三井住友トラスト・アセットマネジメント(三井住友TAM)は11月9日、東京・丸の内で「金融リテラシーフォーラム」を開催した。基調講演に投資信託協会会長の松谷博司氏を迎え、パネルディスカッションにはフリーアナウンサーの木佐彩子氏、QUICK資産運用研究所長の北澤千秋氏を起用した。同社としては外部の識者を招いて一般の投資家向けに開催するオープンセミナーを主催するのは初めて。定員200名の会場がほぼ満席になる盛会だった。
 
 開会にあたってあいさつに立った三井住友TAM代表取締役社長の菱田賀夫氏は、「資産運用は決して難しくないこと、早く始めることが大事であること、そして、始めたら長く続けることが重要」という3つのポイントを伝えることが、フォーラムを開催する目的であると語った。そして、同社が参画する東京都水道局の「企業の森」プロジェクトを紹介し、同社が進める環境・社会・経営への責任投資についても簡単に紹介した。

 基調講演を務めた投資信託協会会長の松谷氏は、「個人金融資産の現状と未来に向けた資産形成 投資信託でハッピーになりましょう」というテーマで講演。米国で401(k)(確定拠出年金)が普及したことによって、「普通の会社員が、仕事を変えることもなく、自動的に給与の一部を投資に回すことで、多くのミリオネア(100万ドル長者)が生まれています」と紹介し、つみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を活用することで、長期・積立・分散投資に取り組んでほしいと伝えていた。講演では、「長期投資の重要性」に焦点をあて、「人生100年時代で長生きの生活費のための“将来への仕送り”には、長期投資が向いている」と語った。

 第2部として、三井住友TAM執行役員の堀井浩之氏が「小さな積み重ねが大きな効果 将来に向けた資産形成のポイント」と題して講演し、「資産運用は本当に必要か?」「2000万円の資産形成方法」「投資信託を活用した資産形成」について、具体的なデータや事例を使って解説した。特に、年代別に貯蓄率をみると、「30歳代は2人に1人が貯蓄500万円未満ですが、60歳代では、1500万円を中央の山にして、500万円未満と3000万以上でそれぞれ山ができる“3極化”の傾向が現れます。所得水準や資産形成の有無が高齢期の貯蓄の格差につながっているようです」「老後の日米での金融資産額は2~3倍の格差がついていますが、これは所得格差のみならず資産運用も大きく起因している」と資産形成の重要性を強調。「じっくり・コツコツ・伸びそうな投資」を続けることがポイントと、実際に過去から積立投資を行っていたら、非課税制度を活用したらと、具体的にどれだけの金額や効果になっていたかを伝えていた。

 第3部では、フリーアナウンサーの木佐氏とQUICKの北澤氏、そして、三井住友TAMの堀井氏をパネラーにパネルディスカッションを展開。三井住友TAM代表取締役会長の平木秀樹氏がモデレーターを務めた。木佐氏が、「投資家のイメージは、いわゆるデイトレーダーで、何台ものディスプレーにグラフがたくさん映し出されて、ずっと画面を見ていて、食事もカップラーメンで済ませているような人。時間と知識がないと、投資はできないという印象」と、「このままではいけないと思いながらも、勉強していないままでは、はじめの一歩が難しい」と多くの日本人を代表して語っていた。

 これに対し、北澤氏が、「日本では投資とギャンブルを混同するような誤解があります。ギャンブルは、いわゆるテラ銭を胴元が取るため、負ける人の方が多いのです。ところが、投資や運用は、長期的な価値の上昇によって誰も損をしない世界ですので、根本的に違います。積立投資を第一歩に、小さな金額から始めて、徐々に慣れていくことが大事」と語り、投資信託の活用を薦めていた。北澤氏は、「日本にある投資信託で10年以上の運用実績があるのは約1600本ありますが、そのうち、マイナスになっている投資信託は30本だけです。よほど変な商品を選ばない限り、10年以上持っていれば、めったなことではマイナスの結果にならない」と、投資を過度に怖がる必要はないと語った。

 また、堀井氏は、「長期でコツコツ運用を続けるのであれば、株式に投資する投資信託の活用を考えましょう。株価は上がり下がりがあるので、日々の値動きは無視して、積立投資をしていることすら忘れてしまう、ほったらかしのような長期目線が、結果的に良い成果につながることが多い」とアドバイス。北澤氏も、「余裕資金の全部を投資してしまうと、イザという時に手元に現金がないということもありますから、ある程度の預金がない場合は、預金と投資を併用して積み立て、収入が増え、ボーナスが出たら投資額を増やすなど柔軟に考えた方が良い。どうしてもお金が足りない場合は、積立を一時休止してもよいのです」と長く続けるコツを話していた。(情報提供:モーニングスター社)(写真は、左から投資信託協会会長の松谷博司氏、三井住友TAMの堀井浩之氏、QUICKの北澤千秋氏、フリーアナウンサーの木佐彩子氏)