ドル円は小幅に上昇し、108円29銭までドル高が進む。米中通商協議の進展を好感し、株高、金利高が進んだことが背景。ユーロドルはこれまでのサポートであった1.12を割り込み、1.1146まで急落。ECBが金融緩和への方向性を示すとの観測が強まり、ユーロドルは5月末以来の安値を記録。イギリスの次期首相にジョンソン氏が決まり、ポンドドルは買われたが、その後上昇分を吐き出す。

 株式市場は大幅に続伸。米中通商協議が再開するとの報道にダウは179ドル高と、最高値に迫る。債券相場は反落。長期金利は2.08%台へと上昇。金と原油は揃って3日続伸。

5月FHFA住宅価格指数    → 0.1%
7月リッチモンド連銀製造業指数 → -12
6月中古住宅販売件数      → 527万件

ドル/円   108.04 ~ 108.28
ユーロ/ドル 1.1146 ~ 1.1175
ユーロ/円  120.48 ~ 120.84
NYダウ   +179.29 → 27,349.19ドル
GOLD   +5.20   → 1,421.70ドル
WTI    +0.55   → 56.77ドル
米10年国債 +0.035  → 2.081%

本日の注目イベント

独  7月製造業PMI(速報値)
独  7月サービス業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏6月マネーサプライ
欧  ユーロ圏7月総合PMI(速報値)
欧  ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
欧  企業決算 → LVMH、ダイムラー、ドイツ銀行
米  6月新築住宅販売件数
米  企業決算 → AT&T,キャタピラー、フェイスブック、ボーイング、UPS

 ライトハイザーUSTR代表と複数の米政府高官は、中国に向けて29日に出発する予定が決まったとブルームバーグが報じています。報道によると、ライトハイザー氏率いる少人数のチームは31日まで上海に滞在する予定で協議を行い、未解決の問題を幅広く議論することになるとのことです。ただ多くの意見では、米中が合意に達するにはまだ時間が掛かるだろうとの見方が支配的で、今回の協議で合意に至る可能性は低いとみるべきでしょう。

 この報道を受けドル円は108円29銭までドル高が進み、ドルは対ユーロでも上昇。ユーロドルは、5月31日以来約2カ月ぶりに1.11台半ばまで売られました。ドルに対するユーロの下落幅が円よりも大きかったことでユーロ円も下落し、今年1月3日早朝の「フラッシュ・クラッシュ」以来の安値を記録し、仮に1月3日のこの動きが異常値だったとし除外すれば、2017年5月以来となるユーロ安をつけています。もっとも、この動きは想定内で、明日のECB理事会では金融緩和に関する何らかのメッセージが期待できるユーロと、一方でFRBに先立って会合を開く日銀は動きにくいということと、金融緩和の手段も限定的だという想定の元、ユーロ売りが活発になったものと見られます。

 米中貿易協議の進展にやや明るさが出てきた一方で、EUとのそれはまだ波瀾含みです。EUは、トランプ政権が自動車・同部品への関税賦課の脅しを実施に移した場合、米製品350億ユーロ(約4兆2230億円)相当に報復関税を課すことを明らかにしました。EUの行政執行機関である欧州委員会のマルムストローム委員が明らかにしたところによると、従来は200億ユーロ相当の米製品を対象にするとしていたが、EUからの対米自動車製品輸出が国家安全保障上の脅威になるとの理由で輸出制限を求める米国の要求を拒否する立場を鮮明にしたとのことです。同委員は、「われわれはいかなる管理貿易も受け入れない。割当量や輸出自主規制もそうだ。これを行使する必要がないことが望ましい」と語っています。(ブル-ムバーグ)

 このように米国発の保護貿易主義の嵐は依然として収まってはいません。そんな中IMFは昨日、世界経済見通しを発表し、経済成長見通しを再び下方修正しました。見通しによると、今年の世界経済の成長率は「3.2%」とし、来年が「3.3%」の見込みで、いずれも4月時点の予測から「0.1ポイント」下方修正しています。IMFは発表文で、「世界経済に対する主要なリスク要因は、米中のさらなる関税賦課、米国による自動車関税、または英国の合意なきEU離脱など展開の悪化が信頼感を損ない投資を弱め、世界のサプライチェーンを混乱させて、世界の成長を基本ラインから大幅に減速させることだ」と分析しています。

 トランプ大統領は今週22日、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の大枠について、ホワイトハウスと与野党の議会指導部が合意したと発表しました。これでたびたび話題に上り、懸念されてきた「財政の崖」問題は、今後2年間は取り除かれることになります。報道によると、2020年会計年度(2019年10月~2020年9月)と、2021年会計年度の歳出上限を計3200億ドル(約35兆円)に引き上げ、債務上限も引き上げるようです。国防費や教育費を大幅に増額するようですが、この費用の多くは国債の発行でまかなうことになります。国債の増発は長期金利の上昇要因です。現在1兆ドルを超える財政赤字が、今後さらに悪化することは避けられず、現在2%台という低水準で推移している米長期金利も将来上昇する可能性があり、これが為替の変動要因になります。

 ドル円は再び108円台半ばを試す動きになってきました。昨日のNYでは、株価が上昇し、金利も上昇。金や原油も買われ、これまでの動きとはやや異なっています。「リスク選好」が強まったとは言えませんが、今月末のFOMCで利下げが確実視されている割にはドル円が底堅い動きを見せています。本日も日本株は上昇すると見られますが、ドル円は108円台半ばを超えられるのかが焦点です。同時にユーロドルが1.11を割り込むのかにも注意が必要です。

 予想レンジは108円~108円60銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)