東海東京証券は2019年9月1日に旧高木証券と合併し、新生・東海東京証券として東海・関東・関西に強いネットワークを持つ、存在感のある総合証券会社になった。「東海東京のiDeCo」は、18年3月の取扱い開始から、資産形成層をターゲットにした相談窓口である「MONEQUE(マニーク)」などでセミナーや勉強会を繰り返し開催し、東海地区を中心に浸透してきた。同社執行役員 営業統括部長の宮澤伸光氏(写真:左)にiDeCoの取り組みについて聞いた。18年3月にiDeCo取扱い開始時にiDeCoを担当したビジネスプロモーション部ローンビジネス推進グループの太刀川真代氏(写真:中央)、また、現在のiDeCo担当である営業統括部営業統括グループ嶋崎真悠氏(写真:右)にも加わってもらった。
――「東海東京のiDeCo」の取扱い開始は18年3月になった。各社が17年1月のiDeCo加入対象者拡大に合わせて新サービスを提供開始したことからスタートが遅れた理由は?
宮澤 17年4月を起点とする経営計画において、「新時代の旗手」として金融界における存在感を発揮できる企業グループとなるべく、地方銀行との業務提携による提携合弁証券の展開や顧客セグメント別戦略など、独自のビジネスモデルを構築しています。このような中にあって、iDeCoの位置づけを検討するというステージがあったため、「東海東京のiDeCo」は18年3月のスタートになりました。
リテール分野では、お客さまの特性やニーズに応じた商品・サービスを提供する顧客セグメント別戦略を推進しており、投資初心者、資産形成層のお客さまに多くご利用いただいているオンライン取引の「かんたんダイレクトサービス」など、各種サービスを勘案した上で、iDeCoの制度設計やサービス体制をつくりました。また、髙木証券との合併により、同社が手掛けてきた投信の比較・分析に強みを持つ「投信の窓口」を当社が展開することとなりました。
結果として17年1月からは、1年余り遅れてのスタートとなりましたが、資産形成層向けの入口を担うツールとして、多くの方々に自信を持ってご案内できる「東海東京のiDeCo」になったと考えています。
太刀川 17年当時にiDeCoの準備をしている段階で、お客様の声を集めると、「貯蓄から資産形成へ」という言葉を知っている方もいらっしゃったのですが、「何をしたら良いのか分からない」という方が大変多いというのが率直な感じでした。iDeCoについては、そのサービス内容についてご存知の方は、ほとんどいませんでした。
また、職域マーケットでiDeCoについてのニーズを聞いて回っている時に、企業型の確定拠出年金について強いご要望をいただきました。そのため、企業型確定拠出年金のサービス体制も整える必要性を感じました。
――16本の運用商品ラインナップの考え方は? また、指定運用方法(デフォルト商品)は?
宮澤 運用商品は、元本確保型の定期預金から、株式や債券、リートといった全世界の資産クラスにアクセスできる分かりやすいラインナップを心掛けました。各資産クラスを対象としたインデックス・ファンドを揃え、バランス・ファンドとターゲットイヤー・ファンドという品揃えです。
デフォルト商品は、特に指定していません。お客様に自ら主体的に運用する制度であるというiDeCoの制度について丁寧にご説明し、ご加入いただく際に、投資先を指定していただくようにしています。
16本のラインナップは投資の入口としてご活用いただくという観点で考えても最低限のラインナップだと考えています。現在、日本株のアクティブファンドを1本導入していますが、今後、時代のニーズ、あるいは、新しいテクノロジーを活かした商品などが出てきた際にはお客様のご意向をうかがいながら、商品の拡充を考えていきたいと思っています。
――iDeCo向けの関連サービスは?
宮澤 iDeCoは、投資が初めてという方が多くご利用いただくサービスになると考え、ご加入いただいた後の資産運用についても悩むことなく続けていただけるようなサポートを充実させています。
「マニーク」は、お金の悩みを解決するワンストップサービスをコンセプトに現在5つの拠点を展開しています。名古屋駅直結の「名駅ユニモール店」、名古屋地下鉄栄駅すぐの「サカエチカ店」、東京駅直結の「八重洲地下街店」など、駅に近い便利な立地で年中無休、夜は20:00までオープンしている相談窓口です。iDeCoだけではなく、保険や住宅ローン、証券商品全般を取り扱い、ご相談に無料で対応していますので、是非お気軽に立ち寄っていただきたいと思っています。
また、iDeCoをきっかけに資産運用についてしっかり学びたいとお考えになった方には、「マニーク」ではiDeCoセミナーなど各種の勉強会を開催しています。
iDeCoは、加入すれば、それで終わりというものではありません。運用商品を選び、時には、運用商品の変更や運用ポートフォリオの変更などを行いながら、老後の資金をご自身で作っていく制度です。当社では、その都度、必要となるサービスのラインナップを揃えて、お客様に伴走していきたいと思っています。
嶋崎 「人生100年時代」が話題になって、お客様の年金に対する感度が上がっているように思います。「マニーク」や支店等で開催する「年金セミナー」や「iDeCoセミナー」などへの参加申込件数は増えていますし、ご来店いただいて、その場でiDeCoのお申込みを承るということも増えています。
この7月から金融機関等の営業職員における運営管理機関業務の兼務規制が緩和されたことで、店頭でiDeCoについて説明しやすくなりました。資産運用のご相談を承る時に、そもそもiDeCoの説明のみするのではなく、お客様のニーズに応じてつみたてNISAやその他の金融商品なども視野に入れて、お客さまのご希望に適うようなご提案をしています。ぜひ、お近くの「マニーク」、または、東海東京証券の支店にお声掛け頂きたいと思います。
――今後のiDeCoへの取り組みは?
宮澤 東海東京証券は、2010年4月のトヨタファイナンシャルサービス証券との合併、この9月の高木証券との合併を経て、東海地区を中心に関東と関西地域を広くカバーする営業基盤ができました。「東海東京のiDeCo」は地域のお客様に当たり前にお使いいただく金融サービスとして定着するように、個別相談を軸にしてオンラインチャネルなども活用して広く紹介していきたいと思っています。
一方、少し将来の話になりますが、現在の中高生らの若い世代の方々に、年金や金融などについてより分かりやすく伝えていく努力が必要だと感じています。退職時期が近づいてからあわてて年金の準備をするのではなく、若いうちから少しずつでも準備を進めていくような文化を作っていきたいと考えています。小学生向けのイベントや高校での課外学習への講師派遣など、地域の学校との連携も息長く続けていきたいと思っています。
東海東京のiDeCo、資産形成の入口商品として各種の運用サポートツールを用意
2019-09-19 10:48

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・iDeCoニュース - 金融機関ごとのiDeCoについてインタビューなど
・iDeCoコラム - iDeCoの活用法などを解説
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