初値が公募価格を50%以上上回るような好調な状態が続いていた香港IPO市場が、23日に上場した快餐帝国(01843)以来、変調をきたしている。11月1日には今年6月の上場予定を先送りしたESR(01821)の大型上場を控え、香港市場の新規上場受け入れ能力を試されるような局面を再び迎えている。
 
 快餐帝国(01843)は、初値こそ公募価格(0.65香港ドル)を83%上回る1.19香港ドルでスタートしたものの、当日の引値は0.61香港ドルと公募価格を割り込む水準に沈んだ。そして、翌24日上場した吉林省春城(01853)は公募価格割れの初値となり、同日上場の向中国際(01871)は初値は公募価格(1.28香港ドル)を上回ったものの、その直後に公募価格を割れ、引値は0.87香港ドルと、公募価格を32%下回ってしまった。3銘柄連続で上場当日に公募価格を維持できなくなっており、このままIPOが継続できるものか懸念される状況だ。
 
 今年は、米中貿易摩擦や香港デモなどの影響で市場が不安定化する関係で、予定されていたIPOがたびたび延期されている。3月下旬には東正金融(02718)と盛世大聯(01879)が当初予定の上場日を延期。6月下旬にESR(01821)が、そして、7月中旬にはWMCHグローバル(08208)とバドワイザーAPAC(01876)が上場を延期し、7月中旬から9月上旬の約2カ月間にわたってIPO市場は閉鎖状態になった。
 
 10月のIPO市場は11日上場のシン苑物業(01895)以来、7銘柄連続で公募価格を2桁上回る初値状況が続き、活況を呈していた。18日には4銘柄がそろって新規上場したものの、消費不振の象徴である自動車販売の世紀聯合(01959)は初値が公募価格割れとなったが、その他の銘柄は公募価格を20%~60%上回る初値を付けて好調を持続していた。
 
 このIPO人気の裏付けの1つになったのが9月30日に上場を果たしたバドワイザーAPAC(01876)の堅調な値動きだった。同社は公募価格27.0香港ドルに対し、初値こそ27.4香港ドルと公募価格と変わらないスタートだったが、その後は連日高値を切り上げ、10月9日には32.65香港ドルと公募価格を20%超上回る高値を付けた。同社は公募増資によって約380億香港ドル(約5300億円)を調達し、今年2番目に大きなIPOを実施した会社。この会社が高値を維持できていることが、その後に続いたIPO銘柄への期待感につながった側面がある。
 
 ところが、このバドワイザーAPAC(01876)も24日には30.50香港ドルまで下落して勢いがない。足元のIPO銘柄が上場後に公募価格を維持できない価格に沈んでしまうことと合わせて気になる動きだ。
 
 11月1日に上場を予定しているESR(01821)は6月に上場を見送った後、満を持して再度の上場手続きを進めている。アジア最大の物流プラットフォームを提供する同社は、資金調達規模も約106億香港ドル(約1480億円)と比較的大きい。2度の延期などという事態にならないかどうか、今後の状況が注目される。
 
 25日は、家電メーカーの登輝(01692)、28日に抗がん剤などの開発を行うバイオテクノロジー会社の亜盛医薬(06855)、31日には2銘柄で、モバイルゲーム開発の中手遊科技(00302)と生コンクリート製造会社の雲南建投(01847)が上場を予定している。公募での調達規模では、亜盛医薬(06855)の3.5億香港ドル(約50億円)が最大で、その他は0.37億香港ドル(約5億円)~1.18億香港ドル(約16億円)程度の小さなIPOが続く。(イメージ写真提供:123RF)