NY市場が休みのためドル円は109円50銭近辺でほとんど動かず。ユーロドルも1.10を割り込むかどうかが注目されたが、1.10台は維持。

 トランプ大統領が「香港人権法案」に署名したことから、英FT、独DAX、仏CACなど主要欧州株式は総じて下落。


本日の注目イベント

日  10月失業率
日  11月東京都区部消費者物価指数
日  10月鉱工業生産
独  11月失業率
欧  ユーロ圏10月失業率
欧  ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
米  株式、債券市場短縮取引
加  7-9月期GDP


 米国が感謝祭のため、昨日の海外市場ではほとんど動きがありませんが、昨日の東京時間の午前中に「トランプ大統領が香港人権法案に署名」とのニュースが伝わると、109円50銭台で推移していたドル円は、109円37銭近辺まで売られる場面がありました。合意が近いとされている米中貿易協議にとって「あらたな火種」になるとの見方からドルが売られたものですが、今後の中国側の対応が注目されます。同法案は、もともと米議会では圧倒的多数で可決された法案であり、仮に大統領が拒否権を発動しても、議会の3分の2の賛成で成立するとの見方があったため、トランプ氏は署名するだろうと見られていました。

 大統領の署名をもって同法案は成立しましたが、中国政府は「内政干渉」だとして反発するとともに、報復措置も辞さないと改めて警告しています。ただ、現時点では中国政府が具体的な行動を取っているとの報道はなく、中国外務省の報道官は定例記者会見で、「中国はいつ報復するのか?」、「貿易協議に影響するのか?」といった記者団からの質問に直接答えるのではなく、「このまま見守ってほしい。来るものは来る」と答えています。また、香港政府も声明で、「極めて遺憾」との立場を表明しています。(ブル-ムバーグ)

 同法案は香港の「一国二制度」が正常に機能しているのかどうかを検証し、仮に人権や自由、自治などが損なわれていたら、制裁を科すというものです。トランプ氏は署名後の声明で、「私は習近平国家主席と中国、香港市民に敬意を表して法案に署名した」とし、「同法案成立に当たり、中国や香港の指導者や代表者がお互いの相違を友好的に克服することができ、全ての人々の長期的な平和と安定につながるよう期待する」と述べています。今朝の報道では、香港警察が事実上制圧した香港理工大学の包囲を、早ければ今日にも解除する見通しだといった報道もあり、法案成立の影響が早くも出て来たようです。

 ユーロドルは前日に一時1.10を割り込む場面もありましたが、昨日は粘り越しを見せ1.10台をキープしています。景気の悪化に底打ち感が見られなかったユーロ圏の経済指標に、ようやく改善傾向が見え始めたことが相場を支えているのかもしれません。昨日発表された11月のユーロ圏景況感指数は「101.3」に上昇し、10月の「100.8」を上回っただけでなく、市場予想の「101.0」も上回りました。

 また、消費者信頼感指数もマイナスではありますが、10月に比べマイナス幅を縮小しています。長く続いたユーロ安の効果もじわじわと出てきたのかもしれませんが、カギはドイツの製造業の復活が確認出来るかどうかにあると考えます。昨日もドイツの自動車メーカー大手のアウディーが、「生産調整に伴い9500人の人員削減」といった記事を読んだばかりです。ドイツの製造業の復活には、中国景気の底入れが不可欠です。その中国では、米中の貿易協議も正式な合意を見ていない中、景気が底入れして拡大に向かうのは、早くても来春と予想しており、ドイツ製造業にとって春が来るのは、名実ともに来年の春ということになりそうです。

 今日はNY市場がオープンしますが、株式・債券市場は短縮取引となります。「ブラック・フライデー」ということもあり、午後からは多くのトレーダーが買い物に繰り出すことでしょう。そして来週からは12月です。徐々に市場参加者が減り、マーケットは薄くなります。米中貿易協議がいつ合意に至るのか。トランプ大統領の弾劾調査。あるいは12月15に予定されている中国に対する「制裁関税第4弾の発動」など、相場を動かしそうな材料は残ったままです。まだまだクリスマスモードに浸るには早いと言えるでしょう。

 本日のドル円は109円20銭~109円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)