ドル円は米長期金利の急低下と株価の急落でドル売りが強まり、105円50銭までドル安が進む。ただその後は金利と株価が上昇したことで106円26銭前後までドルが反発。ユーロドルも1.1242まで買われた後、1.12を割り込む水準まで反落。株式市場は世界経済の減速懸念から急落したが、その後急反発する。ダウは一時600ドル近く下げたが買い戻しが入り、22ドル安。一方ナスダックとS&P500は小幅ながらプラスで引ける。債券相場は朝方に急騰。長期金利は一時1.6%を割り込み、2年6カ月ぶりの低水準を記録。株価の反発もあり、その後は1.73%台まで上昇する。金は続伸し1500ドル台に乗せる。原油は在庫が膨らんでいたことで大幅続落。

6月消費者信用残高    →  14.59b

ドル/円 105.50 ~ 106.26

ユーロ/ドル 1.1191~ 1.1242
 
ユーロ/円 118.43 ~ 119.09

NYダウ -22.45 → 26,007.07ドル

GOLD  +35.40  → 1,519.60ドル

WTI   -2.54  → 51.09ドル

米10年国債  +0.032 → 1.734%

本日の注目イベント

日 6月国際収支
日 7月景気ウオッチャー調査
中 6月貿易収支
欧 ECB経済報告
英 6月鉱工業生産
米 新規失業保険申請件数

 金融・商品市場の動揺が収まりません。昨日のNY市場では、為替だけではなく、債券、株、金、原油などほぼ全ての市場で乱高下が見られました。ニュージーランド準備銀行が50ベーシスの利下げを断行しました。利下げは予想されていましたが、一気に50ベーシスの利下げはサプライズで、景気に対する不確実性が高まっていることで、予防的な政策を取ったと受け止めています。これで隣国オーストラリアも、次回の会合でさらに利下げに踏み切る可能性が高まったと思います。

 昨日はインドも利下げを行い、インドはこれで4会合連続の利下げを行ったことになります。その他にも多くの新興国が利下げを行っており、今後世界経済の鈍化が急速に進むとの見立てが広がっていることを物語っています。昨日米株式市場が朝方に大幅安を見せたのはこのような状況を織り込んだ動きで、債券市場でも安全資産の債券が買われ、金利が急低下し、ドル円はこの動きに反応して105円台半ばまで売られています。市場はその後平常心を取り戻したことで、ひとまず大混乱は避けられましたが、そもそもその根底には、「貿易戦争」があることは言うまでもありません。米中貿易戦争は出口が見えず、さらにトラン大統領は次の標的は欧州だと豪語しており、多くの国が利下げ競争に走るのも、むべなるかなといったところです。

 多くの国の利下げを目にしたトランプ氏は、あらためてFRBを批判しました。いつものように、ツイッターで、「(FRBの)無能ぶりは見るに堪えない。いとも簡単に対処できるのに。いずれにせよ、われわれは勝利する」と述べ、「当局はより大幅かつ早急な利下げを
行い、そのひどい量的引き締めを即刻停止しなくてはならない」と、再び大幅な利下げを要求しています。恐らく、景気の鈍化傾向も、好調だった米株式市場が急速に下げに転じたのも、FRBが小幅な利下げに留めたことが原因だと断じているのでしょう。自身の言動が世界の金融・商品市場を混乱させていることを棚に上げ、FRBのせいにしているトランプ氏。個人的には非常に危惧しています。今週、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に以下のような寄稿文が掲載されました。「連邦準備制度とFRB議長は、短期的な政治的圧力、特に政治的理由で解任や降格される危険から自由な立場で、米経済の利益を最優先に独立して行動することが認められるべきだという確信をわれわれは共有している・・・・」この寄稿文の「われわれ」とは、ジャネット・イエレン前FRB議長とベン・バーナンキ元FRB議長、それに、アラン・グリーンスパン元FRB議長の3名です。FRBの独立性が、これまでで最も脅かされていることに危機感を感じたことで、3名の議長経験者が連名で寄稿したと思われます。

 市場の混乱はまだ続きます。そもそもリーマンショク後に異次元の緩和策を長期間にわたって行ってきたため、市場のマネーがジャブジャブとなっており、そのマネーがより有利な運用先を求めて瞬時に移動していることが窺えます。移動するマネーが大きければ大きいほど、相場の振幅も大きくなります。ここは慎重に行動することが肝要です。

 本日のドル円は105円70銭~106円70銭程度を予想しますが、105円台半ばは2度試して押し戻されており、目先のサポートを形成しつつあります。一方上値は、106円半ばを超えれば、「1時足」では雲抜けが完成し、上昇機運も高まることも予想されます。ただ、この雲は「帯状」になっており、値動きが限定的だったことを表しており、それほど強い抵抗帯ではありません。そのため、抜けても上昇の勢いがそれほど強まるとも思えません。むしろ、これまでの雲の形状を見ると、下落の雲がドルの上昇を抑えて、徐々に相場を押し下げている様に見えます。また日本株の弱さは突出しており、日本株が大きく上昇しないかぎり、ドル円のセンチメントも好転しない状況です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)