資信託の情報のみならず、保険商品や、NISA・iDeCo、相続、ロボアド、ライフプランなど、金融機関の預かり資産ビジネスに関連する情報やツールがワンストップで揃っている。また、導入金融機関ごとにアプリ利用の習熟度の応じたレベル別研修、モチベーションアップ研修などきめ細かなサポートを充実させ、アプリの稼働率の向上も進めているという。
 
 朝倉氏は、アプリの利用拡大を重要な経営指標に位置付けている。「アプリが既に9万台を突破し、日常的に販売現場で活用されていることで、運用会社は個別ファンドの独自レポートや動画をアプリに掲載することを求めるようになった。アプリビジネスは、従来はアプリ1台ごとに定額利用料をちょうだいする事業だったが、今では、運用会社と販売会社をつなぐプラットフォームとして機能し始めた。今後アプリの機能は、CRM連携や売買システム連携へと高度化し、プラットフォーム価値は一段と向上するだろう」と見通している。この金融機関との緊密な連携は、スマートフォンやPCサイト向けのデータ提供や、金融機関と共催する顧客向けセミナーの全国展開などにもつながっている。
 
 一方、アセットメネジメント部門は、昨年12月にSBIボンド・インベストメント・マナジメントとSBI地方創生アセットマネジメントをグループに加えたことで収益構造が安定化し、かつ、一段と従来事業と相乗効果が見込まれる体制になった。今期の営業減益になったSBIアセットは、公募の株式投信中心で、運用環境が良い時には利益確定の解約などで運用資産残高が大きく減少することがある。SBIボンドが私募の債券ファンド中心、SBI地方創生が地域金融機関の有価証券運用向け運用サービスを提供する会社で基本的に私募投信を提供する。私募投信は機関投資家の課題に対するソリューションとして提供するため、残高の増減が運用環境に左右されにくい。実際に新たに加わった2社の運用資産残高は、右肩上がりで緩やかに増え続け、SBIボンドは7196億円、SBI地方創生は1620億円の残高になっている。
 
 朝倉氏は、「金融機関の有価証券運用は、従来は国債や地方債を中心に短期トレーディングで収益が獲得できたが、これからは中長期で安定した収益を獲得する運用ポートフォリオの巧拙が収益を左右する。最適なポートフォリオの構築は、世界27拠点を有するモーニングスターのグローバルネットワークの活用や、SBIボンドが提携するピムコ社の運用力、あるいは、SBI地方創生が提携するブラックロック社のリスク管理ツールaladdin(アラジン)の活用などが効果的」と語る。実際に、ある地域金融機関の運用ポートフォリオをインカム重視に入れ替えたことで、インカム利回りを1.42%改善(マイナス利回りをプラスに転換)、信託報酬を0.24%削減でき、運用収益が劇的に変化した事例を紹介した。
 
 2019年3月末時点で地方銀行の有価証券保有状況は、総額80兆円のうち約6割を債券が占める。うち、国債・地方債の45%に相当する15兆円分の債券が今後3年以内に償還を迎える。「償還を迎える15兆円はマイナス金利の国債に買い替えることはできない。海外債券か、信用リスクを負うのか従来とは異なる運用が必要だ。SBIボンドやCarretは債券中心の運用会社だ。SBIグループのリソースを活かすことで、為替ヘッジコストや信託報酬などコントロール可能な運用コストも削減できる。また、運用を受託した金融機関から出向者を受け入れ、自行のポートフォリオ管理を運用会社のポートフォリオマネージャーと共同で行うという人材育成のプログラムも用意している。単に運用を肩代わりするのではなく、金融機関の持続的な成長に貢献していきたい」と、今後のアセットマネジメント事業を展望した。(写真は、2020年3月期第3四半期決算を説明するモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)