東京時間に107円台まで反発したドル円は、NYでは小動き。長期金利の低下傾向が続きドルの上値は重く、106円台半ばでのもみ合いに終始。ユーロドルは引き続き買い戻しが優勢となり、1.12台前半まで反発。

 株式市場は大幅に反発。人民元の安定した動きも好感され、ダウは300ドルを超える上昇に。債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.70%台で小動き。金は3日続伸で1484ドル台に。原油価格は景気悪化を織り込む形で大幅続落

ドル/円   106.25 ~ 106.63
ユーロ/ドル 1.1168 ~ 1.1206
ユーロ/円  118.94 ~ 119.34
NYダウ   +311.78 → 26,029.52ドル
GOLD   +7.70   → 1,484.20ドル
WTI    -1.06   → 53.63ドル
米10年国債 -0.005  → 1.702%

本日の注目イベント

日  日銀金融政策決定会合における主な意見(7月29、30日分)
中  7月外貨準備高
独  6月鉱工業生産
米  6月消費者信用残高

 ドル円は連日値動きが荒くなっており、値幅も拡大しています。その中でも、このところの特徴は東京時間の値動きの方がNY時間のそれよりも、かなり大きいということです。昨日も朝方ドル円は105円52銭前後まで売られた後、午後に急反発して、あっという間に107円08銭までドルの買い戻しが進みました。106円台後半での「ストップのドル買い」が執行されたものと思われますが、その後夕方にかけては再び106円40銭台まで下落するなど、荒っぽい動きでした。一方NY市場では前日と同じように値幅も小さく、106円台半ばを中心に40銭ほどの値動きに終わっています。

 為替市場以上に荒っぽいのが株式市場です。日経平均株価は昨日も600円を超える下落を見せましたが、さすがに連日の大幅な下げに買い戻しも入り、引け値では134円安と、一時は2万円の大台割れも懸念されましたが、何とか、維持している状況です。昨日のNY株式市場もマイナスに沈む場面もありましたが、引け値では大幅な上昇で取引きを終えました。昨日は対ドルで7.0を超えた人民元が安定していたことが大きな材料だったようです。ブルームバーグによると、中国人民銀行は北京で外国の輸出業者多数と会合を持ち、会合では当局者がドルを売買することも通常通り可能だと伝えたようです。声明では、中国が通貨を米国との貿易戦争の武器として使うことはないという人民銀行総裁の言葉を繰り返したようです。

 ただ、為替も株もこのまま冷静さを取り戻すことはありません。このままでは9月1日には中国から米国へ輸出される多くの製品に10%の関税が課せられ、トランプ大統領はさらに関税を引き上げることも示唆しています。中国側も農産物の大量輸入を中止するなど、対抗措置を発表していますが、中国側が不利なことは明白です。米国からの輸入品に関税をかけることもすでに限界にきており、今後とり得る報復手段は、「米国債を大量に売却する」という脅しでしょう。

 中国は米国債を1兆1000億ドル(約116兆円)ほど保有しています。この国債を武器として売却すれば、米長期金利が急騰します。同時にドル売り人民元買いのオペレーションを行う必要があるため、ドル安が加速することも予想されます。こうなると財政政策上も米国にとっては厳しいことになります。米国は今年も大量の発行を予定しており、国債の金利が急騰すれば、金利分だけでも米財政赤字を拡大させることになります。財政赤字のさらなる悪化は、「格付け」が下がることにもつながります。もし、中国がこのような行動に出たら、米国も安閑としてはいられません。ただ、現実問題として、中国がこのような行動に出ることも簡単ではありません。中国が一度でもこのような行動を口にしたら、債券価格は急落し、結局自分の首を絞めることになるからです。「Too big to sell」といったところです。

 やや唐突だった制裁関税第4弾や「為替操作国」への認定など、トランプ政権は中国に対する圧力を強めています。6月29日に大阪で行われた「米中首脳会談」は一体何だったのでしょう?この会談は約50分も行われ、これを契機に休止されていた米中通商協議の再開にこぎつけました。米中貿易戦争が一旦は和らぐと見られていた矢先での制裁関税第4弾発動だっただけに、市場の混乱も大きかったと思います。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は昨日、閣僚級協議は中国の出方にもよるが、継続する意向を示していましたが、一体何を協議するのでしょう?米国側は譲歩する意思はないように見えますが、中国側も同じように簡単に譲歩するとも思えません。仮にそうだとすれば、協議を経て、トランプ大統領が再び関税率の引き上げを口にする可能性もあります。結局、貿易戦争はまだまだ続くと見るしかありません。

 ドル円は昨日の東京で107円台に戻す場面もありましたが、NYでは引き続きドルの上値が重い印象です。それは引き続き、米長期金利の低下傾向が続いていることが背景です。株価が大きく反発したにも関わらずドル円が戻らないのは、金利に反応しているからと考えられます。依然としてドル下落のリスクは残っていると考えられます。

 本日のドル円は105円80銭~106円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)