東京タイムに105円台後半まで売られたドル円はNY時間では小康状態。106円前後で小動きとなり、長期金利の低下にも反応薄。ユーロドルはさらに買い戻しが進み、1.12台まで反発。株式市場は大幅続落。アジア市場での大幅な株安を受け、ダウは一時950ドルを超える下げに。S&P500も5日続落し、この日は3%を超える下落に。債券相場は一段と上昇し、長期金利は2016年1月以来となる1.70%台まで低下。金は大幅に続伸。原油は反落。

7月ISM非製造業景況指数   →  53.7

ドル/円 105.90 ~ 106.23

ユーロ/ドル 1.1170~ 1.1213
 
ユーロ/円 118.47 ~ 118.93

NYダウ -767.27 → 25,717.74ドル

GOLD  +19.00  → 1,476.50ドル

WTI   -0.97  → 54.69ドル

米10年国債  -0.138 → 1.707%


本日の注目イベント

日 7月景気先行指数(速報値)
豪 RBA、キャッシュターゲット
豪 6月貿易収支
日 6月景気動向指数
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

 トランプ大統領が下した「制裁関税第4弾」は、単に「貿易戦争」を激化させただけでなく、「通貨戦争」にまで波及しそうな勢いです。昨日の朝方、人民元が対ドルで7.0を超え、11年ぶりの「ドル高人民元安」が進み、それをきっかけに、円高が進み、日本株も大きく下げ幅を拡大しました。中国人民銀行は、「一国主義や貿易保護主義、および対中追加関税などの影響で元相場は今日7元を突破した」との声明を発表しました。7.0という水準は、これまで中国人民銀行が守ってきたレベルでしたが、人民元安を容認することで、国内の輸出企業を優位にするという意図が見えます。このままでは9月1日から、中国からの米国へのほぼ全ての製品に10%の関税がかかり、中国製品の値段が上がることで競争力が低下します。その値段の部分を、為替で「補完」しようという目的が見られるようです。この動きに日本株は昨日のザラ場で580円程まで下げ幅を拡大する場面もあり、ドル円は105円78銭前後まで一気に円高が進み、その後のNY市場でもダウは一時950ドルを超える下げを見せ、長期金利は1.70%台まで低下。リスク資産が大きく売られました。

 問題はこれで終わりません。人民元安を受けて、トランプ氏は昨日早朝にツイッターで、「為替操作だ」と非難し、「中国は自国通貨を歴史的な安値付近にまで押し下げた」と述べ、「これは<為替操作>と呼ばれる。Fedよ聞いているか?これは重大な違反で、時とともに中国の力を大きく弱めることになる」と主張しました。トランプ氏がさらに金融当局への利下げ圧力を強めることが予想され、それを織り込む格好で米長期金利が一段と低下し、米金利の低下がドル円を押し下げ、さらに円高が日経平均を押し下げるといった「負のスパイラル」に陥って来ました。

 さらに、今朝7時ごろから106円近辺だったドル円が再び下げ足を速め、105円台半ばまで一段と円高が進みましたが、背景は米財務省が中国を「為替操作国」(Currency Manipulator)に認定したとの報道でした。ムニュ―シン財務長官は「中国の直近の措置が作り出した不公正な競争上の優位を是正するため国際通貨基金(IMF)と協力する」とのコメントを発表しています。(ブル-ムバーグ)まさに「通貨戦争」の様相を呈してきましたが、円はその「とばっちり」を受けているといった状況です。

 以前この欄で、ドル円は米長期金利の低下が続く以上はドルの上値は重く、円高傾向が続くといったコメントを残しました。それでも米金利の低下傾向を好感してNY株式市場が上昇し、何度も「史上最高値」を更新する動きを見せ、この株価の上昇がドル円下落の抑止力になっていました。そして、「問題は、株価が何らかのきっかけで大きく売られると、さらに金利が低下し、ドル下落のバッファーがなくなり、円高が一段と進む可能性がある」と指摘しました。足元の動きは、まさにそのような状況になりつつあります。米国内では、今後物価上昇に加えて株価の下落から個人消費も低迷し、景気悪化を防ぐためFRBが積極的に利下げに踏み切ることも予想され、ドル円は反転するきっかけがつかめない状況が続きます。

 本日も日本株の下落に伴って、ドル円は下値を試す展開になりそうです。日本株がさらに下落し、今夜のNYでも同じように株が一段安になるようだと、105円を割り込む事態もあるかもしれません。「貿易戦争」と「通貨戦争」がどこまで拡大していくのか出口は見えず、闇夜は深まるばかりです。本日のドル円は105円~106円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)