105円06銭まで売られたドル円は急反発。トランプ政権が中国に課す関税を巡り、一部品目を12月15日まで延期することを発表したことで、106円98銭までドル高に振れる。ユーロドルはドル円ほどの動意は見せず、引き続き1.12を挟んでもみ合う。株式市場は急反発。米中貿易戦争が緩和されるとの見方に、ダウは一時500ドルを超える上昇を見せ、382ドル高で取引きを終える。アップルなど、中国関連銘柄が上昇を牽引。債券相場はリスク回避の動きが後退し反落。長期金利は1.7%台を回復。リスク回避モードが後退したことで、金は売られ、原油は大幅に続伸。

7月消費者物価指数 →0.3%

ドル/円 105.16 ~ 106.98

ユーロ/ドル 1.1171~ 1.1229
 
ユーロ/円 117.97 ~ 119.57

NYダウ +382.20 → 26,279.91ドル

GOLD  -3.10  → 1,514.10ドル

WTI   +2.17  → 57.16ドル

米10年国債   +0.058 → 1.703%


本日の注目イベント

豪 豪8月ウエストパック消費者信頼感指数
中 中国7月小売売上高
中 中国7月鉱工業生産
独 独4-6月期GDP(速報値)
欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
英 英7月消費者物価指数
米 7月輸入物価指数

 《本日も日本株の下落に伴ってドル円は105円方向を試すことが予想されます。ただ、105円が大きな節目になる可能性もあります。気になるのは、ここにきて筆者も含め多くの専門家や投機筋が、円高がさらに進むと予想し始めているという点です。105円前後が当面の底値になる可能性も、上記理由からわずかですがないとは言えません。注意が必要です。》

 この文章は昨日の「アナリストレポート」の最後の部分です。日本が祝日だった12日の欧州市場でドル円は105円05銭を付けた後反発し、昨日の夕方7時過ぎにもほぼ同じ水準である105円06銭までドルが売られ、その後驚きのドル急騰でした。105円前後を2度アタックして跳ね返されたことで、やはり、105円前後は注意を要する水準だったと言えます。もっとも、ここまでの反発を予想できた人はいないはずで、これも「トランプリスク」のなせる業(わざ)です。

 トランプ政権は中国からの輸入品に賦課する10%の追加関税について、一部品目に関して発動を9月1日から12月15日まで延期すると発表しました。品目にはエレクトロニクス製品や衣服などが含まれており、延期した理由は「クリスマスシーズンに影響が出るから」ということのようです。「開いた口がふさがらない」とは、このことです。それならば、8月1日に「中国からの製品3000億ドル(約32兆1000億円)に9月1日から10%の関税をかける」と発表しなければよかったわけです。「最初に相手を脅しておいて、相手の出方を見ながら制裁を緩めていく」という、トランプ流のディールです。当初9月1日をデッドラインとしたものの、これまでに中国側が譲歩する気配もなく、むしろ農産物の大量輸入を取り消すなど、攻勢に出てきたことが「想定外」だったのかもしれません。

 今回の「発動」、「延期」で、金融市場は大混乱し、かなりの損出をこうむった投資家もいると思われます。7月末のドル円は109円でした。そこから105円05銭まで約4円ドル安が進み、NYダウは、2万7198ドルから12日には2万5897ドルまで売られ、日経平均株価も同じような展開です。米長期金利は、2.05%台から一時は1.59%台まで急落し、この間金価格は100ドルも上昇しています。このように、8月1日の突然の発表を受け、金融・商品市場は大混乱させられました。米国の大統領として、もう少し慎重さが求められます。仮に2020年の大統領選に勝つようなことがあれば、さらにあと4年このような事態が起こる可能性があるということです。

 ドル円はこの発表を受け、105円台前半から107近辺まで一気に買い戻しが進みましたが、ドル円との相関が高い米長期金利の上昇率からすれば、買われ過ぎだったと言えます。その証拠に、ユーロドルでは、それほどドル高は進んでいません。ドル円のショートが溜まっていたということでしょうが、ストップが巻き込まれたのと、お盆休みのため、参加者が少なかったことも理由として挙げられそうです。株式市場でも中国関連銘柄などが大きく上昇しており、ナスダック指数は、前日比で約1.95%も上昇しました。

 問題は、これでドル円も105円前後で「当面の底値を確認」したのかどうかという点です。結論から言えば、まだ底値を打ったとは言えないと考えています。日足チャートを見る限りまだそこまでの転換は示唆していません。「MACD」では「マックD」と「シグナル」がちょうど交わったところで、ドル円が天井を付けたようで、まだ「ゴールデンクロス」は示現していません。また、これでFRBによる政策金利引き下げスタンスが変わるものでもありません。このように考えると、現時点ではまだドル安の流れは変わっていないと考えます。

 本日は日本株の反発具合にもよりますが、107円台を回復するようだと、今度はドルの反転に注意する必要が生じますが、それまでにはまだ時間が必要でしょう。本日の予想レンジは106円~107円といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)