モーニングスター <4765> が10月23日、2020年3月期の第2四半期決算を発表した。連結売上高は33.33億円(前年同期比3.2%増)、経常利益は10.13億円(同3.3%増)と、8期連続の増収、10期連続の経常増益を達成し、8期連続で過去最高益を更新した。当日の決算発表会で、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「公募投信市場は新規設定本数が前年同月比で約40%減少する厳しい市場環境になったが、増収増益を維持できた。市況に左右されない強固な事業ポートフォリオであることが確認できる決算になった」と振り返っていた。
 
 今決算の特徴は、子会社のSBIアセットマネジメントが投信市場の低迷等によって売上高が12.73億円(前年同期比30.2%減)、経常利益2.37億円(同27.0%減)と、30%前後の減収減益となった。好調時には連結決算をけん引する勢いがあったが、国内中小型株運用で残高減少や運用成功報酬の剥落などがあった。この不振を補ったのが、モーニングスター単体で提供しているタブレットアプリを通じたデータ提供とゴメス・コンサルティング事業部のWebコンサルサービスだった。
 
 同社のタブレットアプリ「Wealth Advisors」の提供社数は、18年9月末に150社から、19年9月末には401社と約2.7倍に拡大。提供台数も5.96万台から8.47万台へと約42%増加した。特に地方銀行では全103行中68行が導入済みでスタンダードなツールとして定着。また、現在約900社あるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)でも提供社数が昨年9月末35社が、233社に拡大するなど急速に普及している。このタブレットアプリの普及は、PCやスマホサイトのデータをモーニングスターに置き換えることを促し、ファンドデータ部門の売上高は6.23億円(前年同期比23.1%増)と大きく伸びた。
 
 また、データの活用が進むと金融機関からサイトのリニューアルやモバイルサイト構築の相談件数が増大し、新サービス「ウェブクオリティ検証」の効果もあってゴメス・コンサルティング事業部の売上高も1.27億円(同33.5%増)と大きく伸びた。
 
 このような上半期を受け、朝倉氏は今後の戦略として、(1)タブレットアプリの拡大など資産運用アドバイスのプラットフォーマーとしての地位確立、(2)個人の年金運用をサポートする投資教育・投資助言事業の推進、(3)地域金融機関の自己資金運用をサポートするアセットマネジメント事業の強化――という3つの方向性を示した。
 
 タブレットアプリは、401社8.5万人が活用するツールとなり、情報を伝えるメディア(媒体)としての価値が拡大。今後は、アプリ上に運用会社が独自に制作したレポートや動画等を掲載し、そのコンテンツに課金するビジネスが成立するようになってきた。さらに、現在は、情報提供ツールとしてのみ使われているアプリは、顧客情報連携、売買システム連携へと機能を追加していくことによって1件あたりの利用料も増額することが可能とした。
 
 また、企業型確定拠出年金の導入事業所が3.4万社、加入者数が720万人に達する中で、「これまでサービス提供が抜け落ちていた投資助言サービスに大きな成長期待がある」(朝倉氏)とした。投資顧問契約に基づく投資助言サービスは、現在の投資教育の担い手であるFP(ファイナンシャルプランナー)や運営管理機関にはできないサービス。グループのE-Advisor(Eアドバイザー)を通じて、個々の加入者の運用ニーズにかなった運用商品を提示するサービスなど、米国の確定拠出年金(401k)市場で米国モーニングスターが成長を遂げたノウハウを日本市場向けにカスタマイズして提供する考えだ。
 
 そして、100%子会社の持株会社「SBIアセットマネジメント・グループ」傘下の運用会社によって「地域金融機関の自己資金運用をサポートする」(同)とした。国内中小型株式やアジア、フロンティア市場等での運用に強みがあるSBIアセットマネジメント、米国の株式・債券等で運用するCarret Asset Management、グローバル国債・地方債・社債の運用に特化したSBIボンド・インベストメント・マネジメント、地域金融機関向けにカスタマイズした商品を提供するSBI地方創生アセットマネジメント、そして、金や不動産や再生可能エネルギー等のファンドを提供するSBIオルタナティブインベストメンツという個性ある運用会社によって、様々な運用ニーズに応えることができるとしている。
 
 朝倉氏が着目するのは地域銀行の有価証券運用の実情だ。「19年3月末現在で地域金融機関が保有する有価証券は、約63%が国債・地方債・社債だ。うち、国債・地方債の約4割が今後3年以内に償還を迎えるといわれている。これまでは債券保有によって金利低下の恩恵を受けられたが、償還された債券を新規で円債に購入してはマイナス金利で利益を生まない。この運用ニーズにSBIアセットマネジメント・グループは対応できる」(朝倉氏)と語った。
 
 たとえば、モーニングスターグループは世界27拠点に展開し、しかも、米モーニングスターは世界第4位の格付け会社であるカナダのDBRS社を買収し、社債等の格付けで魅力的な債券を提供することが可能だ。ファンドの形では、提携する世界最大の債券運用会社ピムコ社のノウハウを活かした商品が提供できる。さらに、SBIグループのグローバルネットワークやフィンテック技術力によって、より低コストで運用商品を提供するなど、具体的な優位点を紹介。モーニングスターが築いてきたタブレットアプリによるフィービジネスのサポートに加え、自己資金運用もサポートすることによって、「SBIグループが取り組む地方創生プロジェクトに積極的に関与し、地方経済の底上げ・発展に貢献していきたい」(同)と語っていた。
 
 このような取り組みは同社の業績を投信市場の環境に左右されにくくし、安定的に成長する事業体質を一段と強化する効果が期待される。