ドル円はトランプ大統領の中国をけん制する講演内容にやや反応し、108円93銭までドル売りが進む。ただ、値動きは乏しく109円を挟む展開に。ユーロドルは緩やかな下落が続く。1.1003までユーロ安が進み、1.11台後半を記録した11月4日を頂点にジリジリと売られる。

 連騰が続いている株式市場はトランプ大統領の発言を受けマイナスに沈む場面もあったが、総じて堅調に推移。ダウは前日と変わらず。他の主要指数は最高値を更新。債券相場は小幅に上昇。長期金利はほぼ変わらず。金と原油は続落。


ドル/円   108.93 ~ 109.24
ユーロ/ドル 1.1003 ~ 1.1023
ユーロ/円  119.94 ~ 120.31
NYダウ   ±0     → 27,691.49ドル
GOLD   -3.40  → 1,453.70ドル
WTI    -0.06  → 56.80ドル
米10年国債 -0.007 → 1.935%


本日の注目イベント

豪  11月ウエストパック消費者信頼感指数
独  10月消費者物価指数(改定値)
欧  ユーロ圏9月鉱工業生産
英  10月消費者物価指数
米  10月消費者物価指数
米  10月財政収支
米  パウエル・FRB議長、上下院銀行委員会で証言
米  カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
米  トランプ大統領、トルコ大統領と会談
米  下院情報特別委員会、ウクライナ疑惑を巡る公聴会を開始


 昨日の海外の材料は香港の民主化運動の激化とトランプ大統領の講演でした。注目されたトランプ氏の講演は、NYのエコノミッククラブで行われ、トランプ氏は、米国との合意を中国側が「何としてでもまとめたがっている」と述べ、「合意は近い。重要な第一段階の合意が近く実現する可能性がある」と述べ、協議は引き続き順調にいっていることに言及しながらも、「合意に至らなければ、われわれは対中関税を大きく引き上げる」と言明し、中国側をけん制する発言を行いました。

 さらに、「関税は極めて大幅な引き上げになる。われわれを不当に扱う他の国にも同じことが言える」と述べ、EUなど念頭に置いた発言も飛び出しました。また中国の習近平主席とチリで今月16-17日に予定されていたAPEC首脳会議で会談して署名する計画だったが、首都サンチャゴで街頭デモが続いていることから中止となり、新たな会談場所はまだ決まっていないとも述べました。

 講演では、金融当局を非難することも忘れておらず、「堂々と金利を引き下げる諸国とわれわれは盛んに競争している、実際にマイナス金利でローンを返済して支払いを受けている人は多くなった」と発言し、「私にも払ってくれ。私もそのお金がほしい。米金融政策当局は許してくれないからだ」と述べ、聴衆の笑いを誘った(ブルームバーグ)ようです。最後に、「われわれが払っている金利は実際に高い。米金融当局の協力が得られれば(株価は)さらに25%高かっただろう」と話しています。昨日の講演では合意が近いとしながらも、あらためて中国へのけん制を行いました。焦点は「第一段階」の合意が正式になされるのかどうかです。この合意がなされれば米中双方が段階的に関税を引き下げる可能性が高まり、長期に渡って行われた「米中貿易戦争」にようやく「出口」が見えてくることになると考えられます。

 混乱が続いている香港では今週に入りさらに混乱が激化しています。昨日は主要道路を封鎖する抗議活動参加者に警察が催涙弾を放つ一方、抗議活動参加者の無法な行動も過激化してきました。こうした動きに対して、香港中文大学中国研究センターのウイリーラム非常勤教授は、「現在の暴力や破壊行為などは中国政府の術中にはまるリスクを冒している」と指摘し、「中国の習近平主席は、香港の政治制度を自由化するのではなくそれとは正反対、つまり締め付けを強めるだろう」と論じています。(ブルームバーグ)米国務省もこれに対して、「重大な関心を持って香港情勢を見守っている」との声明文を発表しています。

 本日はパウエルFRB議長の議会証言があります。3会合連続で利下げを決め、上述のように、トランプ氏がさらに利下げ圧力をかけている中、今後の利下げは一旦休止との見方が広がっています。議長がどこまで利下げの一旦休止に言及するのか、あるいは今後も金融緩和姿勢継続に変化はないのか、ドルの動きにも影響を与えそうです。

 本日のドル円は108円60銭~109円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)