トランプ大統領が米中貿易協議の合意に「期限はない」と発言したことで、同協議への懸念が強まりドル円は続落。長期金利が急低下したこともあり、一時は108円49銭まで売られ、約3週間ぶりのドル安を記録。ユーロドルは1.11台を前に足踏み。1.1094までユーロ買いが進んだが、1.11近辺が壁に。

 米中貿易協議の不透明感が強まったことで、株式市場は続落。ダウは一時450ドルを超える下げを見せたが、引けにかけては下げ幅を縮小し、280ドル安で取引を終える。債券相場は大幅に上昇。10年債利回りは1.71%台へ急低下。金は大幅に反発し、原油は続伸。


11月自動車販売台数 → 1750万台

ドル/円   108.49 ~ 108.78
ユーロ/ドル 1.1070 ~ 1.1094
ユーロ/円  120.24 ~ 120.48
NYダウ   -280.23 → 27,502.81ドル
GOLD   +15.20  → 1,484.40ドル
WTI    +0.14   → 56.10ドル
米10年国債 -0.103  → 1.716%

本日の注目イベント

豪  7-9月期GDP
中  11月非製造業PMI(速報値)
中  11月コンポジットPMI(速報値)
独  11月サービス業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
欧  ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
米  11月ADP雇用者数
米  11月ISM非製造業景況指数
米  クオールズ・FRB副議長、下院で証言


 米中貿易協議への懸念が再燃し、ドル円は108円台半ばまで売られ、米株式市場では売り物が膨らみ、NYダウはここ3日で600ドルを超える下げに見舞われています。米中貿易協議の合意については楽観的な見方が支配的だっただけに、リスク回避姿勢が強まり、投資家はリスク資産の売却姿勢を強めたようです。円やスイスフラン、それに債券や金が買われ、米10年国債は大きく上昇したため、利回りは10bp以上も低下しています。

 昨日の東京時間では、前日の米国株が大幅な下落を見せた割りには、日経平均株価の下げが限定的だったことで、ドル円は108円台後半から緩やかに上昇し、109円20銭前後まで買われました。米国株が再び大きく下げ、長期金利も急低下したことで108円49銭までドル安が進みました。トランプ大統領は、前日のブラジルとアルゼンチンからの鉄鋼・アルミに対して関税を引き上げると発表したことに続いて、訪問先のロンドンで記者の1人から、中国との貿易協議で年内の第1段階の合意取りまとめを見込んでいるかと問われると、「期限はない」と発言しました。さらに、「中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思う。しかし、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものになるかどうか見てみよう」と述べ、早急に合意する考えはなく、米国側に有利な条件でなければ、合意は来年以降にずれ込む可能性があることを示唆しました。(ブルームバーグ)

 トランプ氏はここ1カ月ほどの間に、「協議は非常にうまく行っている」と発言したり、「中国は合意したがっている」と述べたり、昨日のように「期限はない」などとも述べています。トランプ流の中国に対するけん制だとは思いますが、このまま12月15日を迎えてしまえば「制裁関税第4弾」が発動されてしまうことから、投資家は警戒感を強めています。ロス商務長官は3日のCNBCで、「事態打開のチャンスは常にある」としながらも、「15日の期限が来ても何も変わらなければ、中国製品に追加関税を課す計画を実行する」と語っています。また、双方の協議は続いているが、特に重要な会合は予定されていないとし、通商面では中国に対する「さらなる手段を米国は保持している」とも述べています。このように、早ければ今週中にも合意があるかもしれないと楽観視されていた米中貿易協議は、ここに来て、風雲急を告げています。

 トランプ氏はロンドンでフランスのマクロン大統領と首脳会談を行いましたが、トルコやNATOなど複数の問題での対立が表面化しました。フランスが7月に導入した「デジタル課税」を巡っては、「米企業を狙い撃ちした措置」と批判し、米国は対抗措置として、スパークリングワインやチーズ、ハンドバッグなどのフランス製品24億ドル(約2600億円)に対して来年1月にも制裁関税を課す考えを示しました。これに対して、フランスのルメール経済・財務相は、米国が報復関税をかければ、「EUは強力に反撃する用意が出来ている」と語っています。米国とEUとの関係は関税問題を巡り悪化の一途を辿っていますが、フランスが「デジタル課税」を創設したことで、さらに関係が悪化しているようです。

 108円台半ばまで下落してきたドル円ですが、結局110円には届かずに反落してきました。今後の展望は引き続き米中貿易協議の進展次第ですが、12月15日の「制裁関税第4弾」が発動されるようだと、リスク回避の流れがさらに強まることになりそうです。もちろん、ギリギリの段階で発動が回避される可能性も残っていますが、これも米国が投げたボールを中国がどのように投げ返すか次第ということになります。仮に上記関税が発動されれば、米国経済にとってもかなりの逆風になりますが、中国にとってはそれ以上に大きな影響が予想されます。今週の日曜日に発表された中国の製造業PMIはようやく改善の兆しを見せ始めましたが、関税が発動されれば、再び製造業の足を引っ張ることになります。

 本日は米国株の大幅続落を受けて、日本株がどこまで下げるのかと、今夜の米国株が一旦下げ止まりを見せるのかが注目されます。ドル円のレンジは108円20銭~109円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)