米中貿易摩擦は、10月10日-11日の米中閣僚級協議での部分合意によって小康状態になっている。大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は10月23日、「中国:米中『部分』合意への期待と懸念」と題したレポート(全9ページ)を発表し、今回の合意によって中国の景気底入れ期待は高まったとした。ただ、合意項目の1つに「為替政策」が組み込まれたことで、人民元ショック(チャイナ・ショック)の再燃懸念を指摘している。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆10月10日、11日の米中閣僚級協議では、中国が米国からの農産物輸入を大幅に増やし、為替政策の透明性を高めることなどで部分的な合意に達した。今後は、11月16日~17日にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)における米中首脳会談で合意文書に署名がなされるか、そして具体的な内容がどうなるかが注目される。注意を要するのは、為替政策であり、仮に為替水準について米中合意がなされると、(追加関税率引き上げなど米国に起因する以外の)何らかの要因で元安が進展する際には、合意遵守(対米配慮)のために中国が元買い介入を行う可能性が出てくる。外貨準備の費消の程度によっては、2015年夏や2016年1月の人民元ショック(チャイナ・ショック)の再燃も懸念されよう。
 
◆米中摩擦の一段の激化が当面、回避されることになれば、朗報である。米中摩擦問題が「凪」の時に、中国が景気テコ入れ策を本格化することで、底入れ期待は高まろう。大和総研では引き続き、(1)現在大手行で13.0%の預金準備率のさらなる引き下げ(1%ptの引き下げで1.6兆元程度の貸出増加が可能)、(2)インフラ投資のさらなる加速、(3)自動車・家電の補助金支給による購入・買い替え促進など、の実施に期待をしている。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)