モーニングスター <4765> は11月22日、新たに資産運用会社2社を子会社化し、アセットマネジメント事業を強化すると発表した。併せて、東証1部への市場変更申請を取り下げたことを発表している。当日、事業戦略についてビデオメッセージを発信した同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「東証1部市場への変更を申請している中にあって、大幅な組織改編はためらわれたが、このタイミングでアセットマネジメント部門を強化しなければ成長の機会を損なうと考えた。新たに加えた運用会社2社の力も併せ、モーニングスター連結グループ全体の成長を実現し、再度、東証1部への変更申請を行いたい」と、決断の背景を語った。
 
 新たに子会社に加えた2社は、ともに従来は10%出資だったが、「SBIボンド・インベストメント・マネジメント」については新たに80%を出資し、90%株主になった。そして、「SBI地方創生アセットマネジメント」は、46%を追加取得して56%出資にした。それぞれ独自の特徴ある運用ができる会社だ。モーニングスターの100%子会社である中間持ち株会社SBIアセットマネジメント・グループの傘下に組み込まれるが、既存の運用会社群(モーニングスター・アセット・マネジメント、SBIアセットマネジメント、SBIオルタナティブ・インベストメンツ、Carret Asset Management)とは異なる運用ニーズに応えられるとしている。
 
 SBIボンド・インベストメントは、SBIグループと世界最大の債券運用会社であるピムコ社との共同出資で2015年に設立。モーニングスターが90%出資後も、残る10%は提携パートナーであるピムコ社が引き続き保有する。シンプル、かつ、低コストのアクティブ型債券ファンドを開発し、営業開始から3年で運用残高が6000億円を突破した。ピムコ社のグローバル・アドバイザリー・ボードには元FRB議長のベン・バーナンキ氏、元ECB総裁のジャンクロード・トリシェ氏、元英財務大臣のゴードン・ブラウン氏などが顔をそろえ、各国の金融政策見通し等について世界最高峰の知見を得る稀有な立場を確立している。
 
 SBI地方創生アセットマネジメントは、モーニングスターの出資分56%以外の44%を地方銀行37行が出資し、出資する各銀行の預かり資産ビジネスのサポート(窓販への適切な商品提供、販売支援など)と自己資金運用のサポートをしている。現在4銀行が新たな出資を検討中で、早晩40行以上の地方銀行と業務提携することになる見通しという。19年1月の営業開始からわずか10カ月間で運用残高1000億円を超えた。
 
 マイナス金利まで落ち込んだ現在の金融状況は、銀行の経営を圧迫している。新規の貸出に対する需要が鈍く、余資運用の環境も悪い。特に、地方銀行にとっては運用の中心であった国債・地方債の約4割が今後3年以内に償還を迎えるにあたって代替する投資先が見つからないという課題がある。このような地方銀行の資金運用需要に対して、モーニングスターの運用子会社群は様々な角度から運用商品の提案が可能だ。グローバル債券運用の巨人であるピムコ社の運用ノウハウを活かした債券ファンドはSBIボンド・インベストメントが、米国債券は米国現地法人のCarret Assetが、また、SBIオルタナティブ・インベストメンツのリスクを抑えたオルタナティブファンドも提供できる。SBI地方創生アセットマネジメントは、これら各社の得意分野を活かした商品を採用することで、銀行の運用ニーズにきめ細かく応える商品を低コストで組成・提供できる。
 
 朝倉氏は、このような運用子会社群の拡充について「SBIグループが進める『第4のメガバンク構想』において、モーニングスターグループが地域金融機関の運用の高度化に貢献するという役割を果たす上でも重要なステップになる」と語っている。SBIグループは、共通プラットフォームを使ってKYC(顧客確認プログラム)やAML(マネーロンダリング対策)のシステム共有化、ATMの共有化や内外の投融資機会の提供などを行って、地域金融機関のみならず地域経済の活性化を目指す構想を進めている。すでに、今年9月に島根銀行、11月に福島銀行への出資を決定し、構想が動き出したところだ。
 
 金融機関の窓販営業サポートツールとして活用されているモーニングスターのタブレットアプリ「Wealth Advisors」は19年10月までに全国405の金融機関で約8.7万台が稼働している。うち地方銀行は全103行(地方銀行64行、第二地方銀行39行)の65%を占める67行に提供している。このような日常的なサポートが、地域金融機関との信頼関係につながっている。グループの運用子会社を通じた、運用商品の提供にもポジティブな効果があるとした。
 
 朝倉氏は、今回の運用子会社2社への追加出資・子会社化は企業価値の向上に資するとし、「リーマン・ショック後、10期連続で続けてきた増益と増配の記録をさらに伸ばしていく」と語っている。SBIグループの「第4のメガバンク構想」が動き出したタイミングだけに、「グループの運用会社の経営体制の再構築は待ったなしだった」という。「今回の運用会社グループの再編によって、モーニングスターグループは、Wealth Advisorsやゴメス、株式新聞などによる情報提供、業務サポートを行うファイナンシャル・サービス事業と、中間持株会社傘下のアセットマネジメント事業の両足で立つしっかりした事業基盤を築くことができた。この体制を強化、充実させて一段と業容の拡大に取り組み、再度の東証1部上場への指定変更をめざしたい」と語った。(写真はビデオメッセージで経営戦略を語るモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)