IMF(国際通貨基金)の世界の経済成長率見通しでは、2020年に中国のGDP成長率は5.8%と予測され、来年は一段と成長率が鈍化する見通しだ。大和総研 経済調査部 主席研究員の齋藤尚登氏は19日、「中国:巻き起こる『保6』論争と『安定』第一」と題したレポート(全8ページ)を発表し、中国経済の現状と展望を分析した。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆2019年11月(1月~11月)の主要経済統計は景気が底這いで推移していることを示している。11月の小売売上は名目こそ前年同月比8.0%増(以下、変化率は前年同期比、前年同月比)に加速したが、実質は4.9%増にとどまった。物価上昇が消費者の実質購買力の一部を毀損している。1月~11月の固定資産投資は5.2%増と、1月~10月と同じ伸び率となった。
 
◆2019年12月10日~12日に開催された中央経済工作会議は、安定を第一に、それが保たれている限り、構造改革を推進するとの方針を示した。中国共産党・政府は2020年を「小康(ややゆとりのある)社会の全面的完成」を達成する年と位置付けている。要の年であるからこそ、いつもにも増して「安定」が最優先されるのであろう。「安定」を最優先するということは、景気の下振れ圧力が増す中で、下支えを強化するということに他ならない。(1)インフラ投資のための地方政府特別債券のネットの発行額は、2019年の2.15兆元から2020年は3兆元以上になると予想され、固定資産投資を下支えする、(2)現在、大手行で13.0%の預金準備率を引き下げ、特に資金調達難に喘ぐ民営企業向けの貸出を増やして、運転資金や設備投資資金の調達をサポートする、ことなどが想定される。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)