週末のジャクソンホールを控えドル円は106円台半ばで小動き。FOMC議事録では7月の利下げが政策軌道に対する再検証の一環だとし、パウエル議長の発言と一致した。ユーロドルは1.11を挟んだ展開。1.1080まで下落し、底値を試すも動きは緩慢。株式市場は大幅高を演じたものの、午後には議事録の公表を受け上げ幅を縮小。ダウは240ドル高となり、他の主要指数も上昇。債券相場は反落。長期金利は1.58%台へ上昇。金は変わらず。原油は反落。

ドル/円 106.35 ~ 106.64
ユーロ/ドル 1.1080~ 1.1105
ユーロ/円 118.02 ~ 118.28
NYダウ +240.29 → 25,202.73ドル
GOLD  ±0    → 1,515.70ドル
WTI   -0.45  → 55.68ドル
米10年国債  +0.034 → 1.589%


【本日の注目イベント】

◆米   新規失業保険申請件数
◆米   8月マークイット製造業景況指数
◆米   8月マークイットサービス業PMI
◆米   7月景気先行指標総合指数
◆独   独8月製造業PMI(速報値)
◆独   独8月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧   ECB議事要旨


 引き続き大きな材料がない中、昨日は7月のFOMC議事録が公表され、その内容に注目が集まりました。7月30-31日に行われたFOMCでは、ご存知のように、「10年半ぶりの利下げ」に踏み切り、パウエル議長はその後の会見で、「今回の利下げは長期にわたる利下げの始まりではない」と述べ、利下げ観測に前のめりになっていた市場を「けん制」する発言を行いました。発言が予想外に「タカ派寄り」だったことで、ドル円は発言をきっかけに109円台までドル高が進み、ここを頂点にその後は105円台前半までドルが売られたことは記憶に新しいところです。それだけに、どのような議論がなされたのか、注目されていました。

 議事録では、「世界的な低調な成長見通しや通商政策を巡る不確実性の影響に対応し、そうした要因に伴う一段の下振れリスクに対する保険を掛け、さらにインフレ率が2%目標により速やかに戻るのを促進するため、政策決定に賛成票を投じたメンバーらは全体的な政策スタンスをより適切に位置づけることを目指した」(ブルームバーグ)とし、25bpの利下げを決定しています。また利下げについては、2018年後半に始まった政策軌道に対して「継続して行われている再検証」の一環だと記され、上記パウエル議長の発言とも整合性がとれています。また利下げの理由としては、「貿易を巡る不確実性が見通しへの根強い向かい風として留まり続ける」とあり、トランプ大統領が仕掛けた「貿易戦争」が政策決定に重要な位置を占めていたのが理解できます。ただ、25bpの利下げについては、2名の委員が50bpの利下げを求めた一方、ボストン連銀のローゼングレン総裁とカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、利下げそのものに反対票を投じるなど、FOMCメンバーの中でも意見が分かれています。「貿易戦争」に伴う世界的な景気後退と、その影響がどの程度米国に及ぶのか予測することが、極めて困難であることを物語っているものと思われます。

 トランプ大統領は、「米国はおそらく中国と取引をおこなうだろう」と述べるとともに、「この貿易戦争はずっと前に起こるべきものだった。誰かがしなければならなかった。私は選ばれし者だ」と述べ、これまで中国の不公平な貿易慣行を放置したとして歴代大統領を批判しました。ジャクソンホールでのパウエル議長の講演まであと1日。9月のFOMCまでも1カ月を切りました。大幅な利下げを執拗に要求しているトランプ大統領ですが、仮に9月のFOMCで25bpの利下げに留まった場合、トランプ氏は何と言ってパウエル議長を批判するのでしょうか。昨日すでに、「彼はパットの下手なゴルファーのようだ。まったく勘が鈍い」と述べています。ひょっとしたら、議長解任にも言及するかもしれません。以前にも、トランプ氏は「私にはその権限がある。ただ、それはしない」と述べていました。
 
 引き続き動きにくい展開です。日本時間23日の午後11時から始まるパウエル議長の講演までは仕方のないところでしょう。本日のドル円は106円20~106円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)