ドル円は小幅に上昇したものの、106円43銭で上げ止まる。中国とドイツが景気対策を検討しているとの報道にリスクがやや後退。ユーロドルは小幅に水準を下げ、1.1066まで下落。

 株式市場は大幅に続伸。中国とドイツの景気対策報道を好感しダウは306ドル、ナスダックも129ポイント上昇。債券相場は反落。長期金利は1.55%台へと上昇。ドルが買われたことで金は反落。原油は3日ぶりに反発。


7月住宅着工件数             → 119.1万件
7月建設許可件数             → 133.6万件
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 92.1

ドル/円   106.20 ~ 106.43
ユーロ/ドル 1.1066 ~ 1.1107
ユーロ/円  117.57 ~ 118.16
NYダウ   +306.62 → 25,886.01ドル
GOLD   -7.60   → 1,523.60ドル
WTI    +0.40   → 54.87ドル
米10年国債 +0.027  → 1.554%

【本日の注目イベント】

日  7月貿易収支
欧  ユーロ圏6月経常収支
欧  ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)


 ドル円は概ね106円台で推移しています。上値は重いものの、106円割れから105円台半ばではドル買い意欲も強く、依然としてドルの下落リスクの方が高いとは思いますが次の材料を待つ展開になっています。その次の材料は、恐らく今週末にはやってきそうです。ワイオミング州「ジャクソンホール」で行われる、カンザス・シティー連銀恒例の、シンポジュームが今年も世界中の注目を集めることになりそうです。

 このシンポジュームには世界中から中銀総裁や、エコノミスト、企業のトップなどが集まり、景気や金融政策などについて議論をするものです。FRBは先週、この会合にパウエル議長が参加し、米国東部時間23日(金)の10時から「金融政策への挑戦」(Challenges for Monetary Policy)と題して、講演を行うと発表しています。また、クオーレ・副議長も、現地時間20日(火)午後4時にソルトレーク・シティーで講演を行うことも発表しています。

 毎年8月は材料に乏しく、それだけに「ジャクソンホール」での経済シンポジュームは注目されてきましたが、今回はこれまでになく注目度が高いと思われます。先月末のFOMCでは市場予想通り、25bpの利下げを決めましたが、その後の記者会見でパウエル議長の放った言葉が予想外に「タカ派寄り」であったことを記憶している方も多いのではないかと思いますが、議長は「今回の利下げが長期的な利下げサイクルの始まりではない」と、市場の前のめりの利下げ観測をけん制する発言を行いました。ドル円はこの発言をきっかけに、利下げがあったにも関わらず109円まで上昇しました。タイミングが悪いことに、トランプ大統領が中国製品3000億ドルに対する制裁関税第4弾を唐突に発表したのが翌日8月1日でした。ドル円はこの日以降ジリジリと下げ、105円台半ばまで下落したことは、ご存知の通りです。

 このような経緯があった中で、今回パウエル議長の講演が行われるわけです。9月のFOMCでの利下げもほぼ確実視されていますが、問題は「利下げ」ではなく「利下げ幅」です。トランプ大統領やクドロー米国家経済委員会(NEC)委員長などは、相変わらずFRBに対して利下げ圧力をかけ続けています。一方で、出口の見えない米中貿易戦争の影響もあり、株式市場では先週ダウが今年最大の下げ幅となる800ドルも下落するなど、混乱が続いています。また、経済データでも景気の悪化を示す指標も散見され、先週には10年半ぶりに「逆イールド」が発生するなど、もはや「外堀は埋められた」格好になっています。「ジャクソンホール」での講演では、少なくとも「タカ派寄り」の発言はないものと予想しています。政治的圧力に屈することはないとしても、今後も「FRBが利下げスタンスを維持している」という事実を、鮮明に市場に印象付ける必要があると考えます。従って、個人的には9月のFOMCで50bpの利下げを実施すると予想しています。

 先週トランプ氏は、近いうちに習近平主席と電話会談を行うことをツイートしていましたが、クドローNEC委員長は、「今後1週間から10日のうちに電話会談を行う」ことを明らかにしています。トランプ氏も、「米国は中国とうまくやっており、話をしている」と述べており、協議がうまくいけば中国側を米国に招いて閣僚協議を行う計画があることも発表しています。また、トランプ氏に近いナバロ大統領補佐官は「力強い経済が2020年を通じて、またそれ以降も続く」とABCテレビの番組で語り、金融政策についても「パウエル議長は鏡に映った自分の姿を見て、『私は政策金利を早く引き上げ過ぎた』と言うべきだ」とあらためてパウエル氏を批判していました。(ブルームバーグ)

 本日のドル円はドルの上値がどこまであるのかを確認する動きになりそうです。引き続き値を飛ばす可能性もあるので注意は必要です。レンジは106円~106円80銭程度を予想します。「8時間足」の雲の下限が106円85銭前後にあります。まずは、この辺りが意識されそうです。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)