ドル円は欧州時間に約7カ月ぶりとなる105円05銭を記録。NYでは朝方の105円12銭を底値にドルが買い戻されたが、上値は重く105円43銭止まり。その後やや値を下げて引ける。ユーロドルは新たな動意もなく1.12を挟む展開。株式市場は大幅安。香港での大規模デモや、アルゼンチンペソの急落。さらに米中貿易戦争長期化などの懸念からダウは390ドル下げ、他の主要指数も3日続落。債券相場は急上昇。長期金利は1.65%台へと低下。金は3日ぶりに反発し、原油は3日続伸。

7月財政収支  →  119.7b

ドル/円 105.12 ~ 105.43

ユーロ/ドル 1.1187~ 1.1230
 
ユーロ/円 117.62 ~ 118.24

NYダウ -389.73 → 25,897.71ドル

GOLD  +8.70  → 1,517.20ドル

WTI   +0.43  → 54.93ドル

米10年国債  -0.099 → 1.645%

本日の注目イベント

独 独7月消費者物価指数(速報値)
独 独8月ZEW景況感指数
英 英失業率(4ー6月)
米 7月消費者物価指数
米 4-6月期家計債務残高

 ドル円は欧州時間に105円05銭まで売られ、105円割れは回避できたものの、ついに105円割れが時間の問題となってきました。NYではややドルが持ち直したものの上値は重く、香港国際空港での大規模デモやアルゼンチンでは大統領予備選で、野党候補が元首相のマクリ氏に予想外の大差をつけて首位になったことなどが材料となり、NYダウは再び大幅な下落に見舞われています。ドル円もドルの戻りを売りたいとする姿勢が優勢のようです。

 香港での大規模なデモに対して中国報道官は、「急進的なデモ隊の行動はテロ行為であり、香港の安定性への挑戦だ。警察による厳重な法執行を支持する」との声明を発表しています。また米中貿易戦争の出口が見えない状況の中、中国人民銀行の陳元副総裁は黒竜江省で開かれたイベントで、米国が中国を為替操作国と認定したことは、「貿易戦争が金融戦争、通貨戦争へと姿を変えつつあることを意味する」と述べ、「米国は地政学的な見地から、米国債を保有する中国に行動を抑制されていることを考えている。つまり、米国に弱点が全くないと言うことではない」と論じています。(ブルームバーグ)米国債を大量に保有する中国が、それを武器に使うということは予想されるものの、先週この欄で述べたように、実際問題としては、売却行為が自分の首を絞めることとなり、言葉で言うほど簡単ではありません。米国が中国に対して制裁関税を課したことについても、中国共産党機関紙・人民日報は「米国からのいかなる挑戦や圧力にも中国は打ち勝つことが可能だと宣言する」記事を準備していると、環球時報の編集長がSNSで発言しています。

 上述のように、香港やアルゼンチンに加え、イタリアでも政治的混迷が続き、さらにインドとパキスタンの間でも緊張が高まっています。このように米中貿易戦争以外でも地政学的リスクが高まっており、安全通貨の円が買われ易い状況が続いています。CFTCが6日に発表した建玉明細によると、シカゴ先物市場における大口投機家は、円持ち高をロングにシフトし、ネットロングは2016年以降で最大となる1万561枚になっています。円高がさらに進むという見立ての下、円買いを膨らませている状況です。

 ドル円はちょうど今月1日の109円台から「雲抜け」(1時間足)を果たした後、一度も雲を上回ることなく下落を続けています。そのため、この雲を上抜けすれば、一旦は下落が止まり、反転するサインになるかもしれません。ドルショートの投資家にとっては、決済タイミングを見るうえで参考になろうかと思います。本日も日本株の下落に伴ってドル円は105円方向を試すことが予想されます。ただ、105円が大きな節目になる可能性もあります。気になるのは、ここにきて筆者も含め多くの専門家や投機筋が、円高がさらに進むと予想し始めているという点です。105円前後が当面の底値になる可能性も、上記理由からわずかですがないとは言えません。注意が必要です。本日のレンジは104円80銭~105円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)